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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

カテゴリ: 日常


1年ぶりに、九州最大の業界オークション「青樹会」に行ってきました❗️

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本州、特に関東圏の私たちにとって、佳き仕入れ先であった九州も、
中国勢の“リモートバイヤー“の全国的な活躍で、地域的な仕入れの優位性も無くなりました💧

全体的に海外リモーター達の勢いも弱くなり、本来の業界オークションの姿に戻りつつある中、
それでもこの土地ならではの面白い仕入れ品もありました。

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今回は“弱含み“だったので(出来高3,500万)仕入れには適した会となり、私も車両満載の買付けとなりました。

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勿論“売り“が弱い部分、買い易い訳なので、200万程度売って、20万の損益、
但し同じように買い付けた分400万も同じく通常よりも10~20%安いので、まさに交換会という訳です(笑)

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海外への流出が続く盆栽界、売り買い交錯の今回のような会は、私のように、オークションで売って現金を手にするのではなく、
不要分を処理して、次なるお客様へご紹介する品を求める業にとっては、やりやすい会となっています。

今月は、大型オークションがひと月で、5か所もある月💦
逆に言えば、この秋冬の相場を占う月にもなっています。
それにしても、心にグッとくるような樹が減りました😓
将来性のある樹を若いお客様に持って頂く事を痛切に感じるこの頃です‼️


50年と言う盆栽水石の業の道、今までも多くの愛好家の方々の蔵品整理をして来ました。
私は、著名愛好家が天国へ逝かれても、自分から遺された盆栽や水石、その他道具類の放出をお願いした事がありません。
故人のご家族からの依頼があってこそ動くのが、プロとしての個人への敬意だと思っています。

今年も水石愛好会の頂点「一雨会」の古老が天寿を全うされました。
ご子息より連絡があったので、せめてご焼香だけと思って、新幹線に乗って、ご自宅に向かいました。

20年近くご無沙汰していたのに、ご子息が応対して下さり、合掌の刻を頂きました。

お暇しようと思った時、ご子息より“父の所有品の整理をお願いしたい“と頼まれ、
曰く、“この趣味の方々にわけてあげたい“、つまり価値に対しての欲や思いがありませんでした。

“新盆や初彼岸を済まされてから、片付けのつもりでお手伝いにスタッフと伺います“とお伝えして、
約束通り、庭に散らばる空き鉢などを含めて、貨物車2台分の積込みを4人で暗くなるまで行いました。

ひとつひとつを眺めれば、“ああ、これはあの時に求められたものだ“と、
走馬灯のように思い出してしまい、なるべく片付ける事に集中したものです。

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羽生に戻って、内容を段階的に分けてみると、総額は大変なものでした。
これを伝えると“すべて森前さんに任せます“の弁💦
故人が遺された次代へ繋ぐ秀品達。
少しでもご子息に喜んで頂こうと思っています。

その中に、高村光雲の鋳銀の小さな観音像がありました。

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私は、お世話になった方が亡くなると、必ず日頃使われていた鋏などを頂き、庭の観音堂へ納めるようにしています。
許可を頂いて、鋏とこの観音像を納めて“キチンと扱わせて頂きます“と手を合わせました。

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若い頃から商売をして来た私。
どれだけの大家達の後整理をした事でしょう💦

岩崎会長・小泉先生・横山先生・数えればキリがありません。
プロとしてどのようにご家族にして差し上げるべきか?
いつも自問自答しながら取り扱うよう心がけています。

天国に逝った方々に笑われないように、“森前らしいな“と笑って言われるように❗️


40歳で初渡米して、8度の講演、25年の歳月が、親しい友人の何人かを偲ぶものになりました💧

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ニューヨークからペンシルバニアへ、水石の友として十数年ぶりの再会を果たしたショーンスミス!
新しいアトリエで、旧交を楽しむ時、五大湖付近、ロチェスターのビルは、10代の頃よりの仲!

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ワシントン国立植物園には、天国へ逝ったロンの水石を寄贈、
25年前、初めての講演で慣れない私の通訳をお願いした、ヒデコ・メタクサスさんは、93歳‼️

アメリカ横断の友人達を訪ねる旅は、人の温かさを感じるものでした。
イギリスから通訳兼案内役をしてくれた、ピーターウォーレン氏にも感謝です❗️

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久しぶりのアメリカ、やっぱり大きな国です。西と東で時差3時間❗️
これからも、国は何処であれ、私ができる事を伝えていきたいと思います。


昭和49年9月1日、貧しい中、簡単な着替えだけで住み込み修行に入った日。
あれから50年の時が経ちました。
歩いて来た道のりを振り返れば、何度も荒波の中を通って来たようにも、
あっという間に走馬灯のように出来事が過ぎていったようにも思います。

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15から20歳まで、栃木の盆栽園から殆ど一歩も出ずに過ごしたあの頃、
師匠に言われて、右も左もわからない東京銀座の店へ、毎朝
6時に出て、夜9時過ぎに帰る日々。
預かった店で1日何も売れずに師匠の家へ着く前にひとり途中でため息をついたあの頃。
23年、番頭を務めて“寝ずの森前“と言われて走った思い出。
39歳で万感の想いで、無一文で独立した頃、“銀座百日戦争“と小説にまでなった銀座店。
在らん限りの挑戦の末、莫大な借金を抱えて明日すらも思えなかった日々。
私はいつの時代も多くの方々に助けられて此処に居るように思います。

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エスキューブとして盆栽業に邁進する中、出来ることを精一杯やろうと走ったこの20年。
65歳になる今、此処から自分に何が出来るのだろう?
何を残し伝えれば良いのだろう?

そんな事ばかりが頭に浮かぶ今です。

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プロとして、盆栽水石を愛する者として、足元の小さな事でも、仰ぐ夢のような事でも、
次の時代のプロ達の参考になる足跡が作れればと、拙い身で願っています❗️

でも💧体力がなくなりました😅トシですね~💦


水石協会の文化活動(明治神宮展・東京都美術館展など)ヘの協力寄付金を捻出する目的で開催された上野グリーン倶楽部での『水石組合大オークション』は、
盆栽業界の協力も加えて、7,000万の成果を挙げるものとなりました❗️

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通常の業界オークションならば、盆栽80~90%、その他器物、水石などが10%、
水石に至っては、普段はオークションに1%も登場しません!

今回のオークションは、水石水盤が60~70%・盆栽20%・その他道具類10%という、
まさに水石界が主導したものとなりました。

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プロアマ双方から出品された水石類、著名水石愛好家数人が“蔵出し“と言われる、“成行ですべてを拠出する“秀石類が数多く出品されました。
水石関係のメインオークショナー(競り人)として、終日競り台に居た私、正直体力の限界の中に居ました。
約1,000点の競り💦 
声もかすれる程でした。

理事役員達の総力で成し遂げたイベントは、ここからの水石市場に対しての指針となるでしょう。

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