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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2025年02月


国風展を間近にする中、福島市「舩山コレクション」へ、手入れ品の入替に伺いました。

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“東洋錦“の名樹(国風賞受賞樹)を名園“芙蓉園“竹山先生の所で毎年預かって管理頂き、早春の頃、いつも福島に運んでいます。
今回はここから五葉松「稲取」を、手入れと3月に行われる貴重盆栽登録会に申し込む為にお預かりしました。

“舩山さんも国風賞でも狙わないの?“と、同業者より問われますが、ご本人も私も、
展示会での受賞というものは、審査される方々が授けて下さるもので、趣味として“賞狙い“をする事にあまり興味がないのが本音です。

今年も一位の盆栽で国風展に出品させて頂きますが、来年の国風100回記念も、
この地「吾妻支部」の支部長として、やっぱり五葉松を飾ろうとなり、故高木礼二さんから譲り受けた、「稲取」で申込む事にしています。

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名樹“東洋錦“でも飾りますか?と問えば、“目立ちたいとは思っていない“との事。
八十路を越えてなお、すべての盆栽の水掛け・施肥・消毒をされる舩山翁。
雪残る厳寒の庭園で、愛樹を見守る老大家にどうやって寄り添っていくべきか?
自分のやるべき事を問う日でした。

 

東京都美術館で水石展を始めて、もう12回目になりました。


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今年は大名茶人片桐石州の伝承石を首座に約150点の展覧!

今まで殆どがカブる事なく、合計で1800点近い水石が、ここで公開されてきたことになります。


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今も月刊『近代盆栽』に“水石よもやま話“と題して“エッセイもどき“❗️の文を寄稿していますが、

“水石文化をより多くの人達に伝えたい“  それにはやっぱりこの都美術館での水石展に代わるものはありません❗️

特に海外からの来館者、勿論出品者の方々の、水石に対する研鑽の深さには驚きます。

YouTube『WABI CHANNEL』も1年半、80回以上の発信をする中、

多くの方に“WABI観てます!頑張って!”と声をかけて頂き、

この水石展も、協会の好意で、展示内容の撮影をさせて頂きました❗️


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62回、過去先輩達が紡いできた歴史が作った数字。

あと38年で100回‼️

次の時代を守るプロ後輩達に、想いをキチンと伝えていきたいと思います。


100回を目前にした国風盆栽展。世界に広がる盆栽の趣味を反映するかのような、出品者の国際化!
以前はアジア、特に中国を中心とした流れを感じましたが、
今回などは欧米はもとより、南米や初めての参加者の国も多くありました。

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勿論植物検疫などの為、出品者の方々の樹は、すべて日本で得た盆栽達です。
この10年来の傾向を見ると、大型化は否めないにしても、少し以前の盆栽サイズに戻り始めたようにも感じます。

相変わらず、作出によって新しく世に出やすい、真柏の台頭が目立ちますが、
残念なのは盆栽の最高位とされてきた、五葉松の古作古盆が激減してきたことです。
松柏盆栽の中でも、一番“誤魔化しの効かない“五葉松。
作出にも他の種類と比べれば、2~3倍の時間と労力がかかるもの!
そんな種だからこそ、ゆっくりと育まれる中で、樹相を創り上げてゆく。
これが王道の盆栽だったのですが、気候の変化に弱い種でもあり、衰弱することを恐れて、海外には移送が難しい事も確かです。

それでも会場を彩る雑木盆栽や季節の花物盆栽は、やはり冬枯れの今、ひときわの“命“の美しさを感じます❗️

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また、現代の生活環境に合った、中品盆栽や小品盆栽は、頭が下がるほどの出来栄えばかり‼️
培養や技術の向上と地域なく向上していることが窺えます。

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愛好家の方々が、出入り方の盆栽園と二人三脚でこの展覧まで漕ぎ着けた作品達は、まるで舞踏会の衣装を纏った紳士貴婦人のようです‼️
プロは悲しいもので💧美しい盆栽達を眺めていても、性分でしょうか💦
すぐにその市場価値と“これ売れるなあ!“と、無礼な心がフッと浮かんでしまいます💦
修行が足りませんね😓


5年ぶりのエスキューブ『立春盆栽大市』は、喜怒哀楽の思い出全部を詰めた、同館2階のブースに戻りました❗️

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低層の台からスタッフが図面を起こして資材を準備!
今というエスキューブの時を、いらっしゃるお客様達にどれだけお伝えできるか?そんな想いを込めたラインナップと構成。
特に圧倒的な中国購買力から、欧米を含めた世界共通の来場となった今回。
私達は驚愕の名品という枠を捨てて、日本盆栽水石界が求める審美を中心とした樹や石、
その道具類を観て頂く展示構成の視点に主力をおいて取りかかりました。

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“囲い込み“と言うエスキューブ独立型のブース設計、ひとつひとつの盆栽や鉢が、じっと静かに眺められる展示と配置。
“ああ、やっとウチらしい場所に帰って来た“と思いました。

寒風吹く中、観る方も迎える店々もほんとうに大変💧
去年までの1階でのブースを思えば、さながら、“本丸と野戦場“といったところでしょうか❗️
“ウチが提供できるウチらしい売店“ 
なんとなく描いていたものが納得いくものになってきました‼️
“観て楽しむ売店“  どうぞご覧下さい‼️‼️


第99回国風盆栽展に併せて、私達盆栽業界の本拠地「上野グリーン倶楽部」で、同時開催の『立春盆栽大市』が始まりました❗️

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コロナ禍で長年ブースを設けていた倶楽部内2階の、巨大展示販売会場が使えなくなって5年💦 
久しぶりにこの場所に戻っての大市を迎えました❗️

盆栽のみならず、水石・盆器・諸道具も多いエスキューブは、やっぱり室内展示の方が、その本領が発揮出来ます‼️ 

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エスキューブとして初めてこの2階に大型ブースを開いてもう20年近く。
羽生の若きスタッフ達も、この仕様を初めて観る者が半数になりました。

“家に帰って来た“  そんな感じで、まだ売ってもいないのに、勝手に満足している自分に苦笑いしてしまいます❗️

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