雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 雨竹亭


春の彼岸の頃となれば、私達盆栽家は、夜も昼もなく、庭内にある盆栽達の植替えに追われます。
芽出しが進む雑木盆栽、鉢を抜けば、びっしりと張った新根💦

数千本の保有盆栽、毎年150〜200点の植替えを順々に進めますが、
有難いことに、年々で“お嫁に行く“樹達の後から、新しくこの庭に来た樹達、
他所から“売られてきた“この子達のほとんどが、数年植替えなどされていないものが多く、
結局雨竹亭は、毎年同じ数を植え替えなければなりません💦

まずは、レンタル盆栽で、一所懸命“出稼ぎ“をして来てくれた盆梅達、これを4人がかりで、一斉の植替えを行いました。

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腕が上がらなくなるような作業😓
気が付けば、50本を1日で進めました❗️ 
用土を入れ替えるだけではなく、鉢を替えたり、植え付けの角度を見直したり、枝の切込みなど、
この時に次の舞台への準備も含めた様々な作業をしています。

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“果てしない植替え作業💦“ 
ここから雑木盆栽、一段落の後には、松柏盆栽が控えています。
土とハサミと盆栽。
没頭すれば、これ程に楽しい時はありません。

まだ始まったばかり💦あと300~500本❗️
どうやって遂行しようか😓

頭が痛いです😣


【世界を翔ける二人の真の心の内 “盆栽への愛!命を創ること!”】

国風展が終わって間もない頃、密かに進めていた“夢の対談“が、羽生雨竹亭で行われました。

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“世界の木村” 木村正彦先生、“鬼才“ 小林國雄先生、この二人の共演での対談形式の撮影💦
“両雄並び立たず“と言われたこの企画、お二人とも“森前君の頼みなら“と、1ヶ月前に、快諾を頂いていました。

親交深い月刊『近代盆栽』を発行されている近代出版・徳尾隆次社長に相談して、
私がナビゲーターを務めるYouTubeの「WABI CHANNEL」が先立って、
3月16日(土)21時〜、23日(土)21時〜の2週にわたって、公開されます。
『近代盆栽』は、5月発売の6月号の誌面で、この様子を専門誌の視点で特集されます。

撮影当日は、お二人にお願いして(あつかましいのは覚悟の上😅)
名匠の代表作・真柏「登龍の舞」黒松「翔鶴」を応接床間に飾り(名樹2点を一緒に!ホントにあつかましいですね💦)
私のMCで、“巨人“ お二人に忌憚なき問い掛けをさせて頂きました❗️

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深く・真っ直ぐで・飾りないお二人の言葉、走り抜けてこられた其々の道のりは違っても、
盆栽人として仰いだ“頂き“は、同じものなのだなあ!と痛感しました。 

名樹2点に併せてかけた書、西郷隆盛(号・南州)の「淡如雲」“淡き雲の如く”
最近毎朝自身の鍛錬で書を書かれている小林先生は、その語彙と筆力に感動されていました。

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対談の中で私がお二人を、“正当派の修練から独自の世界を築かれた“木村先生を“近代日本画の象徴・横山大観のよう“として、
小林先生を“反骨精神と独学の先に辿り着いた美意識で、1970年大阪万博のシンボル・太陽の塔を残された、鬼才・岡本太郎のよう“
と表現した事を大変喜んで下さいました。

心に染みる談話の中身、是非YouTubeで、臨場感と共にご覧になって下さい‼️

WABI CHANNELはこちらから
是非チャンネル登録お願いします!


立春の雪模様の中、間もなく開催される『国風盆栽展』と『日本水石名品展』、
そして上野グリーン倶楽部での『立春盆栽大市』の準備で、てんやわんやの毎日💦

でも、そんな時だからこそ、羽生の応接展示室に、少し静かな“松の床飾り“をしてみました。

赤松の五幹の木立、古くは大宮盆栽町の名園、九霞園初代、村田久造翁が作出した樹。

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長く京都北部舞鶴の愛好家が持って、最近まで大阪の大家愛好家の棚にあったものです。

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古感見事な幹肌、疵気ない木立の様は、まるで長谷川等伯の名画「松林図」から抜け出てきたような錯覚を覚える樹です。

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近代日本画の大家、橋本関雪の「月の図」
蕭々と冷気を纏った風が席中に吹く想いが感じられます。
樹と画、共に精神的な“厳しさ“があります。

そばには、木彫の蘇東坡像。 
どこか漢詩の世界にいるような一席です。


もう一つは、五葉松の根連り。 
幾本もの幹立ちが、風に靡くように生い立っています。

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ひとつの根から生まれた木立、まさに“何処かにある原風景“を思わせてくれます。

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掛物は、幕末期の名筆、田中日華の「雪月花」。
“描き表装“という、よく見れば、表具仕立てに見えるすべてが、画家によって書かれたもの!
月下の雪や花びらは、降り下りる中で、いつの間にか消えています。

季節の移ろい、儚い美に込めた“もののあはれ”  日本の美意識の結晶ですね❗️
こちらの席は室全体で飾り、脇床には、加茂川の伸びやかな大型山型石。
古感素晴らしいこの石は、京都“洛中“の旧家の蔵深くに、長く眠り続けていたものです。
“松風吹く月下、淡雪とも散り花とも見ゆる儚さ、仰げば何も変わらない山並の姿“ ・・。

