雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 講演


毎年依頼されて伺う、羽生市南小学校6年生への文化講座「盆栽」❗️
今年も体育館で子供達と楽しい2時間を過ごしました。

IMG_0495
太幹の五葉松・山採り舎利幹の真柏・楓の寄植え・そして小品盆栽。
小さな鉢の中に生きる盆栽達には、愛情を持って“寄り添う“人の心“が何よりも大切な事を伝えています。
短い時間の中で、“盆栽と同じように、人も1人では生きられない、誰もが周りに支えられている“事、
自分が今生きている環境がどれだけ恵まれているか? 
そんな事を穢れない子達の瞳を見ながら伝えています。


IMG_0494
数百年の樹齢の真柏を驚きをもって見つめる子達!
いつかは大人になって、生きると言う命への想いに形を替えて感じる頃、
1%の人がこの趣味を楽しんでくれる、“何処かにしまってあった記憶“の扉を開けてくれる事を密かに願っている私です❗️


コロナ禍で数年中断されていた、羽生南小学校での特別講演。
6年生への授業を行いました!

IMG_6549
樹齢250年の真柏古木・楓の寄植え・五葉松の文人木・小中盆栽の“棚飾り“!
各種各様の盆栽の持つ魅力を伝えました。
久しぶりの小学生への授業、盆栽で言えば、“未知なる将来性のかたまり“❗️

IMG_6550
いつも何を伝えようかと思って臨みますが、結局自分が若い頃盆栽から授かった“想い“と、
50年の盆栽人生で経験した思い出を交えながら話しました。

特に“人が寄り添ってこそ生きられる盆栽“と、社会も同じく、1人では誰も生きられない、
“誰かが誰かの為に支えてくれている“と言う事を何よりも伝えました。

IMG_6551
盆栽を観る子達の純粋な眼差し❗️
いつ見てもいいものです❗️

プロの盆栽家として、こんな時間はボランティアでも、何よりも大切に続けたいとあらためて思いました❗️


【圧巻の幻の真柏原木群との対面】

中国江蘇省と山東省の境、新沂(しんい)という地域は、黒松の原産地であり、
山東省からの樹齢1000年を超える巨大真柏群の集産地です。
以前より中国で時折拝見する信じられない程の巨大な真柏、いつかその原木が集まる地に行きたいと思っていました。
そんな時、日頃からお世話になっている江蘇省盆栽界の張主席より
「木村先生・森前君で、新沂で開催される中日盆栽文化交流会に来てもらえないか?」
との連絡を頂き、かの巨大真柏群を視察できるなら木村先生も行きたいとなったので、
合計5日間の行程で森山義彦氏・浅子隆敏氏を伴って、中国へ赴きました!
IMG_3764
IMG_3765
講演は 私の3時間の講義・木村 森山 浅子 三氏による黒松実演改作 を1日行いました。
後、2日間を各所真柏と現地の「油松」と呼ばれる黒松類の原木を拝見に出かけました!
IMG_3766
“どのようにしてこんな巨大な真柏(正確には側柏という名前)が自生しているのだろう?”と目を疑う程の存在感!
木村先生如く
「森前君の能力で、何とかこれを日本に運べないか?これが来れば私は、登龍の舞 を超える作品を作りたい!」
の弁。
IMG_3767
真柏も黒松も、日本では既に枯渇して素材の入手が不可能なものばかり!
植物検疫・通関・根洗い・様々な問題がありますが、実現できるか?挑戦してみようと思います!
・・次の時代の日本盆栽界の為に!

【盆栽文化の価値】

銀座名店会が組織する「銀座フォーラム」からの依頼で、
“百年後の銀座・百年後の日本”というタイトルの講演を依頼されて、銀座名店のオーナー方々との講演に出向きました。
IMG_0984
IMG_0982
400年続く和菓子「萬年堂」・ポーラ化粧品を母体とする文化財団、
150年の「松崎煎煎餅」・和装200年の「伊勢由」日本芸能の最古の歴史を持つ「能・観世流」。
錚々たる銀座というよりも日本を代表する皆さんと共に登壇する事は、分不相応と思いましたが、
銀座店20周年を迎えた令和元年、少しでも盆栽文化に対しての理解を広められるならと、恥を忍んでお手伝いしました。
IMG_0983
IMG_0980
アメリカ建国240年記念の一昨年のワシントンでの式典招聘以来の“正装”、
我ながら、おなかが出て、相変わらず長くならない脚、意外に袴履きの和装が自分に一番ぴったりするもんです!
ご一緒した老舗のご主人達の「守り続ける伝統」と、銀座という特別な地にかける想いを教えて頂く刻にもなりました。
IMG_0981
IMG_0985
こちらは海あり山あり大波あり!の21年目、「盆栽はお好きですか?ご存知ですか?」と、
これからも銀座の小さな扉を毎日開けてゆきたいと願っています。


【盆栽庭園40周年!】

アメリカの建国200年を記念して日本盆栽協会から53点の盆栽が海を渡って40年。
今回の記念に3点の盆栽を寄贈したことにより、式典に呼ばれました。
高橋貞助・上田秀一・小口賢一・小渕恵三 各先生、
名だたる方々の寄贈された盆栽は、植物園の皆さんの努力で、とても元気です。
3年前に訪れた時に贈った古谷石の葛屋が、私の名前でパビリオンに展示して頂いているのを見て
「人に何かを贈る時は、自分の名と名誉を贈りなさい」と 若い頃教えて下さった古老大家の言葉を思い出し、
これに従っておいて良かったと思いました。

大徳寺芳春院ご住職よりお預かりした色紙「樹石是禅」を 植物園にお届けして、
3点寄贈の感謝状を頂いた時、式典に招待された全米の盆栽水石関係者100人の内、
半数がアメリカの良き友人達であることを見て、初めての訪米講演から15年、
感慨深いものがありました。
盆栽協会岩崎理事長たち日本からの皆さんと、先達が遺してくれた足跡に感謝しました。

特に、アメリカ東部の盆栽文化発展に生涯を注いで下さった、
香風園吉村酉二師の肖像が、学芸員の部屋に飾ってあるのを見て、
深い尊敬と微力でも自分もいつかは「盆栽水石文化の伝道者」になりたいと
非力浅学を顧みず思いました。

50周年の時は私も68歳、出来ればその頃私の夢でもある拙著「盆栽の心・水石の心」を携えて、
この地に訪れたいと願っています。

↑このページのトップヘ