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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


今から60年前、ひとりの盆栽家が個展を開きました。

会田一松翁、神奈川県にいた“細き中に宿る盆栽の精神“を後の世に示された名人です。

その一松翁が残された杜松を久しぶりに“本気“で鋏を入れました。


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出典: 『月刊 近代盆栽』 2024年3月号



スッキリと切り込めば済む事もありますが、60年前の残された姿、一松翁を尊敬する椎野宝樹園氏が大切に守ってきた姿、

そして誰もが鋏を入れるのに躊躇する程の樹。

満を持して刻をかけてゆっくりと“透かし切り“を進めました。


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「綺麗にするのではなく、この樹が持っている“貌“を失う事なく、刻の流れを樹に表現したい」

そんな想いを持って、老成してゆく樹姿を描き出す事に努めてみました。

樹は時が経つ事で、“老成した姿“になるものです。

下の方の枝は、朽ちるまで行かなくても、枝々にジン舎利を見せるようになり、樹を傷めぬ程度に無駄な繁茂を消していく。

そんな作業に没頭するように進めました。

いかにも“手入れしました“ではなく、今のこの樹が持っている雰囲気が醸し出せるように心がけました。

 

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盆栽家はどうしても、立派にしていきたがるものですが、太らせず、静かに刻の流れを顕す事は、ひと鋏入れるごとに、慎重になっていきます。

“己を出さないように“  只々樹と向き合って対話するように鋏を進める。  

若い頃は思わなかった手入れの在り方を久しぶりに体感した仕事でした。


昨年募集した“森前の弟子希望“で、多くの応募者の中から合格したスペインの若者が、国風展に合わせて、練習的訪日をしました。

特別な事をするのではなく、盆栽園として普段通りの当たり前の毎日を送りながら、

日本の盆栽文化とプロとしての仕事の内容と在り方を体験してもらっています。


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昨年一度、“これが日本の盆栽園の現実“を体験してもらった上での来日なので、

今回は朝から晩まで共に過ごしてみてもらっています。

先日、“自分で樹造りをしてごらん“として、国風展で目の回る忙しさの中、

羽生でまだ素材の段階の大阪松を整姿施術をしてもらってみました!

上野から戻ると“師匠、出来ました“と、4本預けた中からの1本を仕上げていました。


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勿論修正点などもありますが、母国では素材がなく、この大きさの樹をやった事がないと言いながらも、70点の評価‼️ 

処女作で70点は彼がどれだけ盆栽に対して熱意を持って見つめてきたかを物語っています。

さて、どこまで出来るか⁉️

 国が違えば何よりも壁となるのが、その国なら当然の日常が、まるで違う世界もあり、

それを受け入れながらすべてを身に付けていく努力が何よりも大切です。

預かる立場の責任の重さ、そして真摯に盆栽と向き合う若者に対する“息子“を見ているような自分。

あと数年で70歳の中、人を育てて遺す事が、何よりも大切に思えるこの頃です。


昨年暮れに同業者から入手した真柏。

細身ながら真柏盆栽の真髄を感じる樹、それでもどこか“枝が重い“と言う感覚と、

“見せる所が隠れている“と言う思いが始めからありました。


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昔の私ならすぐに“道具を持ってこい“と、刹那の仕事をしたものですが、

この樹とて今までの方々の愛情が受け継がれて来たからこそ、今に生き続けている事を思えば、

正しい改作だとしても、出来るだけ“胸にスッと落ちる“程の納得をしたいと思って、幾日も幾日も時々の自分の心の在り処を替えて観続けました。

その上で、“やっぱり枝が重い、樹に空間を出したい“の思いが固まりました。


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樹の樹勢を上げるために伸ばされた枝々、余分な枝を外し、“腰を軽くする“ことも❗️

山採り真柏の舎利幹が捻転する姿、立ち姿と枝の“間調子“!

