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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


1月10日、大徳寺への新年のご挨拶を兼ねて、初めて「雅風展」を見学に行きました!

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小品盆栽の世界は、門外漢の私ですが、展示されている樹々、売店の秀品、どれを見ても素晴らしいものばかり!
併せて、小鉢作家や名品盆器の展示だけでも、ひとつの展覧会を見ているようでした❗️

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普段から交流のあるプロの方々、初めてお会いする方々。 
同じ盆栽界でも、いろいろ違うものだなあ、と勉強になりました。

私が40年前、銀座三越で“小さな盆栽“を商っていた頃と比べれば、その規模、愛好家の層、共に世界レベルになってるように思います。
ただ、むかし、小品盆栽というもので、先輩達から教わった
“手のひらに乗る程度の中に、数十年の持込みと、ひと枝で樹相を表すもの“という世界から、
大型盆栽に求める樹姿が重要視されているように思いました。

勿論、私達プロは、愛好家の方々のご要望に則して変化してゆくもの。
“これは大変な手入れと管理の世界だ“が私の率直な感想でした。

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それでも、会場内の企画展示やイベントなどの豊かさ❗️
長年この展覧に携わって来られた業界の皆さんの汗と苦労の足跡を感じます❗️

海外の方々が、多くの来場者の半数近い事も、今まで小品界が、弛まぬ活動を繰り広げた証だと思います。
それでも・・やっぱり私は人間が大雑把なのか!
大きい盆栽に心が寄ってしまいます💦

なんでも勉強ですね‼️


第99回国風盆栽展も、1月初旬審査申込(締切すごく厳格です!)1/20には選考審査❗️
木村正彦先生の所では、ご自身の扱い分から、私共雨竹亭十数席、
そして各所からの扱い依頼を含めて、50点近い応募作品が、アトリエに集められます。

細心の手入れは勿論のこと、近年は審査方法が細かくなり、鉢映りなどは特に厳しくなっています。
この為、12月中旬には、約7~8割の樹の、“化粧植替え“が行われます。

大型の名木が、ひしめき合う木村先生のアトリエ。
所蔵される古渡りから中渡りの名器が、惜しげもなく
“この樹はこの鉢でいこう“と、先生の判断で、総出の作業が行われます。

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今回は、現在の東日本の代表的な先生のお弟子さん(とうに日本を代表する盆栽作家ですが!)藤川さん・森山さん、
これに埼玉県の白石君が助手参加❗️

現在の内弟子さん達を含めて、総勢8名と木村先生での、作業となりました。
鉢合わせをして、ここから審査に向けての“葉色“の調整や、微妙な手入れが進みます。
藤川さん森山さんのリーダー的参加で、木村先生も、何処となく安心しながら、“ここ!“という所だけを押さえているようです。

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幾つかの樹は、鉢映りでこんなに変わるものか!と変貌するものもありました。
どれだけの樹達が、この舞台裏である、盆栽達の「楽屋」での衣装合わせをして、送り出されたでしょう!
毎年40~50点が20年続いているとしても、800~1000点の盆栽❗️

ここでの作業が、いずれ次の人達に受け継がれる事を願う1日でした。


先日終了した「第44回日本盆栽大観展」は、出品展示・企画展・イベント・売店、すべての点で、内容の高い充実したものでした。
普段通りに点数審査を経ての内閣総理大臣賞を筆頭にする各賞は勿論の事、会場内に展示された、企画展も素晴らしいものでした。

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名門大樹園のお得意様の名木コレクションの一堂展示・名匠小林國雄先生の喜寿記念の個展ブース、
そして毎年“今年はどんな展示?“と注目される京都の財団「慶雲庵」の圧倒的な名樹陳列。

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開催期間中の好天もあり、入場者も多く、特に欧米を中心の海外来場者の多さには驚かされました。
歴史と格調のシンボルと言える、国風盆栽展と一線を画す大観展。
様々な発見を促すイベントや企画は、新しい盆栽界を占うようにも思えました。

特に面白かったのは、“世界のキムラ“初の実技講演に、飛び入り参加して下さった、春花園小林國雄先生! 

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進行役を務めた私も、長年お二人を見つめてきましたが、まさか二人の競演が実現するとは思ってもいませんでした!
遅れ気味の洛中の紅葉をよそに、大観展館内は、熱気で頬も紅く上気していたように思います‼️


10月下旬、都下立川市"国立昭和記念公園"内で、50回と言う作風展の記念展が開催されました。

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今年は九州熊本の佐々木さんが大賞"内閣総理大臣賞"を受賞されました。
普段からお付き合いのある佐々木さん。
満を持しての挑戦は感無量のようでした。

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今回は50回を記念して、歴代の大賞や各受賞作品が、一室に展示されていました。
受賞当時の姿をそのままに培養されているもの、新たな姿を求めて“あの時の樹がこうなったか!“と驚くもの!
丹精を重ねた年月の重みも感じる展示でした。

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小僧に入ったばかりの作風展が始まった頃、
第一回展で、名匠鈴木佐市翁が大賞を取られた瑞祥を観た時の衝撃は忘れません。

プロの中には、盆栽作家を目指す者、盆栽園として商売に励む者、生き方はひとそれぞれ。
それでも皆んな、盆栽が好きで好きで、生涯の仕事と思っている仲間たちです!
ここに飾られた名樹達、海外愛好家の強いラブコールで、多くの樹が海を渡る中、
次代のプロへの“道しるべ“として、少しでも国内に愛蔵される事を願うばかりです。


水石協会の理事仲間として交流深い、中川さんが主宰する、越後の水石展「楓石展」に行って来ました。

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会場は、銘酒“久保田“で有名な朝日酒造が所有している同家主人の旧宅「松籟閣」❗️
国の重要文化財指定となっている名建築です❗️

昭和初期に造られた、当時の最先端の“和洋折衷“の匠の技が込められた邸宅は、
その建築を拝見するだけでため息が出るほどです。

しかし、中川さんとその友人達がこの中で繰り広げる水石文化の“三昧“は、この文化財と見事に共鳴するレベルの高さでした‼️

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毎年拝見に伺っていますが、やっぱり水石は、展示会場というよりも、
このような落ち着いた木造建築の座敷でその本領が輝くように思います。

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日本の建築文化の素晴らしさも、先達が紡いで来てくれた、“文化の香り高い水石世界“  も、
次代にその感覚を残して行きたいものだと、振り返っても感じ入る展覧でした。

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