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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 中国


1年ぶりに中国へ行き、盆栽鉢の最高峰、江蘇省宜興県は、清朝より400年を超える陶芸の故郷❗️

ここで作られた“紫砂“を原材料とする盆器は、名器“烏泥“に始まり、

泥物鉢の名品の数多くを日本にもたらしてくれました。

残念ながら、現在の社会体制の後は、工場生産の汎用品ばかりが渡来するようになり、

“今の中国の新渡鉢は質が悪い“と言う評判が日本盆栽界の通評となってしまいました。

私が17歳の頃、師匠やその友人達(当時の日本盆栽界の中堅群)が、海を渡り、

“本来の名器の再現“に挑んだ事がありました。

あの時の陶土と“焼き“は本物でした!


15年前より、この地を度々訪れて、当時の陶土を今も混じり気なく使用して、

“古渡盆器“の形姿を頑なに守っている窯場と出会いました。


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来春より、約300種に及ぶこの宜興賓作を通信販売で全国の方々にご紹介する為、

今回スタッフを伴い、約2,000万円の発注をまとめる為にこの地に来ました。


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“本物の土を使い、本物の焼成を行う“  私が生きている時は間に合わなくても、30~50年後、

未来の日本盆栽界で、現在の“中渡り“のような国風展などに使う鉢となってくれる事を願っています。


名匠木村正彦師が、“中国の我が兄弟“と喧伝する、常州市「随園」王永康師。


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七十代半ばを迎える中、今も新たな挑戦の日々を送られています。

数百年を経て自然界が創出した舎利幹の造形、そこに“新たな命“を吹き込み、

次代を予見する「創作真柏」を、“王永康の美意識“によって誕生させています。


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交流深い木村先生が、無から有を生む“石付創作盆栽“を世界に発表するように

王師は、命を終えた真柏の舎利に、“生きていれば、そしてもし完成していれば“と言う想いを込めて、

長い盆栽人生で己の隣を通り過ぎた数々の名樹を走馬灯のように心に浮かべながら、ひとつずつ創作されました。


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天然素材の枯渇していく中、時代の流れで、盆栽の価値観も変化していきます。

日本でも、以前は“タヌキ“と呼ばれ、低い価値で見られていた創作樹も、

社会での盆栽を日常的に飾るようになる中、市場評価も以前の数倍にまでなりました。

今後、このような創作真柏の価値は更に高まるでしょう。

大徳寺芳春院の秋吉ご住職が、以前このような言葉を下さいました。

「枯木再生花」枯木再び花を生ず、人の手により、生と美の共存した世界が再生される!

日中を代表する盆栽大家二人は、人生の到達点に近づく中、今も“次“を見据えた創作活動に全身全霊を傾けています❗️


【次代を占う“創作盆栽“!タヌキというなかれ‼️】

各地での式典を終えて、木村先生と常州の王さんの庭(2万5千坪❗️)を散策しました。
約3,000点の大型盆栽が、散策路に点在する庭!
その一角にまるで何処かの厳しい自然世界を見る様な場所がありました。

よく見れば、仕立て中の真柏の素材群❗️

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天然の舎利芸の素晴らしさは、“これは仕上げたら素晴らしい盆栽になる!“と、その舎利群の中へ分け入ってみると、
何と!そこにある真柏はすべて、“創作作品“  つまり枯れた真柏の舎利に溝を掘って苗木の真柏を入れ、3~5年の歳月を過ごしたものでした。

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日本では“タヌキ“と言われて、低い評価で扱われてきたものです。
しかし、時代と言うものは、その時の社会の価値観を作っていくもので、
最近は完成度の高い“タヌキ“作品の真柏が、プロのオークション(例えば、業界中央の水曜会・羽生の天地会など、有力オークション)でも、
30~40万と言う落札が起きはじめています!

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王さんは、
“高額な山採り真柏でも、舎利芸のつまらないものを数十万で買うなら、若木の根の強い創作品を、真実を伝えて紹介するのも現代の盆栽界“
と言います。

まさにその通りだと思います。
私が修業時代、今は国風展に数多く出品される宮島五葉、通称“大阪松“など、“接ぎ五葉など国風展に持ってきて“と蔑視されたものです。
また、真柏なども、今は国風展出品の過半数が、糸魚川真柏の枝接ぎで完成したものですが、
当時は“本性“と言って、キチンとした山採り真柏のまま出ないと、“枝接ぎか“と一段低く見られたものでした。
勿論、創作の真柏が国風展とは一概にいかないと思いますが、自然界からの素材入手が困難な今、
この様な技術で楽しめる盆栽に対しての理解と正当な価値評価が生まれてくる事は、とても良い事だと思います。

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天然素材を手に入れる事だけでも高額な真柏。
若い資力がまだ乏しい盆栽人でも、自分の技量と目筋で作れる作品。
タヌキと言うなかれ❗️
次代の創作盆栽‼️


上海から2時間、中堅都市(と言っても人口400万!)の常州市にある、
“随園“王永康先生の所で、木村先生と若者達の研修手入れがされました!

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黒松の老大樹!
僅か
2時間での整姿作業でしたが、ここにいる若者6人の中の2人、ツァオ君とハオ君は、木村先生の所で研修を2年した者!

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先生の手入れに対して“先の先“を読み取って、手際よく進める事のできる2人です。
“枝を下ろして、老木が生きようとしている姿を出したい。枝はそれでも上に向かおうとするから、その動きを大切に“
という言葉がありまし
た。

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天空に羽を広げる様な姿!
本来は春先からの施肥・多水・葉透かし・をしての黒松ですが、取り敢えず、“図出し“と言った感じの仕事でした。

一番大切なのは、盆栽が好きで王永康先生の所へ集ってくる若者達は、
目をキラキラさせて、今自分が出来る仕事を頑張っていた事です。

それにしても、ここはどれだけの盆栽があるのでしょう😅
盆栽に囲まれて、一心不乱に打ち込む若者達。
私にもそんな時代があった事を思い出す日になりました。


揚州“楊派盆景“を堪能して、陸路2時間で馴染み深い常州の地。
“中国の兄“と慕う、随園・王永康先生の庭に訪れました。
私は1年ぶり、木村先生は5年ぶりの訪問です。

丁度翌日開催が予定されていた江蘇省を中心の盆栽業者の集いの為、多くの顔見知りの方々がいらっしゃいました❗️
刻を惜しんで皆んなで王邸の圧倒的な盆栽を散策‼️
溢れるばかりの“素材“の厚み❗️に感嘆するばかり!

最近手がけられている大型(超大型❗️)の石付盆栽は、木村先生をしても“夢のある仕事“と言わしめていました。  

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王先生のアシスタントとして日夜盆栽の技術取得に頑張っている、羽生の“我が子“ハオ君とツァオ君も、元気に佳き仕事をしているようです。

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“この樹はどうだろう?この樹は2人はどうした方がいいと思う?“など、相変わらず王さんは飽くなき探究心の塊り‼️

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遠い彼の地に来ても、盆栽談義となれば、国境などありません!
でも、これからの盆栽、つまり素材の多さには、羨ましいばかりです‼️

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