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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2025年08月


この頃、10年を超えて続けているこのブログや、YouTubeで多くの皆さんに発信している「WABI CHANNEL」などの影響からか、

最近色々な所から、私のような盆栽と水石の事以外は、“社会の劣等生“と言える者に、講演の依頼が来ます。


拙い私ですが、お受けしたからには、非力浅学の身でも、精一杯の事をお伝えしたいといつも願っています。

盆栽の歴史や、樹齢数百年の名木などをお見せしてお話しすれば、皆さん喜んで下さいます。


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しかし、66歳、盆栽の世界に入って51年になると、ふと振り返ることがあります。

私が、盆栽を「天職」と思えるようになったのは、そのようなことだっただろうか?と思う事です。

長い時の中で、挫けそうになったり、命の灯火すら消えかかるほど“心の病“の時、

私をもう一度歩き始めるまでにしてくれたのは、決して名樹のような盆栽達ではなかったように思います。


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誰にも振り返ってもらえないような、小さく見すぼらしく、中には半身が枯れてなお、懸命に“生きよう“として

残された枝や芽を必死に陽の光に向かって伸ばしている“健気な樹達“だったように思います。


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勿論広義としては盆栽の古木や名樹からの感動は大切です。

でも、“見捨ててはいけない命“に対しての見方も盆栽から感受出来る、誰にでも伝えられる“心の有り様“とも思うのです。

“どうしたらその両面を伝えられるだろう?“

最近はそんな事を考えることが多くなりました。やっぱり年ですかね💦


名匠木村正彦師が、“中国の我が兄弟“と喧伝する、常州市「随園」王永康師。


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七十代半ばを迎える中、今も新たな挑戦の日々を送られています。

数百年を経て自然界が創出した舎利幹の造形、そこに“新たな命“を吹き込み、

次代を予見する「創作真柏」を、“王永康の美意識“によって誕生させています。


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交流深い木村先生が、無から有を生む“石付創作盆栽“を世界に発表するように

王師は、命を終えた真柏の舎利に、“生きていれば、そしてもし完成していれば“と言う想いを込めて、

長い盆栽人生で己の隣を通り過ぎた数々の名樹を走馬灯のように心に浮かべながら、ひとつずつ創作されました。


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天然素材の枯渇していく中、時代の流れで、盆栽の価値観も変化していきます。

日本でも、以前は“タヌキ“と呼ばれ、低い価値で見られていた創作樹も、

社会での盆栽を日常的に飾るようになる中、市場評価も以前の数倍にまでなりました。

今後、このような創作真柏の価値は更に高まるでしょう。

大徳寺芳春院の秋吉ご住職が、以前このような言葉を下さいました。

「枯木再生花」枯木再び花を生ず、人の手により、生と美の共存した世界が再生される!

日中を代表する盆栽大家二人は、人生の到達点に近づく中、今も“次“を見据えた創作活動に全身全霊を傾けています❗️

【大徳寺盆栽庭園・財団「慶雲庵」と共に!】


残暑厳しい京都、大徳寺盆栽庭園も5年目の夏となりました。

中世戦国武将の菩提寺“塔頭“に囲まれた聖地で日々国内海外の拝観者の方々を迎えています。


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盆栽の名品と言えば、著名盆栽園に訪れるか、

国風盆栽展(東京2月)や日本盆栽大観展(京都11月)など、“盆栽を見に行く“と言う予定が必要となりますが、

この庭園は年中無休で歴史的名木をご覧いただける事で、京都観光の新しい名所になりつつあります。

約50点の盆栽、今秋より現在の規模を2倍以上に拡大する拡張工事が予定されています。

京都に本拠地を置く一般財団法人「京都国際文化振興財団」通称『慶雲庵』は、

日本の盆栽の保存継承、そしてこの文化の発展と啓発に尽くされている財団ですが、

この芳春院盆栽庭園に貴重な名木を常時10点ほど、季節を替えて展示下さっています。


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推定樹齢800年を超える、上杉謙信公由来の一位、徳川慶喜公遺愛の五葉松、

明治天皇の弟君 伏見宮貞愛親王遺愛の宮様楓、国風賞受賞樹となれば枚挙に暇がありません。

来年の今頃には、拡大された庭園に更なる名樹達を迎えて、展示棟での名器や名鉢、名水石の展示も始まります。


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まだ5年、ここから10年、いずれは100年の盆栽庭園となる事を目的に財団の活動と共に過ごしています。

是非京都にお越しの時は、いらして下さい。


私のYouTubeチャンネル「WABI CHANNEL」の撮影取材で、大宮盆栽町の芙蓉園、竹山浩先生の所に伺いました。

私達、昭和の盆栽修行をした者にとって、芙蓉園と言えば、美しい独特な寄植えの楓やもみじ、

そして日本盆栽界を代表する名樹、真柏“昇天の龍“が余りにも印象深いものです。


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50年前、第50回記念国風盆栽展に特別に出品された時、小僧としてお手伝いをする中、

この樹の実物を初めて拝見しました。

半世紀を越えて、ひとつの盆栽園に行き続ける名樹はあまりありません。

物静かで気品ある竹山先生は、ご自分の手で蒔いた実生の盆栽などを棚下で数多く作られ、

10年20年と言う歳月をかけて樹を作られています。


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この歴史ある名園に居ると、“ああ、盆栽ってホントにいいなあ“と感じ入ります。

近いうちに、先生とのトーク、各所各樹の映像をWABI CHANNELでご紹介します❗️


大宮盆栽美術館と日本水石協会による、夏恒例の同美術館の水石展、「山水涼景〜水石の世界」後期展(8/8~8/27)の展示を担当しました。

盆栽村開村100年にあたる年、様々なイベントのある中、盆栽と両輪とされる水石の素晴らしさが少しでも伝えられればと、

愛好家の方々の見事な水石をカテゴリーを変えながら構成してみました。


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美術館ならではの床の間設え、真の間の台座石「五色高原」は歴史名石として久々の展示!

行の間には、水盤石に合わせて名筆“池大雅“の「月湧大江流」。

草の間は、水石界の恩人、渡辺如学庵旧蔵の「孤亭」。

ギャラリー展示は、大名風の水盤仕立の滝石、小品石の段飾り、夏飾りらしい渓流石の水盤仕立、

月明かりに照らされるような瀬田川石の台座石。

そして、伝来名石としての名高い、徳川家旧蔵の鞍馬石「瑞雲」。


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盆栽に比べれば、静かな趣味と言える水石ですが、対時して“石と会話“してみれば、色々なものが心の中に浮かび出るもの。

毎年重ねる展示会で、ほんの少しでも水石に興味を持って下さる方がいて下されば嬉しいです❗️


なお、展覧会中の8/16(土)13:30より、展示会場で、私のギャラリートークをさせて頂きます!

各席に込められた“想い“をお話しようと思います!是非いらして下さい❗️

(ギャラリートークへのご参加は当日有効の観覧券が必要です)


さいたま市大宮盆栽美術館

企画展「山水涼景〜水石の世界」

 前期展は終了しています

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