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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽庭園

【禅林盆栽庭園に降る雪!静寂の“白の世界“‼️】

新年、まだ“松の内“とされる10日、京都北部にあるこの「大徳寺芳春院盆栽庭園」は、朝から雪景色となりました!

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日本海側の厳しい冬型気候が、北山を越えて来ることは、この季節の日常ですが、降り積もる雪となれば、ひと冬に2~3回ほどです。
朝、まだ誰も歩いていない大徳寺、石畳も白い一筋の帯のようです。

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盆栽庭園も雪帽子を被った盆栽達と、真っ白に埋め尽くされた敷砂利の面。
普段でも静かな庭は、雪のカーテンで音が消え、静寂が際立っていました!

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そんな中でも、この庭に訪れてくださる内外の方々、ありがたいものです。

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年を越して、“名残の実“をまだ付けてくれている山柿、
枝々に積もる雪の間に、間もなく咲く深紅の花蕾を見せてくれる貴重盆栽の長寿梅。
“たった一つの姫林檎“「紅姫」は、褪せない実色に雪帽子を被った、“唯一の景色“を楽しませてくれています。

読経・鐘の音・座禅堂から聞こえる警策の音。
この季節があるからこそ、春が来ます。

【暮れゆく大徳寺・冬支度の盆栽庭園】

師走の喧騒をよそに、京都北部の大徳寺は、静寂の中を鐘の音と僧堂の修行僧の読経の声のみが響き渡っています。
紅葉の拝観者の多さに比べれば、ひっそりとした庭園。
でもこんな盆栽庭園も大好きです!(拝観料は減っていますが💦)

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冬景色の盆栽の入替も済ませて、新年までの姿が出来た庭は、しんと静まり返って、盆栽と対峙するには最高かもしれません。

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通玄庵の床の間も、名残りの老爺柿に、江戸狩野派の古画、狩野養川院の「冬景図」脇には古銅の堂宇。
むかし禅寺は、人里離れた山里の誰も訪れないこんな景色だったのでしょう。

冬姿の枯木立の雑木盆栽達、“春待ち“の梅の盆栽達、そして沁みるほどの冷気を受けながらも、美しい翠を湛える松柏盆栽達。

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移ろう季節、少しずつ“貌“を変えてゆく樹々達。
盆栽達の表情を観ていると、日頃の生業に追われる身から離れて、
本来の盆栽と向き合える自分に会えるような気がします。

除夜の鐘までもう少し!
ずっとここに居たい気持ちです❗️

【空の彼方から見守って下さい。芳春院盆栽庭園】

深まる秋の中、大観展準備の為、何人かで時間を見つけて、庭園の掃除に入りました。

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普段は少ない人数で慌しく開園の準備をしていますが、
今日は隅から隅まで、禅寺の庭園らしく、ゴミや落葉ひとつもない程に掃除しました。

この庭には、開園当時より変えずに飾ってある樹があります。
細い黒松、私が20歳の頃(45年前)からお付き合いを頂いた、舞鶴の亡き西村さんの樹。

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戦争で2度も潜水艦で被弾したにも関わらず、九死に一生を得た方です。
戦後、故郷の舞鶴の「青葉山」に登り、山採りされた樹がこの黒松です。
亡くなられた時、奥様より「長くお世話になったから、どれでも好きな盆栽を持って行って」と
有難いお言葉を頂きましたが、大恩ある方より高額な盆栽を頂けば、
人に欲しがられて売ってしまう気弱さを自分で分かっていたので、“これを大切にさせて下さい“とお願いして私の下で生きてきた樹です。

不思議なご縁で、この禅林名刹の盆栽庭園をお預かりする事が決まって、
羽生より多くの名樹を運ぶ時、“この樹は必ず庭に“と思いました。

生きていたら、今頃になって、京都に、しかも大徳寺にいるなんて、西村さんは天国からプンプンしているでしょう(笑)

先日、業界の後輩、神奈川の近藤君が急な病に斃れました。
愛蔵品の整理を頼まれた中に、可愛らしい五色カズラがあり、形見に頂きました。

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今はこの庭の通玄庵前のもみじの庭木の足元にあります。

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震災の余波で命を亡くした弟子、熊谷君の真柏、銘「忘れ形見」と一緒に、黒松や草も私を見守ってくれています。
ありがとう。

【晩秋の大徳寺!盆栽庭園の床飾り❗️】


ようやく秋らしい“秋冷の候“と言う言葉がピンとくる空気になって来た京都大徳寺。

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芳春院盆栽庭園も大観展で普段に増してたくさんの方が訪れる中、
「通玄庵」の床の間には、老爺柿の珍しい半懸崖樹形の盆栽を飾りました。

“豊穣の色“、橙色の愛らしい実姿。
細い枝がしなりそうに成る実が、風情あるものです!

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掛軸は、菊池容斎の「散り紅葉に素滝」 
滝は暑気に掛けることが多い画題ですが、紅葉の葉が舞う晩秋の景色を滝姿で表した貴重な作品。
散り紅葉以外が水墨で描かれているので、紅葉の葉色が際立っています。

脇飾りの安倍川のくず屋石は、石質から、まるで“霜“や、時雨の中の“霙“を被ったようにも見えますね!
北山時雨が始まる京都の北部。
大徳寺は500年の刻の中、読経も鐘の音もいつもの通りに盆栽庭園に聞こえています。

【芳春院盆栽庭園・大観展前の入替!手直し❗️】

日本盆栽大観展を間近に、庭園も装いを変える入替、並べ替えをしました。

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庭園を作ってもうすぐ4年、石柱の歪み(斜めになってしまって)の角度補修に汗をかきました💦
今年は天候不順で、本来の紅葉が進みません💧

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そんな中でも、季節の移ろいをお越しになる世界の方々にお見せする工夫をしました。
昔は今頃、京都の山間は見事な色付きになっていましたが、今は京都の紅葉も、12月になりそうです💦

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どんな立派な展覧会でも、この庭のロケーションは感じられません❗️
静謐な禅寺の空気の中の盆栽を楽しみにいらして下さい‼️
(来園される方々の、8割が欧米の人達❗️喜ぶべきか?悩むべきか?)

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