何となく、納得する姿になりました‼️ 


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でも・・これが終わると、“雨竹亭の家族“になって、あっという間に“お嫁“に行ってしまう💧

嬉しいやら😅・・因果なものですね😓


新春盆栽展が終わり、エスキューブ主催の業界大型オークション「天地会」も過ぎ(9100万の出来高❗️)

いよいよ、盆栽界最大の祭典「国風盆栽展」を20日後に控え、

私達プロは、展示の審査結果に一喜一憂しながら、商売の方の『立春盆栽大市』への支度が始まります。


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エスキューブは、創業当時より、上野グリーン倶楽部2階に、最大規模のスペースをお借りして、

毎年その年にあった品揃えに悪戦苦闘しながら、“美しい展示“としての売店を作っています。

今年もその準備!


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飾る盆栽は、手入れや植替えを施すものもあり、松柏から雑木盆栽、最後には水石・盆器・道具類にまで、収蔵庫の中を行ったり来たり💦 

少しでも遠方から国風展をご覧にいらした愛好家の方々と、ここから始まる“ご縁“の糸が繋がるようにと願っています。


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近年は、初日の前日(今年は1/7)午後から、バイヤーさん達に開放する“プレオープン“が倶楽部で行われます。

“木村チーム“、木村正彦先生と合同で展示の方をする私どもは、売店搬入と美術館搬入が同じ日程で重なります💦 

事前に設備を作って、同時搬入の差配をしなければなりません!

今年は暖冬の影響で、野梅など、梅の盆栽の開花が早く、東北のお得意様にお願いして、

半月ほど北国の寒さの中で梅の商品としての時期を調整させて頂くという苦労も増えました😅


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“雨竹亭らしいもの“・・拙いものでも、名木名石でも、どのようにお越しの皆様にご覧入れようか?

ここから毎年の“戦い“が始まります‼️


【盆栽家の頂点を極めた人生訓❗️】


新年のはじめ、都内江戸川区の「春花園BONSAI美術館」に“鬼才“小林國雄先生を毎年のように年賀で訪れました。

今年は普段の時にも増して、伝えたい事がありました。

昨年の暮れに小林先生が上梓された『人も盆栽も枯れるから面白いんだ』という本。


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タイトルもさることながら、エッセイとしてまとめられたその内容は、悪戦苦闘の盆栽人生をありのままに綴ったもの❗️

人柄そのままに恥じる事もなく赤裸々にご自身の歩かれた道の中で感じた事を書かれている。

勿論“人間学“の部類において質の高い出版で定評のある到知出版が手がけただけの事のある深みある内容。

長年小林先生への取材や紙媒体に協力してこられた、編集者、高谷治美さんの構成力が光る本とも言えます。

私が何より高く評価したのが、盆栽の作り方や、名品の紹介ではなく、

この本には“小林國雄が盆栽と歩んで掴み取った生き方“が、ギュッと凝縮されていることです❗️

人間の高みを見つめた盆栽の本というものは今まで皆無でした。

勿論直接的ではない形での尊敬すべき本は数多ありましたが、

見事なエッセイ式での組み立てで読める盆栽関連のものは今までありませんでした。

私は“親方、この本はホントに素晴らしい❗️“と、率直に言うと、満面の笑みで喜んで下さいました。


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“鬼才“という表現で、独自の歩み方をされた小林國雄先生。

しかし、八十路を前にあくまで“真っ直ぐに“盆栽と生きる姿は、既に鬼才ではなく、

“王道“の盆栽人として仰ぐものになっていると思います。

いつもそばでその姿を拝見している私には、盆栽を突き詰めて来たひとりの男が、言葉ではなく辿り着いた境地がここにあるように思います。

こんな本を興してくれた事に素直に感謝したい気持ちです。

ぜひ皆さん読んでみてください‼️

盆栽の作り方ではなく、人間の歩き方を感じる事ができる本です❗️

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