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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


この頃、10年を超えて続けているこのブログや、YouTubeで多くの皆さんに発信している「WABI CHANNEL」などの影響からか、

最近色々な所から、私のような盆栽と水石の事以外は、“社会の劣等生“と言える者に、講演の依頼が来ます。


拙い私ですが、お受けしたからには、非力浅学の身でも、精一杯の事をお伝えしたいといつも願っています。

盆栽の歴史や、樹齢数百年の名木などをお見せしてお話しすれば、皆さん喜んで下さいます。


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しかし、66歳、盆栽の世界に入って51年になると、ふと振り返ることがあります。

私が、盆栽を「天職」と思えるようになったのは、そのようなことだっただろうか?と思う事です。

長い時の中で、挫けそうになったり、命の灯火すら消えかかるほど“心の病“の時、

私をもう一度歩き始めるまでにしてくれたのは、決して名樹のような盆栽達ではなかったように思います。


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誰にも振り返ってもらえないような、小さく見すぼらしく、中には半身が枯れてなお、懸命に“生きよう“として

残された枝や芽を必死に陽の光に向かって伸ばしている“健気な樹達“だったように思います。


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勿論広義としては盆栽の古木や名樹からの感動は大切です。

でも、“見捨ててはいけない命“に対しての見方も盆栽から感受出来る、誰にでも伝えられる“心の有り様“とも思うのです。

“どうしたらその両面を伝えられるだろう?“

最近はそんな事を考えることが多くなりました。やっぱり年ですかね💦


どれくらいぶりか?

忘れているくらい訪れていなかった、日光の山々を散策しました。

若い頃(十代から二十代前半)は、月に一度の休みの殆どを、ふるさと日光の自然の中にいました。

鳥の声・山々の姿・渓流の清々しさ!


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毎年“行きたい“と思いながら、毎年💦行けずにいた世界。

思い切ってひとりで山へ入りました。

65歳になる今、足腰にはこたえましたが💦そこに見えた景色は、

いつの間にか忘れかけていた、自分の心の中にある原風景でした。

“熊野古道“を想わせるような山間の石畳の道、いつ人が歩いたのか?わからない“道なき道“。

渓流の両側に広がる雑木林と杉の木立達は、

まるで、盆栽がこんな風に出来ればと想わせる景色でした。


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名匠木村正彦先生が、中国黄山へ共に旅した時の山々に生きる松達を観て語られた言葉を思い出しました。

「森前君、あの姿を見てご覧。手入れなんか要らない姿だよ。いや誰かが手入れしているんだよ。私もあんな風に樹を作りたいよ」

“自然を観ろ、ありのままの樹に教われ“ 若い頃良く言われた言葉が重なる1日でした。


7月10日に私共羽生雨竹亭で開催された、恒例オークション「天地会」は、
著名愛好家のコレクション一群が出品されるなど、全国の実力派業者が集った大型現金オークションとなりました。
出来高1億円を超える事は久しぶり❗️
参加して下さった方々に感謝です🥲

レベル高い盆栽が出れば、競りの掛け声も多く、中々落札出来ません💦
素材の激減する中、“未完の樹“を狙ってみました‼️

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三重県から出品された真柏達!
畑作りで見事な幹姿ですが、ここからの“盆栽への道“は、作出者の技量で大きく変わります。

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参加されていた、“稀代の名匠“  木村正彦先生にお願いすると、
“大丈夫だよ、持ってきてごらん“と、いとも容易いようなお言葉❗️

さてこの樹達が、名匠の腕でどのような変貌を遂げるものか❓
また作品が出来上がったら、皆さんにご披露させて頂きます!乞うご期待❗️❗️❗️


福島市への諸用に合わせて、久しぶり(盆栽教室の生徒さん達と以来)
国立公園吾妻連峰の主峰、“吾妻小富士”山頂まで登りました💦

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寄る年並みには抗えず😅足腰ガクガクになりながら、“五葉松自生の姿“を間近で見てきました❗️
活火山の為、途中にはガスが噴き出る所もあり、
(走行中の車も停車はもちろん、窓を開けての運転も禁止‼️)
そこの瓦礫のような岩だらけの風景に、五葉松は吹き荒ぶ風に倒されて、それでも生きる姿を目の当たりにしてきました❗️

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吾妻小富士への登頂の傍、足元にも、山頂の火口付近の岩石の間にも、
風や鳥が運んだものか?五葉松は必死に自生の根を下ろして懸命に命を繋いでいました。

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“これが天然自生五葉松の原点“‼️
日頃扱う美しい樹相の松達とは違い、厳しい自然の中で、淘汰されながら生きる姿を見る事で、
盆栽の素晴らしさと、生命の荘厳さを感じる時を得ました。
盆栽を業とする者、こんな原風景を何処かで一度は目と身体に焼き付けてほしいものですね‼️


【休日を使って盆栽の手入れ❗️頑張れ‼️】

数年前より、羽生の庭に盆栽の勉強によく来るベトナムの青年、チャン・ワン・テイン君。
会社員として埼玉県で働く中、大好きな盆栽を見学に各所盆栽園に訪れる彼。

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31歳になる彼の夢は、いつかは大好きな盆栽を仕事に出来る事だそうです。
お小遣いを貯めて買った黒松の芽切りを羽生の手入れ小屋で、休日を使って一所懸命していました。

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いつも笑顔で6年の間に覚えた日本語で、色々な質問をしてきます。
最近は盆栽の盗難が全国的に多く、中にはベトナム国籍の実行役が居たこともあったため、
こんな真面目に頑張る彼等にまで、間違った目が向けられる事には、心が痛みます💧

夢の国風展出品!
テイン君はそんなところまで心に描いているようです!

ガンバレ❗️若きベトナムの星‼️

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