雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2026年07月


毎年、夏の恒例企画として、大宮盆栽美術館で開催される水石展

山水涼景・水石の世界」(7/17~8/26)の前期(~8/5)の飾り付けに行ってきました。


IMG_7490


ホール・単体×5席・床飾り×3席の展示が、後期展(8/7~8/26)での入替で計17席が展示されます。

私達日本水石協会との共同主催の形で、もう長くお手伝いしていますが、

最近は前期を加藤蔓青園さん・後期を私達エスキューブで、殆どを準備しています。

また、私達も勉強になるのが、前後期共に、“ギャラリートークと称して、加藤さん・森前の展示品を中心とした解説が期間中に行われる事です。


IMG_7491


来館される方々に、展示品の説明をしながら“水石の素晴らしさ“を少しでも伝えられたらと思いながら、

初心者の観覧者にもわかりやすく伝える言葉を探す良き機会として“学びの場“だと思って挑んでいます。

美術館側も運営体制が少しずつ変更されて、今は水石展示の際に、山野草などの添えを飾る事も出来るようになりました。


IMG_7492


長沢理事長・加藤さん・美術館の田口さん、休館日の美術館は意外にいいものでした❗️

夏の一日、ぜひ皆さんも大宮の盆栽美術館へ行ってみて下さい❗️


福島市、先日“舩山コレクション“舩山邸に定期的な手入れに伺った時、舩山氏と長い交流を持つ、

近在の盆栽家、二瓶淑夫先輩の所に初めて拝見に伺いました。


IMG_7468


盆栽協会「吾妻支部」の毎年の展覧会や、支部の国風展見学会などで、顔見知りではありましたが、

舩山邸の出入り方でもある私は、近隣の盆栽家の方々の所を廻るのは、地域の皆さんの長閑な交流の中に首を突っ込むような印象を持たれるようで、

長くご遠慮してきました。

“二瓶さんは溢れる程の盆栽を持っているが、殆ど売ってくれないよ。まだ仕上がっていない素材ばかりだよ“  

そんな人づての印象ばかりが私の中にも先入観としてありました。

お伺いして、その素材のレベル、量、すべてに圧倒されました。


IMG_7469


半懸崖風の吾妻五葉松の特徴的な樹を中心に、庭を埋め尽くす樹達。

私の訪問を歓迎してくれて、ここにある五葉松がどのようにして今に至ったかを説明してくれました。

奥様と2人、どのような日々をどのような気持ちでここまで歩まれてきたものか❗️

盆栽家としての在り方、盆栽を供として過ごす人生とは?と、自分に問いかける時になりました。

あと数年で八十路となられる中、“もう少し作る時間が欲しくなった“と言う二瓶さん。


IMG_7470


隣の培養畑には、吾妻五葉松の実生苗がびっしり作られていました。

"次の時代のために!!!"

東日本の代表的な五葉松としては、「那須五葉松」が、海外を含めてもてはやされていますが、

盆栽界に受け継がれる多くの“那須五葉松らしき古樹“の多くは吾妻の産樹なのです。

作られている将来の名樹達も選び抜かれた葉性良きもの!

世に出る頃にはいつの間にか、那須五葉松になってるものがあるでしょう。

吾妻五葉松の守り人、ここからの作出、そしてこれを受け継ぐ人達の登場を願いたいです。


水石の趣味の関係でお付き合いのある90歳を超えるお得意様から、長年楽しまれた骨董品の整理を頼まれました💦

水石の方は数年前にも何度か整理をお手伝いして、2000万近い換金化をさせて頂きましたが、幅広い骨董品は扱いがとても難しいです。


IMG_7439


以前も亡くなられたお得意様の奥様に頼まれて、蔵にある茶道具や様々な骨董品を会社の倉庫に運び、

知り合いの古美術商を呼んで、“査定“をしてもらった事がありました。

“好きで集められた品々、数千万は使われたろうから、奥様にせめて300~500万お渡し出来たら“

と思いましたが、査定額は、なんと僅か数十万💧

盆栽や鉢の方は、目筋の良い方だったので、既に高額の整理を終えた後でしたが、

さすがにその時は、あまりに安いので、腹が立って「やめましょうか?」と奥様に進言した程でした。

今回の方も、好きで何でも集められる方。

荷物を広げるだけで、クタクタになりましたが、これだけのものがあってもおそらく100~200万💧

広げ終わったところで、ご本人に連絡して私の予想をおよそのところお伝えして、理解はして頂きましたが、

聞けば骨董品のまとめての処分は、小売額の10~50分の1が普通のようです。


IMG_7440


趣味とは言え、数ではなく、やっぱりその趣味の“本物“を買っておかないと、

処分する時は“ただ“になってしまうものかと、荷下ろししながらも疲れました💦

“仕方がないよ“とお客様は仰いましたが、難しいものです。

数ではなく、良品を集めること、これは私達の世界でも同じですね。


毎年夏休みの前に頼まれている、雨竹亭のある羽生市の街中、南小学校の6年生を対象にした盆栽の文化体験授業。

今年も同校体育館で行いました。


IMG_7405


樹齢500年近い真柏の古木から、羽生で種を蒔いて作ったもみじの手のひらに載る小さな樹。

ひと組ずつ1時限の授業なので、大切な“伝えたい事“を絞っての時間になりました。

盆栽は鉢の中で生きるもの、人が寄り添うことで生きて姿を見せてくれます。


IMG_7406


自分の事ばかりで、樹の事を忘れていれば、数百年の命もたった数日で弱り始めて、10日も忘れれば、静かに命の灯火は消えてしまう。

子ども達に伝えたいのは、ペットも同じ! 

生きるものを自分が持てば、それの命を守る責任があること!

自分の身の回りも同じで、誰もひとりきりでは生きていけず、見えないように誰かに助けられていること!

だから、友達やクラスメイトの中に、元気がない子や、ショゲている子がいたら「だいじょうぶ?」と声をかけてあげてほしいと。

人の気持ちに寄り添う事で、自分もどこかで誰かに助けられている感謝を思い出してほしいと。

其々の盆栽をキラキラとした眼で見る子達を見ていると、こんな自分でも、盆栽を通して、何かを伝えたい。

何かを心の中の記憶に残してほしい、願う日でした。

【大徳寺芳春院盆栽庭園新設棟・初の水石飾付け❗️】


4月に概ねの完成をみた芳春院盆栽庭園の新設部分。

26mの展示棟も、院ゆかりの竹内浩一画伯の展示も6月に終了して、和尚様のご友人である陶芸家、辻村史郎先生の短期の展示も終えました。

私のイタリア渡航帰国を待って、初めての展示棟への水石陳列を試みました。


IMG_7352


盆栽や水石は床の間のみならず、その場、その空間をどのように使いこなすか?が求められます。

まずは飾り込んでその使い勝手を自分の目で確かめるところから始まります。

取り敢えずは今は、秋の正式な新設開園の披露の前の、“予行演習“のつもりで飾ってみました。

広い空間、座敷飾りとは違い、やや大型の水石が必要な間です。


IMG_7353


台座石、水盤石、合わせる掛物も、禅院である事を考えて、書や静かな画を選んでみました。

和尚様にも合格をいただき、ここからこの空間を“自家薬籠中の世界“へと高めていきたいと思います。

訪れる初めて水石というものを観る方々にも、少しでも興味を持って頂けるように精進したいと思います。

↑このページのトップヘ