花物や季節を彩る盆栽達も良いものですが、こうした松の美を湛える飾りは、やっぱり“王道の盆栽飾り“と言えますね❗️
さあ!国風展(上野の売店の方が大変💦)の準備が、ギリギリまで続きます‼️


私達、盆栽を生業とする者は、お得意様との長いお付き合い、自園に訪れて下さる愛好家の方々との出会いから生まれる盆栽の販売、

地域の皆さんへの奉仕の気持ちでの盆栽教室、そして、大切なお客様方からお預かりする盆栽の管理・手入。

盆栽を中心とした多種多様な仕事で成り立っています。

近年はこれにインターネット上での販売が、大きな位置を形成し始めました。

時代が移り変わり、その時代に合わせた愛好家のニーズによって、

“売れ筋“の動向が少しずつ変化するのは当然と思いますが、

昨今の「海外に需要があるか・無いか」での、樹種による価格変化の偏向には、

半世紀盆栽に携わって生活をさせて頂く身として、忸怩たるものを思っています。


例えば、松柏盆栽の王道の頂点は、揺るぎなく五葉松でした

(実生や山採り五葉松の事!大阪松、別名宮島五葉、銀八は、黒松台木での別種で人気あり)。

しかし、海外の圧倒的な需要で、“五葉松は日本と同じ気候でないと痛む“と言う点で、

黒松・真柏からすると、その評価は半減と言う現状です。


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赤松なども、本来は黒松の上位として評価されてきた種ですが、

この数年で、赤松も五葉松と同じく、繊細な管理に不安を覚える海外勢の影響で、黒松の半額にも届かない状態です。

五葉松・赤松にしか表現出来ない微妙な盆栽の美観と言うものが、プロは理解しながらも、

“明日の糧“の為に、買い支える事も出来ず、売買価格が下落する一方と言うのが現実です。

(逆に言えば、日本の愛好家の皆さんは今こそ五葉松・赤松は“買い“なのです❗️)


勿論、本来の文化的美的価値と市場評価は異なる場合はあります。

しかし、100年の刻を経て斯界の先人達が築いてきた“価値観“は、揺るぎないものとして、

私達プロは、応対する愛好家の方々に、その真実の価値というものを伝える責務があるように思います。


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盆栽のグローバル化で、経済発展著しいアジア各国の盆栽熱は、日本国内の比ではないのも事実ですが、

“黒松・真柏は元気で丈夫“  このひと言で、100年の日本の盆栽の価値基準が右往左往する事に、

やむを得ないとは言え、“昭和の盆栽人“には、忸怩たる思いを隠す事が出来ません💧

海外の方々が、日本の盆栽を高く評価して下さる事は有り難く嬉しい事ですが、

そこに生業の糧を一極集中するのではなく、併せて、国内の次代の盆栽界の事を真摯に見つめる事も、

盆栽園を営む私達は、忘れてはならないと思います。


“味のある樹・古感こそが命・作り過ぎない樹“  色々な表現はありますが、全部日本盆栽界の歴史を物語るものです。

盆栽の人口は海外勢やインターネット内を含めれば増加しています。

しかしこれは、以前のような“国風展“を頂点とする趣味家世界の構造とは違います。

現に1万人を超えていた盆栽協会員も現在は4,000人を下回っています。

盆栽業者である私達の責任もあります。

来園して下さる“いちげんさん“の若い方々に、どれ程の応対をしているだろうか?と自省する事もあります。

旧高砂庵・岩崎大蔵先生の言葉が蘇ります。

“業者は種を蒔け・挿し芽をしろ“ 

この言葉は、そのまま初心者の愛好家を丁寧に育てる事に繋がるように思います。


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海外勢の偏向評価に一喜一憂する前に、門を潜って来園されるすべて皆様に、かけるべき言葉を大切にしなければ!

“いらっしゃいませ!盆栽は初めてですか“と。

あっ!それと、五葉松、赤松、やっぱり素晴らしいものです❗️


明けましておめでとうございます。


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この拙いブログも、9年目に入りました❗️

ありがとうございます。

元日の夕方、北陸を中心に起きた地震💧 

多くの人達が辛い思いの中に新年を迎えられる事になってしまった事、心からお見舞い申し上げます。

 

日常の盆栽屋の独り言から、いつの間にか海外の出来事、果ては、京都大徳寺での庭園❗️

あっという間でもあり、その中で経験した事、出会った人々、

振り返れば“いろいろあったなあ“と思うことばかりでした。


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15歳で盆栽の道に入って、50年の時が経ちました。

私のような好き勝手にしか、物事を出来ない劣等生が、ここまで来れたのは、

周りを支えてくれる家族や仲間、そして何よりも見守って下さるお客様のお蔭です。


美しい自然は私達日本人の宝物です。

それでも時に私達に苦難と試練を与える事もあります。


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でも日本という国は、これをいつも乗り越えて、生きてきました。


新年の床の間飾りをしました。


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“辰年“に因んで、真柏と龍の掛物、

前年の“ウサギが跳ねて、龍が天へ昇る年“になってほしいと、願いを込めてみました❗️

掛物の龍は富士を目指しています。

龍ほどの仏性の化身でも、霊峰から見れば、小さいものです💦

それでも雲間を貫いて“目指す山“へ翔ける龍の姿。


今年も、お客様、業者仲間、スタッフ、そして私を見守ってくれる家族に感謝しながら、

盆栽人として、精一杯の一年を過ごしたいと思います。

今年もどうぞ、宜しくお願いします。

皆様にとっても、佳き年となりますように。

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