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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 展示会


帝都の鎮護社、明治神宮での恒例『奉納盆栽水石展』が、開催されました。

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水石協会の年少理事になった40代の初め、企画立案から開催に走ったあの頃を思い出します。
あれから四半世紀近く!
いつの間にか、海外の方で溢れるような観覧を得るに至った展示。
今年は過去最大の出品数となりました💦

展示会場での盆栽水石展が多い我が業界ですが、このような歴史と格式、
何よりも御社殿内陣の回廊と言う、神域の中での盆栽達は、普段と違って、どこか“おごそか“に見えます。

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大徳寺の盆栽庭園もそうですが、海外の方々にとって、盆栽がどれほど“日本の文化遺産“として評価を頂いているか、実感します。

昨年までは、この展示に併せて、“水石界の歴史“と言える『日本水石名品展』が、社務所講堂で開催されていましたが、
この文化の更なる広がりと多くの水石趣味の方々を趣味も正業も共に発展させる目的で、
8月に展示とオークションが続けて行われる『日本水石逸品展』として新たに始まる形になりました。

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回廊に飾られた盆栽と水石を記録に残そうと、iPhone片手に展示品が見えないくらいの人達が終日ご覧になっていました。
こんな光景をいろんな所で見られたら!
何処まで出来るか!頑張りたいです‼️


5月16日~7月15日、長野県岡谷市で活躍した、
盆栽水石界の巨人、小口賢一翁(号・寉甫)の書における足跡を遺された作品によって、市立岡谷美術考古館で開催されています。

5月18日は、翁の足跡を顕彰する刻があり、ご子息小口博正氏を中心のこの企画に私も久しぶりに岡谷市へ伺いました。

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出典:市立岡谷美術考古館HP https://okaya-museum.jp/

盆栽や水石を書と同じく、日本人の感性が成し得た芸術と捉えた翁は、
生涯生業の傍ら、自身の内なる研鑽によって、独自の境地へ達した書風を創り上げました。

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私も若輩の頃、賢一翁には、多くの薫陶を頂き、時にはその書を制作している隣で拝見する機会も得ました。
翁が逝ってもう長い時が過ぎました。
果たして今の盆栽水石界に、翁のような気概でこの世界を見つめた方がいるでしょうか?

文化財として登録されている盆栽庭園と建築「寉龍庵」は今も博正氏と奥様が、守って下さっています。

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翁の遺された盆栽達も、この庵で変わらぬ刻を送っています。
“顕彰する心“  多くの天界に逝った先人達が願った事、私達は今日を生きる事に傾注して、
巨人達が示してくれた“何を求めているのか?“を、もう一度再考すべき!という事が心に沁みる時間でした


福島県・日本盆栽協会「吾妻支部」の盆栽展が、毎年の恒例で、大型連休の3日間に開催されました。

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15名余りの会員の方々、協力される近隣の関係愛好家、そして大型作品などの搬入飾り付けなどを手伝う、出入り方のプロ達。
高齢化する支部会員の皆さんが、会場作りから手作りで行う展示!
手慣れたプロ達のお手伝いも不可欠です💦

国風展級の名木から、ご自身で何十年も作出されたものまで、幅広いのも、
その土地に根付く趣味の団体の和気あいあいとした世界ならではのものです❗️

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中には“この樹は、鉢を替えて少し作出すれば、国風展へも行ける!“と思う樹もありました!
さすが吾妻五葉松の故郷!
山採りの“将来の日本の盆栽界に大切な素材“と思うような樹も拝見できる機会です!

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業界主催の著名盆栽展に慣れている私達ですが、こんな“皆んなで手作りで開く展示会“、ずっと続けて欲しいですね❗️
1・2点、譲ってくれないかな!って思う樹がありましたが、お手伝いとしての役目、
グッとこらえて“いい樹ですねー!“と眺めていました💧


4/12(金)~4/14(日)、上野グリーン倶楽部で、春の恒例イベント、『翠緑盆栽展』が開催されました。

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古感見事な黒松や五葉松、生命の神秘すら感じる真柏の古木、
そして、今の季節を代表する、新緑の雑木盆栽の数々!

