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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

タグ:蝦夷松


【木村正彦先生と共同取得!】

北海道 帯広地方から 蝦夷松・一位・真柏 など、
百数十点の盆栽群が羽生に届きました。
1ヶ月前、木村正彦先生からお話を頂き、
一緒に買い付け交渉をする事になったものです。
おひとりの愛好家が、
半世紀近い歳月をかけて育んだ「山採り」素材がすべての一群。
10 t ウィングトラック3台には、明日にでも国風展に出品出来る完成度の高いものから、
時間をかけてでも、将来の盆栽界に伝承させたい素材まで、幅広いコレクションでした。
特に 2mを超える 原生そのままの姿を維持する蝦夷松は、
他に類例を見ることのない感動を得るものでした。
既に盆中で、50年の刻を過ごした老樹は、どんな舞台に飾る事が相応しいか、
夢を唆る作品です。
北の大地で深山から人の世界に降ろされた「自然界の命」、
懸命に守り伝えた旧蔵家の心を、多くの盆栽家に橋渡しをするのが、
私どもの役目のひとつです。

【木村正彦先生に感謝!50年の愛育の結晶!】

先日、新潟県燕市に国風展出品の盆栽「蝦夷松」をお届けに行ってきました!
数年前 "父も高齢の為 整理を含めて相談にのって欲しい"と言う連絡で、
初めて伺った笹川さんの盆栽庭園。
まるで私が小僧に入った40年以上前の
"何処かで見た盆栽棚"の雰囲気をそのままに保存された樹々と棚姿に感動を覚えた事が昨日のように蘇ります。
挿し芽から増やし、育んだ蝦夷松の秀作群、数点の抜きん出た作品。
人に相手にされなくても気の遠くなる程の年月、日々盆栽と共に歩まれたとのこと。
こんな方の作った盆栽を一度でいいから中央の舞台に飾ってあげたい! 
そんな気持ちと笹川のお爺さんの夢が叶って、今年見事に国風盆栽展初入選となりました。
それには 日頃から私に親切にして下さる "世界の木村" 名匠 木村正彦先生 の ご協力が あったからこそです。
鉢合わせ・手入れ・搬出入 すべてを引き受けて下さいました。
元の鉢に戻して 管理上の問題がなくなるまで木村先生は、
ご自分の庭で管理下さり、約1年ぶりに越後の地に戻しました。
笹川さんの棚は相変わらずご自分の"作品"で一杯!

「夢が叶ったら欲が出ました。もう一回ダメでも挑戦したくなりました」
八十路を超えた老愛好家が次の夢を持つ!
素晴らしい事だと思いました。
戻した蝦夷松と共に撮った写真の左側には、ご尊父様より受け継いだ
「中野忠太郎の五葉松」が、斜幹の姿美しく愛育されていました。
おじいちゃん!また伺いますからね!!


【蝦夷松と真柏200点!「やっと先が楽しくなってきたところ」!!!】

一昨年、偶然出会った「越後のご隠居」名人笹川さん。
蝦夷松、真柏を挿し芽や山採りで唯ひたすら愛培に尽くした50年!
笹川さんの盆栽庭園はまるで私が40年程前に"いつか何処かで見た昭和の盆栽棚"が、
そのままタイムカプセルに守られて保存されている様でした!
盆栽棚と同じく笹川さんの盆栽観
"毎日盆栽と暮している。毎日発見がある"と、
齢80才を越えても盆栽作りに邁進されている。
とにかく「脱帽」。
まだまだ自分が恥ずかしいです。

8月6日新潟県燕市  

私達は半世紀をただひたすらに盆栽を育ててきた老匠の所にいました。

笹川重義さん、81歳。

気温38度の暑さの中、私達より元気に笹川さんは一日ご自分の愛樹の説明をして下さいました。


丁度一年前偶然にお伺いしたこの「タイムスリップ」したような盆栽棚は同じ姿で私達を迎えてくれました。

蝦夷松と真柏を挿し芽から、
樹齢50年の盆栽へ作出した老匠の「国風展への道程」という近代盆栽の依頼取材のためです。


“こんな生き方の人こそ今の盆栽界に伝えたい”

と言う私の思いに近代盆栽さんが賛同してくださり、
来春まで続く取材の第一回としての新潟でした。

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写真は同行した小店のスタッフ白石君に笹川さんが

「若い人が受け継いで」

と挿し芽から仕上げられた蝦夷松の寄植えを進呈下さったものです。

受け継がれて繋ぐ心と命。



こういう仕事が一番楽しいですね。

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