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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 飾り


今年の“中秋の名月“は10月6日と遅く💦

何となく秋めいてきた空気の中、床飾りだけでも名月の飾りをしてみました。

ススキの穂もまだ上がらぬ中なので、最近手に入れた名月の掛軸を使って、

どこか“秋風“を感じる席を創ってみました!


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長谷川玉純の「名月図」澄み切った天空に浮かぶ名月、

煌々とした雰囲気が良く出ている掛軸として気に入りました!


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脇床に五葉松根連りの石付。

右方から吹く風が木立を左になびかせている風情が良く表現されています。


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左本床には瀬田川の梨地石、梨地の銀色の光が、月明かりを受けた山影を感じさせてくれます。

猛暑が続いた今年、まだまだ“秋“は来ませんが、気持だけは“天高く肥ゆる秋“を感じたいですね❗️


9月3日、久しぶりの海外講演で渡航する前、羽生の応接展示を早めのススキの飾りにしました。

記録的な連日の猛暑💧

マスコミは埼玉の最高気温に“熊谷市“をよく引用しますが、雨竹亭のある羽生市は、隣町のようなもの❗️

日々38度、時には40度にもなる今年の夏です。

昔なら“旧の盆が過ぎれば、朝夕には何処となく秋めいた風になる“と言われ、

まさにその通りでしたが、今は9月の声を聞いた中でも、真夏と変わりません💧

盆栽の遮光設備もいつ取れるやら…


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そんな中の“芒の飾り“    名筆田中訥言の月の図、まだ穂を見せぬ鷹の羽ススキ、

せめて秋の兆しを感じたくて、傍に虫籠を置きました。


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思えば、今年の“中秋の名月“十五夜は、9月ではなく10月⁉️

このままでは、秋風も月遅れの10月でしょうか😅


猛暑の続く羽生、連日35度超えでも、まだ梅雨明けになりません💦
盆栽も出来るだけの遮光設備を整えて、この夏を乗り切ってくれる事を祈るばかりです。
七夕の頃となり、毎年恒例の姫孟宗竹の床飾りをしました❗️

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この時だけに使う掛物、明治の大家・竹内栖鳳の「雨中の蛍図」が、今年の雨竹亭の床の間にも掛けられました。
涼やかな竹林の景、雨降る渓流の葉蔭に身を潜める蛍達。

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「東の大観・西の栖鳳」と謳われた竹内栖鳳。
掛物には30代まで名乗っていた「棲鳳」の印。
もうこの掛軸を手に入れて、20年以上! 
季節を彩る床の間の掛軸約20点も、ほぼ固定されてきました。
勿論現在のものより、さらに似合うものがあれば入れ替えていますが、間調子と筆の良いものとなると、中々ないものです。

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今年は、6月30日の、“夏越の祓“に因んだ、京都の夏の風物詩、「祇園祭り」の、長刀鉾の山車が描かれた掛物をうっかりかける時を逃してしまいました💧
季節の移ろいを失念するようでは、頭の中も“熱中症“ですね‼️


大型連休も過ぎれば、暦の上での「立夏」。
新緑や若葉ともてはやされた、もみじをはじめとする葉物盆栽達も、
徐々に葉数を増やして、“緑陰“と言う言葉が似合う季節に向かいます。

雨竹亭の庭園応接室も、“夏の始まり“を感じさせる、「岩がらみ」を飾る季節になりました。

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薄緑の葉上に咲く、まるで“紫陽花“のような花
(正確には花ではなく、真花のまわりの萼片が進化した“装飾花“)は、
まだ私が二十代の頃、尾瀬など、標高の高い高原を山々を分け入っていた時、
巨木を見上げると、登れぬ程の高い所に、まるで蝶が群舞しているように見えたあの樹です。

5月から6月、岩がらみは、毎年私の目を楽しませてくれます。

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織田杏斎の「雨中の杜鵑」に合わせてみました。
霧煙る里山、一羽の杜鵑が“一閃“と言う、ホトトギスならではに使われる、
スーッと翔ぶ姿を、日本画家達は、見事に描いています。

“潤湿な空気“と言う季節をそのまま受け入れて感受する日本人の感性はいいものですね!

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脇に飾った、瀬田川梨地の山形石。
月明かりを照らすような美しい石肌、「樹・石・画」が、ひとつの“今“と言う、この国の“何処かにある“自然を床の間に現出しています❗️

枝垂れ桜から山桜、桜に酔いしれた2週間! 
そんな内に庭の雑木はすっかり新芽を吹き、新緑の世界が広がり始めました❗️

待ち遠しかった、床の間のもみじの飾り。

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昨年手に入れて、早春に鉢合わせをした獅子頭を飾ってみました。
陽射しに透けるような美しい若緑は、命の再生を物語ってくれる何よりのものです‼️
「揚げひばり」の掛物を合わせてみました! 

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陽春の田園風景の空、さえずるひばりの姿、そこには新緑の世界が!
脇床には山からの沢水を想わせる揖斐川の溜まり石。
緑に大空のひばり、山からの沢水。

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当たり前の季節の世界を席に現すのは毎年の事ですが、
何度やっても、来る季節の自然はありがたいものですね‼️

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