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冬季の格調高い『国風盆栽展』の素晴らしさは勿論ですが、
“春の息吹き“・“自然の生命の美“を感じさせてくれる、若葉の美しさは、何物にも代え難いものがあります。
全国から集められた多くの逸品が、“名残の桜“で賑わう、この上野公園に程近い、グリーン倶楽部に集まりました!

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同じ松柏類にしても、厳しい冬の姿と今の瑞々しい季節の葉色は違うもので、新しい1年を樹達が迎える“色“は良いものです❗️


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名画・横山大観の「雨後の山」と共に飾られた、五葉松「稲取」は、
旧高木盆栽財団の記念帖に平成2年(1990)にその姿を映してから34年、
一時衰弱がひどく、
木箱での必死の培養が続けられてから、初めての出品で、おおらかな勇姿が、“稲取生きていた!“ の声が、会場からも聞こえてきました。

新芽の動く時期の展示の難しさ💦
出品者も、扱い業者の方々も、その苦労に頭が下がります。


“水石を文化として美術館で“と言う水石界の大願。
それを実現したのが、11年前に開催された今も続く、東京都美術館での「日本の水石展」、
今年からその名を改めて「第61回日本水石名品展」となったこの展覧です❗️

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水石という、盆栽からすればマイナーとされる水石。
これが美術館と言う大舞台で続けられるのか?とい
う不安を一掃するように、
小林國雄理事長の旗の下、事務局長の私も10年の間、まさに“駆け抜ける“ように、
毎回“来年は何を首座に持ってこようか?“と思案しながら走り続けました。
名石「黒髪山」から、伊達家「鎌倉」小堀遠州「重山」そして信長由来の西本願寺「末の松山」
今では海外からの愛好家の定着、出品、そして年々増えて来た来場者の方々と若い層の注目❗️
ありがたい事です。

昨年就任された長沢新理事長は、四半世紀、水石協会を“縁の下の力持ち“で支えてくださって来た“影の功労者。
朴訥な性格の氏ですが、真の水石への慧眼深く、実直な旗頭として、
私も今回から総括理事としての立場で、相変わらず図録解説などの実務を預かっています。

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10年の刻をかけて築いた『日本の水石展』の重み。
しかし、水石界には『日本水石名品展』という、協会発足以来からの展覧会があります。
三越本店、盆栽倶楽部(現・上野グリーンクラブ)そして近年の明治神宮社務所講堂。
神宮は、協会誕生の時より、会長職を宮司様にお願いして、今の社団法人になってからは、名誉会長をお願いしています。

毎年6月には『奉納盆栽水石展』が、参拝される世界の方々を魅了して、日によっては展示している本殿回廊が、人だかりで盆栽が見えないほどになるのが常です❗️
その中、長沢新理事長の地道な努力で、美術館の「日本の水石展」が、60年続く「日本水石名品展」への名称変更の許可がおりました。
小林前理事長が尽力されて定着した「日本の水石展」を千穐楽にして、歴史と共にある旧来の名跡にするか?
私達役員は悩みましたが、長沢新理事長の“先人達が築いてくれた歴史を100年100回展にする為に“という想いに、小林前理事長が“いいと思うよ“の漢気❗️

こうして今回の『第61回日本水石名品展』は開催されました❗️
“河原にある石が美術館に飾る芸術?文化?“と、学芸的な立場の方々から揶揄された11年前を思うと、
水石に対する、愛好家の皆さんも含めての“思い“が、ここまで導いてくれたと思います。

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レベルも往時の日本水石名品展の絶頂期を凌駕する程になりました❗️
“帝都の美術館で水石展“ 
いつまでも、あの頃の開催に賭けた苦労を忘れずに、愛好家の方々に寄り添って、この文化を守り広めたいと願っています。

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