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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 大徳寺・芳春院盆栽日記

【大徳寺芳春院盆栽庭園・巨大盆栽達の春の植替え❗️】

3月20日、芳春院盆栽庭園も5年目の春を迎えました。
洛中の桜が一斉に咲き始める中、庭園の歴史的大型盆栽の植替えに、羽生から5名チームで出向きました。

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庭園の構えが禅寺として大きく、普段眺めている樹達が、手入れとなると
“こんなに大きかったものか“と、あらためて気合を入れる仕事になりました。

手に入らない大型鉢は、今春に中国からようやく届いた注文作品!

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伏見宮貞愛親王の宮様楓、国風賞の花梨、世界大会のポスターになった一位「麒麟」、
ひとつひとつが、盆栽界の“宝“!

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2日間でようやく8本!
盆栽業は、この季節は商売は二の次三の次💦 
何よりも“今しか出来ない“作業が中心の日々はまだまだ続きます‼️

大徳寺、国風展明けの盆栽入替え❗️
東京都美術館での「国風盆栽展」「日本水石名品展」を終えて、ホッとする間もなく、
京都大徳寺「芳春院盆栽庭園」の春の入替え(第一次)に出向きました!

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寒暖の出入り大きい2月の下旬、梅の花も“今年は早そう“から一転💦
遅めの花咲きになっています。
早咲きの梅の種が終わらぬ内に、遅咲きが咲き始めたり、入替にも頭を痛めます💧

それでもしんと静まり返った禅林の庭園に綻びはじめた梅の花は、やっぱり有難いものです。

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厳寒の中でも途切れることなく訪れて下さる海外の方々、古雅なる盆梅は、その方達に、
日本の“やまとごころ“を伝えるのにはうってつけです❗️

そんな事を思っている内に、庭内の花梨や楓、怒涛のように植替えが迫って来ます💦
今年もまたこの庭で、“超大型盆栽“の根ほどきに、腕が上がらなくなる日がもうすぐ来ます‼️

【禅林盆栽庭園に降る雪!静寂の“白の世界“‼️】

新年、まだ“松の内“とされる10日、京都北部にあるこの「大徳寺芳春院盆栽庭園」は、朝から雪景色となりました!

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日本海側の厳しい冬型気候が、北山を越えて来ることは、この季節の日常ですが、降り積もる雪となれば、ひと冬に2~3回ほどです。
朝、まだ誰も歩いていない大徳寺、石畳も白い一筋の帯のようです。

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盆栽庭園も雪帽子を被った盆栽達と、真っ白に埋め尽くされた敷砂利の面。
普段でも静かな庭は、雪のカーテンで音が消え、静寂が際立っていました!

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そんな中でも、この庭に訪れてくださる内外の方々、ありがたいものです。

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年を越して、“名残の実“をまだ付けてくれている山柿、
枝々に積もる雪の間に、間もなく咲く深紅の花蕾を見せてくれる貴重盆栽の長寿梅。
“たった一つの姫林檎“「紅姫」は、褪せない実色に雪帽子を被った、“唯一の景色“を楽しませてくれています。

読経・鐘の音・座禅堂から聞こえる警策の音。
この季節があるからこそ、春が来ます。

【暮れゆく大徳寺・冬支度の盆栽庭園】

師走の喧騒をよそに、京都北部の大徳寺は、静寂の中を鐘の音と僧堂の修行僧の読経の声のみが響き渡っています。
紅葉の拝観者の多さに比べれば、ひっそりとした庭園。
でもこんな盆栽庭園も大好きです!(拝観料は減っていますが💦)

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冬景色の盆栽の入替も済ませて、新年までの姿が出来た庭は、しんと静まり返って、盆栽と対峙するには最高かもしれません。

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通玄庵の床の間も、名残りの老爺柿に、江戸狩野派の古画、狩野養川院の「冬景図」脇には古銅の堂宇。
むかし禅寺は、人里離れた山里の誰も訪れないこんな景色だったのでしょう。

冬姿の枯木立の雑木盆栽達、“春待ち“の梅の盆栽達、そして沁みるほどの冷気を受けながらも、美しい翠を湛える松柏盆栽達。

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移ろう季節、少しずつ“貌“を変えてゆく樹々達。
盆栽達の表情を観ていると、日頃の生業に追われる身から離れて、
本来の盆栽と向き合える自分に会えるような気がします。

除夜の鐘までもう少し!
ずっとここに居たい気持ちです❗️

【空の彼方から見守って下さい。芳春院盆栽庭園】

深まる秋の中、大観展準備の為、何人かで時間を見つけて、庭園の掃除に入りました。

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普段は少ない人数で慌しく開園の準備をしていますが、
今日は隅から隅まで、禅寺の庭園らしく、ゴミや落葉ひとつもない程に掃除しました。

この庭には、開園当時より変えずに飾ってある樹があります。
細い黒松、私が20歳の頃(45年前)からお付き合いを頂いた、舞鶴の亡き西村さんの樹。

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戦争で2度も潜水艦で被弾したにも関わらず、九死に一生を得た方です。
戦後、故郷の舞鶴の「青葉山」に登り、山採りされた樹がこの黒松です。
亡くなられた時、奥様より「長くお世話になったから、どれでも好きな盆栽を持って行って」と
有難いお言葉を頂きましたが、大恩ある方より高額な盆栽を頂けば、
人に欲しがられて売ってしまう気弱さを自分で分かっていたので、“これを大切にさせて下さい“とお願いして私の下で生きてきた樹です。

不思議なご縁で、この禅林名刹の盆栽庭園をお預かりする事が決まって、
羽生より多くの名樹を運ぶ時、“この樹は必ず庭に“と思いました。

生きていたら、今頃になって、京都に、しかも大徳寺にいるなんて、西村さんは天国からプンプンしているでしょう(笑)

先日、業界の後輩、神奈川の近藤君が急な病に斃れました。
愛蔵品の整理を頼まれた中に、可愛らしい五色カズラがあり、形見に頂きました。

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今はこの庭の通玄庵前のもみじの庭木の足元にあります。

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震災の余波で命を亡くした弟子、熊谷君の真柏、銘「忘れ形見」と一緒に、黒松や草も私を見守ってくれています。
ありがとう。

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