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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 中国


【次代を占う“創作盆栽“!タヌキというなかれ‼️】

各地での式典を終えて、木村先生と常州の王さんの庭(2万5千坪❗️)を散策しました。
約3,000点の大型盆栽が、散策路に点在する庭!
その一角にまるで何処かの厳しい自然世界を見る様な場所がありました。

よく見れば、仕立て中の真柏の素材群❗️

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天然の舎利芸の素晴らしさは、“これは仕上げたら素晴らしい盆栽になる!“と、その舎利群の中へ分け入ってみると、
何と!そこにある真柏はすべて、“創作作品“  つまり枯れた真柏の舎利に溝を掘って苗木の真柏を入れ、3~5年の歳月を過ごしたものでした。

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日本では“タヌキ“と言われて、低い評価で扱われてきたものです。
しかし、時代と言うものは、その時の社会の価値観を作っていくもので、
最近は完成度の高い“タヌキ“作品の真柏が、プロのオークション(例えば、業界中央の水曜会・羽生の天地会など、有力オークション)でも、
30~40万と言う落札が起きはじめています!

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王さんは、
“高額な山採り真柏でも、舎利芸のつまらないものを数十万で買うなら、若木の根の強い創作品を、真実を伝えて紹介するのも現代の盆栽界“
と言います。

まさにその通りだと思います。
私が修業時代、今は国風展に数多く出品される宮島五葉、通称“大阪松“など、“接ぎ五葉など国風展に持ってきて“と蔑視されたものです。
また、真柏なども、今は国風展出品の過半数が、糸魚川真柏の枝接ぎで完成したものですが、
当時は“本性“と言って、キチンとした山採り真柏のまま出ないと、“枝接ぎか“と一段低く見られたものでした。
勿論、創作の真柏が国風展とは一概にいかないと思いますが、自然界からの素材入手が困難な今、
この様な技術で楽しめる盆栽に対しての理解と正当な価値評価が生まれてくる事は、とても良い事だと思います。

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天然素材を手に入れる事だけでも高額な真柏。
若い資力がまだ乏しい盆栽人でも、自分の技量と目筋で作れる作品。
タヌキと言うなかれ❗️
次代の創作盆栽‼️


上海から2時間、中堅都市(と言っても人口400万!)の常州市にある、
“随園“王永康先生の所で、木村先生と若者達の研修手入れがされました!

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黒松の老大樹!
僅か
2時間での整姿作業でしたが、ここにいる若者6人の中の2人、ツァオ君とハオ君は、木村先生の所で研修を2年した者!

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先生の手入れに対して“先の先“を読み取って、手際よく進める事のできる2人です。
“枝を下ろして、老木が生きようとしている姿を出したい。枝はそれでも上に向かおうとするから、その動きを大切に“
という言葉がありまし
た。

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天空に羽を広げる様な姿!
本来は春先からの施肥・多水・葉透かし・をしての黒松ですが、取り敢えず、“図出し“と言った感じの仕事でした。

一番大切なのは、盆栽が好きで王永康先生の所へ集ってくる若者達は、
目をキラキラさせて、今自分が出来る仕事を頑張っていた事です。

それにしても、ここはどれだけの盆栽があるのでしょう😅
盆栽に囲まれて、一心不乱に打ち込む若者達。
私にもそんな時代があった事を思い出す日になりました。


揚州“楊派盆景“を堪能して、陸路2時間で馴染み深い常州の地。
“中国の兄“と慕う、随園・王永康先生の庭に訪れました。
私は1年ぶり、木村先生は5年ぶりの訪問です。

丁度翌日開催が予定されていた江蘇省を中心の盆栽業者の集いの為、多くの顔見知りの方々がいらっしゃいました❗️
刻を惜しんで皆んなで王邸の圧倒的な盆栽を散策‼️
溢れるばかりの“素材“の厚み❗️に感嘆するばかり!

最近手がけられている大型(超大型❗️)の石付盆栽は、木村先生をしても“夢のある仕事“と言わしめていました。  

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王先生のアシスタントとして日夜盆栽の技術取得に頑張っている、羽生の“我が子“ハオ君とツァオ君も、元気に佳き仕事をしているようです。

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“この樹はどうだろう?この樹は2人はどうした方がいいと思う?“など、相変わらず王さんは飽くなき探究心の塊り‼️

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遠い彼の地に来ても、盆栽談義となれば、国境などありません!
でも、これからの盆栽、つまり素材の多さには、羨ましいばかりです‼️


風光明媚な江蘇省の揚州へついた翌日、まずはこの地の歴史と素晴らしい景観、
そして“楊派“と呼ばれる独特の形式美を持つ、揚州の盆栽を見学に行きました❗️

「痩西湖」杭州の名勝“西湖“に因んだ“痩せた西湖“の名を持つ景勝地。
水の都らしい美しい景色!

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加えて200年前の豪商たちが遺した住居など、久しぶりに中国の佳き文化的世界を堪能しました。
併せて、この地で長く伝承された“楊派“と呼ばれる、樹冠も枝も、水平に形造られた盆栽達が、
見事な公園に展示されている様子は、行政機関も応援する盆栽文化が、この国にはある事が羨ましくも思えました。

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今回の揚州に招かれた展覧と交流会は、この地を代表する盆栽家、赵庆泉先生の業績を称えて、
その作品達と共に各地から友人が集うものです。

盆景公園にあった、赵先生の大型作品には、木村先生も、“これは素晴らしい!“と、
ご自身の創作盆栽と一脈通じるものを感じられているようでした。

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明日はいよいよ正式な式典となります。
中国全土から集まる盆栽家達は、その多くが旧知の方々です。
日本代表として、姿勢を糺して臨みます‼️


コロナ後、2度めの中国、木村先生とは2019年以来5年ぶりの訪中❗️
今回は、京都大観展にアジア代表審査員としてお招きしている
蘇州の張小宝先生達が主催されている2つのイベントに来賓として招かれての事です。

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まずは、成田から中国の“旧都“南京へ降り立ち、迎えの車で揚州へ。
ここは三国志時代、孫策孫権が治めた歴史深い地。
“楊派“と言われる盆栽のスタイルが古くから受け継がれている所!

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83歳の木村先生の随行者の気持ちで、無事に9日間の旅を終えて日本に帰る事が、私の大切な役目❗️水と翠豊かな揚州、今回の旅はここから始まります‼️
宿泊のホテルにも、楊派の盆栽が各所に飾られている事が嬉しいですね!

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