雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 水石


羽生から東北道~北関東道~関越道で、関越トンネル“谷川岳“を超えて(大袈裟ですね💦車で2時間半!)
越後の国、新潟県長岡市の水石家、中川さんの所へ伺ってきました❗️

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私と干支でひと回り上の中川さん。
煎茶を愛し、水石を愛し、ご自宅の一部を、来訪される趣味の皆さんとの語らいの場にして、悠々三昧の生活‼️

相変わらずの水石に対する目筋の良さ!

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拝見するものすべてが、“ズレてない“ 秀石揃い!
水石は勿論の事、水盤の話(当日は“幻の呑平“で盛り上がり!)道具の話、尽きる事ない楽しい時間でした!
ひとりの目利きが、創った“自分の世界“ 皆さんも長岡の方へ行く時、連絡して拝見すると良いですよ!
すぐ近くに、銘酒「久保田」の朝日山酒造があって、ショップやレストラン、楽しめます❗️


盆栽水石の研鑽の愛好家団体「玄虹会」回を重ねて16回目の展覧は、
舞台を京都大徳寺芳春院から
東京「春花園盆栽美術館」へ替えての展覧となりました。
当初、会員からは、“大徳寺から春花園か“と、格式という面で落胆の雰囲気すらありましたが、
蓋を開けてみれば、盆栽水石を飾る為に造られた本格数寄屋建築の同美術館の「啓雅亭」の見事な構えと、
11席に及ぶ床間造りに、感嘆の声すら上がりました。

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現在、「景道三世家元」を襲名されている春花園小林國雄親方。
つまり景道の本部教場でもあるここで、玄虹会の飾り上手の面々によって繰り広げられた“三昧世界“は、さすがのひと言でした。

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五葉松に名筆橋本関雪の旭日、脇に翁の像。
まさに“ハレ“の一席。

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季節を謳う枝垂れ桜、掛物は“描き表具による“雪月花“  心に染みる情感豊かな席。

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そして大座敷中央には、ハレも季節も超越した、蓬莱山を想わせる八瀬の石。
名筆村上華岳画伯の名品「観世音菩薩像」、脇床には真葛香山の香炉の格調。
仏性観を心底に込めた、飾りの奥義を観たように思う一席でした。

その他、茶室に設えた台座石と水盤石の水石飾り、大観の名画と真柏の大床飾り。

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盆栽展で見る盆栽とはひと味もふた味も違う世界観。 

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“趣意を練る“そしてその心に合わせた主飾りと各種道具、この趣味の高みを目指す方々の心意気が満ち溢れる会となりました❗️
この玄虹会展の中身は数回に分けてご報告します。
併せて、私がナビゲーターを務めるYouTubeチャンネル「WABI CHANNEL」では、その全貌をお紹介しますので、是非チャンネル登録をしてお楽しみ下さい‼️


“水石を文化として美術館で“と言う水石界の大願。
それを実現したのが、11年前に開催された今も続く、東京都美術館での「日本の水石展」、
今年からその名を改めて「第61回日本水石名品展」となったこの展覧です❗️

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水石という、盆栽からすればマイナーとされる水石。
これが美術館と言う大舞台で続けられるのか?とい
う不安を一掃するように、
小林國雄理事長の旗の下、事務局長の私も10年の間、まさに“駆け抜ける“ように、
毎回“来年は何を首座に持ってこようか?“と思案しながら走り続けました。
名石「黒髪山」から、伊達家「鎌倉」小堀遠州「重山」そして信長由来の西本願寺「末の松山」
今では海外からの愛好家の定着、出品、そして年々増えて来た来場者の方々と若い層の注目❗️
ありがたい事です。

昨年就任された長沢新理事長は、四半世紀、水石協会を“縁の下の力持ち“で支えてくださって来た“影の功労者。
朴訥な性格の氏ですが、真の水石への慧眼深く、実直な旗頭として、
私も今回から総括理事としての立場で、相変わらず図録解説などの実務を預かっています。

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10年の刻をかけて築いた『日本の水石展』の重み。
しかし、水石界には『日本水石名品展』という、協会発足以来からの展覧会があります。
三越本店、盆栽倶楽部(現・上野グリーンクラブ)そして近年の明治神宮社務所講堂。
神宮は、協会誕生の時より、会長職を宮司様にお願いして、今の社団法人になってからは、名誉会長をお願いしています。

毎年6月には『奉納盆栽水石展』が、参拝される世界の方々を魅了して、日によっては展示している本殿回廊が、人だかりで盆栽が見えないほどになるのが常です❗️
その中、長沢新理事長の地道な努力で、美術館の「日本の水石展」が、60年続く「日本水石名品展」への名称変更の許可がおりました。
小林前理事長が尽力されて定着した「日本の水石展」を千穐楽にして、歴史と共にある旧来の名跡にするか?
私達役員は悩みましたが、長沢新理事長の“先人達が築いてくれた歴史を100年100回展にする為に“という想いに、小林前理事長が“いいと思うよ“の漢気❗️

