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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2025年06月


盆栽界久しぶりのもみじ新品種「行姫」を発見して作出した、栃木県の印南五容園さんに伺いました。

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ご主人印南さんとご子息、共に手入れに勤しんでおられました❗️
“雑木盆栽の名手“として有名なご主人、そして那須五葉松の保護育成に励まれている姿は、
国風展売店での、一般の方々へのとても丁寧なご子息の応対と説明で、いつも微笑ましく思っている次第です。

たった1本のもみじの変種から作り上げた「行姫」は、次の時代のもみじ盆栽を代表する品種とる予見があります。
海外への需要が多く、激減する雑木盆栽。
“買ってきたらせめて数年作らないと“と仰るご主人。

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盆栽人としての基本を捉えての親子での日々❗️
自分のすべき事を当たり前のように過ごされるお二人にエールを送りたいです‼️
“買ったものはせめて2年くらい作ってから売れば良くなるよ“の言葉❗️
多分羽生では、今日頂いた行姫の寄植数点もいつまであるか💦すみません🙏


東北地方6県の各協会支部が連合で開催する盆栽展、今年は福島での開催。
福島の“奥座敷“飯坂温泉の会場には三十数点の逸樹が愛好家と共に集いました。

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やはり東北へ訪れると、初めて見る真柏の逸材に驚かされます❗️
秀材が減り続ける真柏、それでもこの地にはまだまだこれだけの“将来の名木“がある事が嬉しいものです。

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この展覧のレベルとなると、ベテランの愛好家の面目躍如と言ったところですが、
ここからの課題は、将来の為の“若い愛好家“への誘いと布武かと思います。

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“面白そうだな“・“盆栽、やってみたいな“
そんな気持ちの人達を少しずつでいいから、階段を昇るお手伝いが出来ないか?
私達の大切な役目だなあ!と思う時間になりました。


毎年依頼されている、小学校の特別授業。
今年も羽生南小学校の6年生と楽しい時間を過ごしました❗️

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幾つかのタイプの違う盆栽を体育館に並べて、好きな樹、何年かな? 
そして私が海外に行って感じた“日本の素晴らしさ“など、どちらかと言えば、盆栽の授業というよりも、
希望と可能性に満ちた子供達に、大切にしてほしい“生き方“や、人や自然に対する“優しさ“を伝えられればと思いました❗️

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自分達が毎日普通に暮らしている日常というものが、どれ程の人達の温かい心に見守られているか?そんな事を伝えた2時間でした‼️

【梅雨の晴れ間!庭園黒松の手入れ❗️】

万博での盆栽展以来、6月になって初めての芳春院盆栽庭園。
梅雨明けの日射除けの為のこの庭園特有の“一本ずつの遮光小屋掛け“は、先回木枠だけは完了しておきました。

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今日のように“梅雨の晴れ間“となれば、ちょっと強い陽射しとなりますが、少しは照りも必要です。
盆栽の水揚げの強いこの季節、何よりも朝の水掛け、そして時期を待ってくれない黒松赤松の“芽切り“❗️

庭園の両種の芽切りは済んでいますが、今年芽切りをしないもの、これの処理をしました。

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旧寉龍庵コレクションの黒松。
再来年の国風展へ出品する事となり、芽切りを避けた今年は、充実した一年にして、来年芽切りを行う為に、新芽の途中で留める“芽留め“の作業。

鐘の音しか聞こえない境内の中、一心に手入れに集中する時、これは私にとってかけがえのない至福の時間です。

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終了後、久しぶりに芳春院奥にある「京都四閣」のひとつ、『呑湖閣』を望みました。
盆栽と向き合う手入れの刻、禅林に流れる空気、“しばらくここに居たい“と思う日となりました。


名木の作出はもとより、数々の創作盆栽を発表されてきた木村正彦先生。
先日、専門誌『近代盆栽』と共同取材を先生のアトリエで行いました。
“石付の盆栽“をご自身の記憶の中からその風景を創り出す、木村マジックと言われる作品は、
世界の愛好家の垂涎の的となっていますが、“今度、片手で持てる石付を考えたよ“の先生の弁。

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特殊な素材を考案して、自在の石姿を造り、僅かな時間で深山幽谷の景趣を創り出す!
目の前で拝見していて、“誰にも真似できるものではない“事を実感しながら、
つい先程まで、石塊と苗木のような素材の真柏だったものが・・・。

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昭和15年生まれの85歳!
それでも、作品制作に向き合う姿からは、まだ壮年期の盆栽作家の風しか感じられません。
“これがあと5年すれば、国風展にも飾れると思うよ“ 
先生の飽くなき創作活動が、100歳まで続きますように‼️

この取材は、私がナビゲーターを務めるYouTube「WABI CHANNEL」でも、8月初旬に放映します。『近代盆栽』も同じ時に掲載されます。
木村マジックの健在をご覧下さい❗️

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