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盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 盆栽


帝都の鎮護社、明治神宮での恒例『奉納盆栽水石展』が、開催されました。

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水石協会の年少理事になった40代の初め、企画立案から開催に走ったあの頃を思い出します。
あれから四半世紀近く!
いつの間にか、海外の方で溢れるような観覧を得るに至った展示。
今年は過去最大の出品数となりました💦

展示会場での盆栽水石展が多い我が業界ですが、このような歴史と格式、
何よりも御社殿内陣の回廊と言う、神域の中での盆栽達は、普段と違って、どこか“おごそか“に見えます。

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大徳寺の盆栽庭園もそうですが、海外の方々にとって、盆栽がどれほど“日本の文化遺産“として評価を頂いているか、実感します。

昨年までは、この展示に併せて、“水石界の歴史“と言える『日本水石名品展』が、社務所講堂で開催されていましたが、
この文化の更なる広がりと多くの水石趣味の方々を趣味も正業も共に発展させる目的で、
8月に展示とオークションが続けて行われる『日本水石逸品展』として新たに始まる形になりました。

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回廊に飾られた盆栽と水石を記録に残そうと、iPhone片手に展示品が見えないくらいの人達が終日ご覧になっていました。
こんな光景をいろんな所で見られたら!
何処まで出来るか!頑張りたいです‼️


“ここからの盆栽人の役割り“という、次代にかけるステージ作りの相談で、
久しぶりに長野県鈴木伸二さんの庭に伺いました。

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生憎の空模様でしたが、庭内・邸内共に、“なんてキレイなんだろう‼︎“と、ため息の出る程に、
陳列も季節感も、盆栽から草物まで、“美しさとは“を追求した構成が、各所にされていました。

鈴木さんと言うと、名木の作出者のイメージが強いものですが、
繊細な美意識は、彼の“アトリエ“と言うべき、この小布施の地に来ると、よく分かります。

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私の所のスタッフたちにも、もっと勉強して欲しくなります💦
私も彼も60代、バトンタッチする時期と、
現代社会に伝えたい盆栽のシーンを頭に描く事の多いこの頃です❗️


中国、唐の時代の都、西安で出会った少年達は、日本での3年の修行を、私の所と、木村正彦先生の所で、必死にその腕を磨きました。

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“2度と出来ない貴重な時間“  彼等は誰よりもそれを理解していました。
朝から晩まで、自分に与えられた時間すべてを盆栽の為の時間としていました。

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言葉すら誰が教えるでもなく、帰国の頃には、日常会話には困らない程になっていました。
コロナ発生直前に帰国してもう3年余り、名匠、王永康先生の所で過ごす2人は、
私の“目先の商売などに捉われるな、王先生の下で、盆栽の作出技術の研鑽だけに集中して頑張れ!“ 
という教えを頑なに守って、彼等は私の思った通りの技術者に育ってくれました。

“もう一度日本で更に深く教えたい“ そんな身勝手なことすら思う2人です。

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2人の故郷である中国で、ここからどんな幕を開けてゆくか?楽しみでもあり、不安でもあります。
“染まらないで欲しい、生粋の盆栽人であって欲しい“ 
それを願うばかりです。

そろそろ、悠久の大陸を久しぶりに周遊したくなりました。
“何を伝えるべきか?“  65歳になる今、そんな事を思います。


日本の盆栽鉢作家達が、次々と亡くなり、“本物の盆栽鉢“を作る方が、本当に数少なくなりました。
不足する分を補うように、中国より大量の“新渡“と呼ばれる鉢が、我が国に届きましたが、
20~30年前の作品は、それでも1点造りのしっかりしたものがありましたが、
経済成長著しい中国では、“陶都“ 宜興ですら、大量の胎土と手間のかかる盆器から、
アトリエの一室でも作れる茶陶関係に、若い陶工は向いてしまっています。

8年程前、中国の最上質の陶土を用いた、往時の“失われた盆器“の再現をしてみようと、泥物の宜興、釉薬の広州(広東)に赴いて、
30年50年の後、多くの盆栽界の方々が、良質の鉢として楽しめるように“実用の名器“を作り始めました。

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本物の土、本物の焼成、本物の釉薬、幾度も訪れて、現地の陶工の人達と交流を深める中、
少しずつ、お互いが、“良い物を作りたい“という意識で共通した人間関係にまで、辿り着きました。

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出来上がった鉢を少しずつ日本に運び、試験的に、展覧会のブースなどで発表して行くうちに、
プロの方々から“良い鉢だね“ “森前さんの作った鉢は、寒さに当てても割れたりしない“など、一定の評価を頂くまでになりました。

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“全国に広めたい“  そんな思いから、カタログによる地域性を無くした通信販売への計画を立てて、
現在、その集積地と設備を模索しているところです。

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制作・輸送・様々なコストが値上がりする今、実際に事業になるものか!不安なところもあります。
しかし、“この仕事はやるべきものか?“と、自問すれば、“必ず未来に答えがある“と確信出来るのです。

私がいなくなる頃(15~25年後💧)には、国風展などでも見かける鉢になってくれればと思います。
それにしても、いろいろ“係り“が加算して、頭が痛いです😓


福島県・日本盆栽協会「吾妻支部」の盆栽展が、毎年の恒例で、大型連休の3日間に開催されました。

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15名余りの会員の方々、協力される近隣の関係愛好家、そして大型作品などの搬入飾り付けなどを手伝う、出入り方のプロ達。
高齢化する支部会員の皆さんが、会場作りから手作りで行う展示!
手慣れたプロ達のお手伝いも不可欠です💦

国風展級の名木から、ご自身で何十年も作出されたものまで、幅広いのも、
その土地に根付く趣味の団体の和気あいあいとした世界ならではのものです❗️

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中には“この樹は、鉢を替えて少し作出すれば、国風展へも行ける!“と思う樹もありました!
さすが吾妻五葉松の故郷!
山採りの“将来の日本の盆栽界に大切な素材“と思うような樹も拝見できる機会です!

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業界主催の著名盆栽展に慣れている私達ですが、こんな“皆んなで手作りで開く展示会“、ずっと続けて欲しいですね❗️
1・2点、譲ってくれないかな!って思う樹がありましたが、お手伝いとしての役目、
グッとこらえて“いい樹ですねー!“と眺めていました💧

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