こうして今回の『第61回日本水石名品展』は開催されました❗️
“河原にある石が美術館に飾る芸術?文化?“と、学芸的な立場の方々から揶揄された11年前を思うと、
水石に対する、愛好家の皆さんも含めての“思い“が、ここまで導いてくれたと思います。

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レベルも往時の日本水石名品展の絶頂期を凌駕する程になりました❗️
“帝都の美術館で水石展“ 
いつまでも、あの頃の開催に賭けた苦労を忘れずに、愛好家の方々に寄り添って、この文化を守り広めたいと願っています。


【“一照千隅“  伝教大師・最澄の心を水石に込めて】

以前KBS京都の長寿番組「比叡の光」に大徳寺芳春院盆栽庭園で取材を受けた縁で、
天台宗大本山「比叡山延暦寺」の教務主事、清原徹雄師を訪ねて、琵琶湖畔、大津市坂本町にある、延暦寺“里坊“の本坊「滋賀院」に伺いました。

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里坊とは、本来山内(比叡山の上)で生涯を過ごす天台僧侶達が、高齢となり、座主の許可を得て、山麓の街に下りて暮らす為の、塔頭のようなもの。
現在でも50以上の里坊が、山麓や琵琶湖畔に点在しています。
この里坊の“本山“としての役目を担うのが、この滋賀院です。

1615年、“黒衣の宰相“と謳われた、天台僧“天海”が、
後陽成天皇より京都法勝寺の建物を下賜されて、1655年、後水尾天皇によって名を賜った寺院です。

大徳寺でお会いした時から、物静かで柔和な、それでいて身を律した立ち居振舞いに、厳しい修行をされた方のみが漂わせる“静かな力強い気品“を感じる方でした。
テレビ収録でお別れする際、“必ず叡山にお伺いします“と約束し、今回あるものをお届けする為に、ご都合を頂きました。

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瀬田川石、石肌の片隅にまるで蝋燭が灯るような紋様が浮かび出た石。
天台宗の開祖、伝教大師(最澄)が唱えた有名な言葉・“一隅を照らす“  これは世界遺産となった、
延暦寺の根本中堂に千年の時を過ぎてなお守り伝えられる灯火、“不滅の法灯“と繋がります。
(浄土宗・法然)(浄土真宗・親鸞)(臨済宗・栄西)(曹洞宗・道元)(日蓮宗・日蓮)他、
日本の仏教を創られた多くの僧侶が、修行の時を過ごした延暦寺。

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清原徹雄師は、快く受け取って下さいました。
この石はこれから数百年、比叡の山懐に静かに蔵されます。
いつの日か、水石文化に興味のある人物が、この“仏教の母山“にある、この石を観た時、
また新たな歴史が始まってくれる事を微かに願って、尊い聖地を後にしました。


水石界の悲願だった“美術館での水石展開催“という実現を、春花園・小林國雄理事長(今春勇退・最高顧問に)と共に10年、
今では海外の水石愛好家の皆さんの出品も定着した東京都美術館での『日本の水石展』
(来年より歴史ある“日本水石名品展”への名称継承が認められました)150席に及ぶ美術館での展覧には、
日本ならではの、“床飾り“風の展示設備を作る為、この部分への出品料は10万円愛好家の方々に負担して頂いています。

200ページの記念図録と共に、趣味家の皆さんにこれ以上の負担をかけるわけにもいかず、
1000人にも満たない“小さな協会“は、いつも“財布は空っぽ“状態💧
苦肉の策として、開催を始めた「水石オークション」
今年から正式に日本水石組合が主催することになり、収益金の半額を文化団体である日本水石協会に寄付して下さる事が、総会で認証されました。
ありがたい事と、私を含めて協会役員も全員参加のオークションとなりました!

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“水石文化を守り広めよう“と、想いを共にする仲間達が、“商売夏枯れ“の今、損を覚悟で、全国から出品協力をして下さいました。

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名匠木村正彦先生を筆頭に、約100名のプロ達が、多数の盆栽・水石・樹鉢・水盤・卓などを、
さすが水石オークションと言える内容で集めてくれました。
感謝です。

朝8時、掛け声とともに開始され、夕方5時、手締めで終わった成果は、約5000万円。
誰も儲かってはいないでしょう。
業界の為と、出血落札を覚悟で皆んなで頑張ったのです!

水石組合の理事長に就任された、小林國雄氏、75歳で社団法人の長を退かれた中、
水石界の“頭“として、業界の安定的発展を見守ってもらう為に就いて頂きました。

水石文化を広めるには、様々な努力が私達プロには必要です。
その中に市場形成と言う大切なものもあります。
いくら“文化としての水石“と説いても、
そこにある水石や水盤が、価値あるものである事を、趣味家の方々にも、ひいては若いプロの人達にも、
こうしてオークションでかかるひとつの石が“30万!50万“と言う姿を目の当たりに見てもらう事が、
一番の刺激にも“自分もプロとして水石をもっと真剣に学ぼう“と言う気持ちになってもらえると思うのです。

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私もオークショナーを務めて、はや10年💧
さすがに
翌朝は声もガラガラ💦
65歳を前に、“次なる水石のオークショナー“を育てないといけません!
それには私のように、何よりも水石が好きでたまらないと言うプロの出現を期待するばかりです。

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