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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽管理


畑作りの真柏は、若木の頃に捻転芸を針金で施し、5~7年の間にしっかりと幹を太らせます。
丸幹の舎利のない姿から、一部の皮を剥き、舎利芸を作り上げます❗️

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6月下旬から7月、真柏は旺盛な成長期を迎えています。
この時に“皮剥き“をすると、信じられないくらい、簡単に舎利が作れます。

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スペインから研修に来ているパブロ君や小店島田、若き名匠森山義彦さんから、束の間の作業見聞をさせて貰いました❗️

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この時期に皮剥きをしておく事で、来年からの仕上げ方が決まります。
季節12ヶ月、盆栽は様々な手入れ作業を繰り返すことで、良き作品へと姿を変えていきます‼️
雑誌で見るものと、現実の作業風景は、大きく違います。
目で見て、実践して、本当の自分の経験になる!これの繰り返しが次代の作出者を作ることになります❗️


関東では桜の満開の知らせが聞こえる中、東北のお得意様の所で、春の植替え手入れに赴きました。
大型盆栽が多く、5名で3日間、出来るだけの仕事と思ってきましたが、連日の雨☔

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屋根下をお借りしての作業💦 
気温は初日が最高で4度🥶 
他が5〜6度💧

それでも手入れをすれば、樹達は見違える姿に旦那さんも喜んで下さいます。

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不思議な春で、東北は4月でも梅がまだ咲き、東洋錦は蕾!
それなのに、藤の花があと10日くらいで咲きそうです!

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季節のあり方が変化しているような気がします。
数多いコレクション。
ひとつひとつの樹の表情と健康を読み取って、“今出来る最善の事“を探る何日かでした。


1年ぶりに台湾へ森山義彦氏と出かけました。

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長年のお付き合いのある愛好家の棚の手入れ、特に昨年の巨大台風の数回にわたる直撃で、
風害、塩害があり、手入れ、舎利磨き、植替えなど、僅か2日間を2人で頑張りました💦

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一度出かければ、航空券や宿泊費など、お客様にかかる費用は日本国内に比べて2~2.5倍!
なるべく回数を減らして、とは思うのですが、ご本人は“来てさえ来れれば嬉しい“と仰られ、お気持ちに応えられるよう、朝から晩まで!
帰りには体がバキバキ💦年ですね~😅

併せて同じく台湾の盆栽園「台北景峰園」の詹さんの所にも、数年ぶりに伺いました。

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息子さん登傑さんに店を任せて、“半隠居“と聞いていましたが(私よりふたつ上の68才)
まだまだ熱心な作品作りを奥様となさっていました。

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日本の真柏素材が枯渇する中、“台湾の真柏が逆に運べないだろうか“  こんな話を詹さんと相談して、
来年は様々な検疫や許可を通して、実践してみよう!となりました。

年を重ねて、苗木から盆栽を作り、大型真柏を作る!
羨ましい限りです❗️


3年前、中京の稲沢より運ばれた超大型黒松! 
元々は庭木として育てられた中の、“筋の良い“素材でした。
幹や立ち上がりに“もしかすれば、将来大変な盆栽になる!“と言う夢のような事を思いながら、まずは作を上げることに専念してきました。

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2月下旬、国風展水石展も終わった中、満を持して、枝接ぎと“胴接ぎ“の施術を行いました❗️
岩石性と変わらぬ幹肌は、何層にも皮を抱き、その下の生きている所に、鑿を打ち込み、
木質と皮の間の僅かな「形成層」を、巨木自身の枝から取った穂を楔形に切り、ピッタリと合わせる、といった至難の接木です。

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私とスタッフ、そして内閣総理大臣賞作家の森山義彦さんに協力を得て、必死の作業となりました💦
接ぎ穂が乾かぬようにビニールを被せ、培養場の“春の風“で傷まぬように、
3mの樹の防風設備を作りました。

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ここからビニールを外す初夏まで、気が許せません❗️
5年後、10年後、“あのオバケがその樹⁉️“と言ってもらえるように、作出に努めてみたいです‼️


国風展を間近にする中、福島市「舩山コレクション」へ、手入れ品の入替に伺いました。

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“東洋錦“の名樹(国風賞受賞樹)を名園“芙蓉園“竹山先生の所で毎年預かって管理頂き、早春の頃、いつも福島に運んでいます。
今回はここから五葉松「稲取」を、手入れと3月に行われる貴重盆栽登録会に申し込む為にお預かりしました。

“舩山さんも国風賞でも狙わないの?“と、同業者より問われますが、ご本人も私も、
展示会での受賞というものは、審査される方々が授けて下さるもので、趣味として“賞狙い“をする事にあまり興味がないのが本音です。

今年も一位の盆栽で国風展に出品させて頂きますが、来年の国風100回記念も、
この地「吾妻支部」の支部長として、やっぱり五葉松を飾ろうとなり、故高木礼二さんから譲り受けた、「稲取」で申込む事にしています。

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名樹“東洋錦“でも飾りますか?と問えば、“目立ちたいとは思っていない“との事。
八十路を越えてなお、すべての盆栽の水掛け・施肥・消毒をされる舩山翁。
雪残る厳寒の庭園で、愛樹を見守る老大家にどうやって寄り添っていくべきか?
自分のやるべき事を問う日でした。

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