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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2025年03月


厳寒の細雪舞う小布施に長年の友人、鈴木伸二さんを訪ねました。
長野県の“小京都“と謳われた小布施。
この地に伸二さんの要請で初めて訪れてから、もう35年の月日が経ちました。

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いつの間にか、お互い還暦も過ぎて、“老成“に向かう歳になり、ここからの時間を考える刻にいます。
私の羽生と京都大徳寺、彼の小布施、求めるものや願いの中身は多少違っても、形に残そうとする盆栽人としての胸中は似たものがあります。

北斎館という、この土地の観光を創出された市村家、ここが彼の盆栽作家のここでの活動と発展を
町を挙げて全面的にバックアップしている事は、有り難く、羨ましい限りです!

新しく小布施の中心地に新しい盆栽のアトリエ庭園を作ろうとしている事は、昨秋より彼から相談を受けていました。
色々な準備が進み、いよいよ工事着工間近の中、最終的な構想の打合せをしました。

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相変わらず、いつも彼に頼まれると弱い私💦 
結局、盆栽に対しての新しいビジョンや夢を持っている者に私は、自分の拙い知識や経験を活かして欲しいのです。

盆栽が、世界に広がる時代、雪深い冬の小布施にも白馬などから海外のスキー客が数多くこの静かな街に訪れています。
10年後の盆栽界がどのように変わっているか?
楽しみですね❗️


3年前、中京の稲沢より運ばれた超大型黒松! 
元々は庭木として育てられた中の、“筋の良い“素材でした。
幹や立ち上がりに“もしかすれば、将来大変な盆栽になる!“と言う夢のような事を思いながら、まずは作を上げることに専念してきました。

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2月下旬、国風展水石展も終わった中、満を持して、枝接ぎと“胴接ぎ“の施術を行いました❗️
岩石性と変わらぬ幹肌は、何層にも皮を抱き、その下の生きている所に、鑿を打ち込み、
木質と皮の間の僅かな「形成層」を、巨木自身の枝から取った穂を楔形に切り、ピッタリと合わせる、といった至難の接木です。

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私とスタッフ、そして内閣総理大臣賞作家の森山義彦さんに協力を得て、必死の作業となりました💦
接ぎ穂が乾かぬようにビニールを被せ、培養場の“春の風“で傷まぬように、
3mの樹の防風設備を作りました。

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ここからビニールを外す初夏まで、気が許せません❗️
5年後、10年後、“あのオバケがその樹⁉️“と言ってもらえるように、作出に努めてみたいです‼️

大徳寺、国風展明けの盆栽入替え❗️
東京都美術館での「国風盆栽展」「日本水石名品展」を終えて、ホッとする間もなく、
京都大徳寺「芳春院盆栽庭園」の春の入替え(第一次)に出向きました!

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寒暖の出入り大きい2月の下旬、梅の花も“今年は早そう“から一転💦
遅めの花咲きになっています。
早咲きの梅の種が終わらぬ内に、遅咲きが咲き始めたり、入替にも頭を痛めます💧

それでもしんと静まり返った禅林の庭園に綻びはじめた梅の花は、やっぱり有難いものです。

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厳寒の中でも途切れることなく訪れて下さる海外の方々、古雅なる盆梅は、その方達に、
日本の“やまとごころ“を伝えるのにはうってつけです❗️

そんな事を思っている内に、庭内の花梨や楓、怒涛のように植替えが迫って来ます💦
今年もまたこの庭で、“超大型盆栽“の根ほどきに、腕が上がらなくなる日がもうすぐ来ます‼️

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