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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

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【エスキューブ天地会と兄弟会 新設会場で!】

庭木を中心に日本最大の中国輸出事業を展開する共種園の父君が運営する「マルキョウ交換会」は、
"お父さん"の人柄もあり、私ども天地会に並ぶ関東最大級のプロオークション会です。
著名盆栽園から地元の愛好家まで幅広く参加され、今回1月5日は初会ということもあって、100人の参加者でした。
小林國雄氏・蔓青園を筆頭に熱い掛け声で進みました。
中国勢の圧倒的な買付の中、"本物"が出てくると、私も含めて日本チームの声が強くなります。
結果、日本チームでは、いつもの通り 私の買付額が1番になりましたが、
初春を彩る流通の元気さを感じる1日でした!


【「面」で作る盆栽から「線」の美を!】

新年恒例の水石協会理事長・春花園 小林國雄理事長宅へ伺いました。
盆栽作家として頂点を歩む理事長は「日本の盆栽を"面"から"線"へ」と説かれます。
応接床の間に飾られた真柏は、まさにその言葉を具現化したものでした。

「棚」と呼ばれる枝の面を作る事をせず、幹・枝・そのすべてに命が生き続ける躍動と苦難を
見事に表現されていました。
大陸中国での活動を精力的に繰り広げる理事長だからこそ、
日本の盆栽のあるべき本質を自身の作家活動によって訴え続けているのだと思います。
水石界の再興と発展を牽引する理事長、人は私の事を「水石協会の懐刀・軍師」と呼ばれますが、
参謀は大将が輝いているからこそのものです。
私から見れば、小林國雄理事長は、木下藤吉郎そのものです。
裸足で前を向いて真っ直ぐ走って行く、でもそれは必ず太陽の射す王道。
だから 私は私の出来る私の仕事をするのです。
真柏に込められた理事長の想いを眼福とする年始参りでした。


【夜明けを想う 松と長寿!】

明けましておめでとうございます。
今年は銀座に想いを込めて小さな盆栽店を開店させて今年で20年となります。
そして10年前、ゼロからの再スタートを多くの皆様に支えられて雨竹亭を開園しました。
羽生本店銀座店上野店夏季軽井沢店、
そして7年前に「奇跡の輸送」を実現した中国の資本提携店「西安雨竹亭ギャラリー」。
この10年間の歩みは、私が43年歩いて来た盆栽の人生の中でも、
様々な事を教えて頂いた大切な10年だったと思います。
今年は 数えで60歳の還暦となります。
スタッフも総勢23名、若い社員の盆栽業への道筋を示してやらないといけない歳になりました。
「盆栽とは?水石とは?」
と正業に励みながらも "生き方"みたいなものを追い求める私ですが、
会社や次代の若人の為に為すべきことを実践する年に出来たらと願っております。

年の初めに羽生応接展示は、直近で手入れ仕上げをして、
一昨日鉢合せをした 五葉松の根連り、海原に汪々と昇る日輪、脇には 寿ぎの長寿を願う長寿梅。

大政奉還によって近代日本の誕生をみてから150年、明治150年となる本年。
初心に戻って羽生本店は、新年元旦より「新春盆栽展」を 開き、皆様をお待ちしております。
「盆栽はお好きですか?」
この言葉を胸に銀座に立ったあの頃、これからも変わらず皆様をお迎えさせて頂きます。
今年も宜しくお願い申し上げます。


【国風賞級の名木群と逸材の山!】

上海から2時間程の中堅都市 常塾。
アパレル産業の立志伝中の人、張会長は70歳。
小学校も行けない境遇からその人望と努力で、財閥と呼ばれるまでになられた方。
盆栽愛好家としてそのお人柄から、日本で言う関東地方全体の協会会長をなさっている。
所有される市内中心地のビルの屋上に約1000坪の盆栽庭園を設けられ、
500点を超える大型名樹が管理されています。
常駐の手入れ師4名、見事な管理と手入れがされていて、
日本にあったなら多くの愛好家が息を飲む程の作品が列をなしています。
利害も投資的感覚もなく、只々 盆栽が好きで集められています。

来年の3月には木村正彦先生とお弟子さん達が、張会長の誘いで 
江蘇省の大イベントにデモンストレーションに参加される予定で、その打合せも兼ねて伺いました。
日本の愛好家の方々、プロの方々にも 
この中国最高レベルのコレクションをお見せしたいくらいです。


【圧倒的な素材と将来・ここから生まれる未来の名木達】

中国江蘇省常州市(沿岸部最大の園芸市場を擁する400万都市)の 王永康さんの庭は、
未来の名木と言える盆栽の素材で満ち溢れています。
日本は 山採りの素材は枯渇状態ですが、王さんは10~15年前、
中国山採りが規制される前に、500~1000点の原木を中国全土から各地を回り手に入れました。
その樹を少しずつ 時間をかけて幹を割き、大枝を曲げ、10年計画で真の姿へと導いています。
日本はそれなりの素材を入手すると すぐに人が鑑賞できるように仕上げていきますが、
王さんは「ひとつの樹の在り方を無理せずゆっくりと対話しながら」を創作基本としています。
同じ盆栽家として羨ましい限りです。
もし、私があと2年若かったらこの地で何年かひたすらに創作に取り組みたい気持ちです。

日本の若きプロ志望の人達は、先入観に囚われず、
この盆栽の大地に一度は訪れて、本当の盆栽家の在り方を観てみるべきだと思います。

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