雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽管理

【芳春院盆栽庭園・老樹の健康を守る・“嵩下げ“の作業❗️】

大徳寺の境内にホトトギスの鳴く声が聞こえてくる季節、盆栽達も新芽を伸ばし、
根は水を吸い上げるのに、鉢の中で懸命に伸ばしています。

樹齢を重ねた大型の古樹は、植替えの間隔も数年に一度、それでも表土は肥料などの塵で“目詰まり“しやすく、
水掛けをしても、鉢中に沁みる前に、外へ流れてしまう樹もあります。
特に“今年植え替えようか?来年しようか?“と迷って、見送った樹達は、
暑気が強くなって、朝夕の水が必要になる前に、“嵩下げ“の作業が大切になります。

IMG_0028
世界大会のポスターにもなった一位の名樹「麒麟」もそのひとつ。
根元を覆う苔を取り、表土を一段丹念に掘り下げてやり、水をかけた時に、
鉢の上にまるでダムに水が溜まるようにしてあげると、その貯まった水が、ゆっくりと鉢中に沁み込んでいくのです❗️

IMG_0029
透し切込み💦古葉抜き💦
季節に合わせて、私達の仕事は追いかけられるように続きます❗️


誰も居ない中での、盆栽と向き合う時間の素晴らしさ‼️

遅々として進まない、植替えや樹の手入れ💦 
季節が移る中でどこまで今年の作業が出来るかの闘いが続いています。
そんな中、
“会長、昼間は来客や水掛け、他の事多く、中々本気の手入れが進みません。良ければ亭を締めてから夜やりましょう“
と具申してくれて、さあ!盆栽屋らしく、植替え手入れの特別の時間が始まることになりました❗️

IMG_9912

作り途中の黒松、差枝に力を乗せる為の、徒長枝の“伏せ込み“針金かけ、
カチカチの状態の大型松柏、
3時間で4本の手入れが終わりました。

IMG_9910
私がこうして若いもの達と、手入れの時間を共にする機会も少なくなりました💧
仕事を進めながら、“なぜこうしているのか? なぜこの鉢に入れて、この観付き角度になるのか?“
実践を一緒に進めながら、そんな話をしていることが、彼らにとっても勉強になってくれればと願いながらの、大切な時間の共有でした。

IMG_9913
大型連休の間は、羽生雨竹亭も「春の観照会」 道路も渋滞するので、1年で1番長く在園する時です。この間、参加出来るスタッフと日々こんな時間を過ごしたいと思います。
ただ、1日目の次の朝、さすがに朝7時から、この夜間作業21時まで、体がバキバキでした💦
“寄る年並み“には勝てません💧 
でも何も考えず、樹と若者と共にする時間は最高です‼️


季節の捉え方の難しいこの頃の春!
2000本を超える庭園を守る私達
雨竹亭。
それでもお世話になっているお客様のところにある樹々のことも考えなければなりません。
特に大型盆栽を多く所有される年配のお客様は、毎年“出仕事“の形で、3~4名で伺います!

IMG_9665
“任せるから好きにやってくれ“と仰るお客様❗️
そう言われれば言われるほど、樹にとって、お客様にとって、
何が1番の手入れの、植替えの選択か?思案しながらの時間になります!

愛好家が、毎日毎日水掛け・消毒・施肥・除草、時を惜しまずに大切になさっている樹々。

IMG_9663
それだけに、プロとしての見識ばかりを考えての判断が正しいものか?悩む時があります。
その人、その土地の気候、そこで育まれた盆栽達、健やかであるのなら、多少の違いがあっても、
盆栽達はそこの“生活“に馴染んでいる事を大切にしたいものです。

どうしても大掛かりな手入れをすべきと判断するものは、持ち帰らせて頂き、
植替えや手入れだけではなく、その後安定するまでの培養をしてからお届けするように心掛けています。

長くお世話になっているお客様。
例えてはいけませんが、そこでの気候に合わせた管理と同じく、
お客様と紡いできた“信頼関係“というかけがえのないものこそが、樹を守り続ける最も大切な事だと、50年やってきて、何よりも感じます。

IMG_9666
手入れにしても、植え替えにしても、100点は中々取れません❗️
いつも精一杯の努力をしているだけで、“これでいい“は、見つからないものですね💦


盆栽作家森山義彦さんと台湾の愛好家の所へ手入れや植替えに伺った時、

長年の交流ある台北市の「景峰園」に伺いました!


IMG_9365


毎年、日本から盆栽を買い付けて、正規検疫の為、すべての土を取る大変な作業💦

それでも経験深い初代は、今年の輸送分を到着後すでに植替えを済ませてありました❗️

“これが今年根の土を全部外した樹?“とビックリするほどの健常さ❗️

初代である詹維常さんは、二十代前半には単身日本に来て、苦難の末に台湾への輸送を成功させた功労者。

67歳になる中、息子さんの詹登傑さんに盆栽園2代目として業を譲り、今は自分の好きな盆栽の作出に努められているとのこと❗️

羨ましいですね‼️


IMG_9363


小品盆栽に対する登傑さんの丁寧な仕事ぶり、初代维常さんの圧倒的な台湾真柏の素材からの作出。

“盆栽家はこうありたい“と言う姿がここにはありました。

いずれ日本は素材の“枯渇“が課題になるでしょう。

こうして海の向こうの盆栽家達が、苦労して日本の盆栽の素晴らしさを母国で広めたように、

私達も、日本の次の時代の盆栽家の為に、新たな素材を海外から諸問題を克服して我が国に届ける仕事が大切になってきます。


IMG_9364


山採りの形もまだ無い素材が、5~10年で、展覧会に飾れる樹となる。

これ程に胸躍ることはありません。

日々の糧に駆け回る日本の盆栽業、少し考えるべき事を、海の向こうに行くと感じます。


コロナ禍を経て、久しぶりに台湾の愛好家の方の所へ、日本から渡った盆栽達の手入れに、
私と盆栽作家・森山義彦さん、そして初めての“海外デビュー“の羽生スタッフ近藤君と訪れました。

IMG_9322
親しい台湾の盆栽園の方に日頃の手入れをお願いしていましたが、人手不足で、回り切れない💦 
というSOSを受けて、各樹の内容に合わせた手入れ(剪定・針金掛け・幹洗い・硫黄合剤塗布・針金ほどき・植替え)等々、
3日半の行程で、
夜8時くらいまで頑張ってみました。

IMG_9323
こうして海を渡った盆栽達。
おそらくこの10年で、全国では2~3万本に及ぶのではないかと推定されます。
気候や管理の違う国へ行った樹達、どの国へ行こうと、そこで樹を愛して大切にしてくれる人、
私達プロは、彼の地に行った樹達が、健やかに生きていくことを手入れという面でサポートに努める事が、責務だと思っています。

高い旅費や手間賃を払って頂いて、手入れの済んだ樹をご覧になって、心から喜んでくださるお客様。
勿論、手入れでお伺いしている間は、こちらからの要望で朝から夜暗くなるまで、
盆栽棚から離れず、昼も秘書の方にお弁当を現場に運んで頂いての作業。

IMG_9324
“また来るからね“ と心の中で盆栽達に伝えて帰国の途に着きます!

↑このページのトップヘ