雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2024年08月



明治神宮・東京都美術館、日本の水石展の頂点と歴史はこの2展に集約されていますが、
やっぱり、国風盆栽展のように、“名品の展示を観て、売店で将来の“夢“を買いたい“・・
こんな素直な気持ちを創ってみたい!
そんな事から8月下旬に上野グリーン倶楽部で、新しい形の水石展が開催されました❗️

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名品の展示を格調高い設えで!愛好家の方々が気軽に飾れる展示!

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これを得票審査形式で、受賞対象にした展示会。
そしてこれに全国からの優良専業者により展示即売会を併設❗️

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水石展と言えば、厳かな中で水石の美を堪能する。
これが主なスタイルですが、売店を楽しみながら展示を鑑賞する。
お陰様で企画は大成功‼️
多くの皆さんに“良い展示会だね“とお声をかけて頂き、ホントに苦労して良かったと思いました。
最終選考では(勿論公開審査!)最優秀への票が割れて💦決戦投票まで行われました!
誰もが参加出来て、誰もが審査の内容を尋ねられる、こんな展示会を夢見ていました。
水石は一人ひとりの“感性“が大切なもの!
本来どれが優れているかなど、審査をする事自体難しい部分もありますが、愛好家の方々の意識高揚も大切にしたくて開催したのです。
こんな展示会を毎年回を重ねていきたいです❗️

【天然井戸水の良さ💦水枯れの辛さ💦】

関東と同じく、猛暑が続く京都。
芳春院盆栽庭園も、朝夕の盆栽への水掛けが大切になっています。
この庭園は昔から大徳寺にある天然の井戸水を使っています。

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真夏でも冷たい有り難い水ですが、夕立も少ない8月になって、昨年以上に水かけの途中での井戸の“水枯れ“が連日起きています💧
朝は盆栽だけの水ですが、夕方は庭園を構成する築山(杉苔)への水が欠かせません。
半分ほどかけると、突然蛇口の水が、スッと眠るように止まります😭

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30分ほど待つと何とか残りの部分をかけることが出来ますが、
早く雨が降ってくれないかと、京都の空のどこかに居る?陰陽師“安倍晴明“に、雨乞いをしたい気持ちです❗️

昔の人達は、ホントに大変だったでしょうね!


10年の歳月をかけて、唯一残された“東北真柏の神“は、名匠木村正彦先生の手によって、糸魚川真柏へ生まれ変わろうとしています。

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上部の東北真柏部分は、樹の水上げの為に残して、下部の糸魚川真柏の枝接ぎ部分は、
もう2回の針金施術による“枝伸ばしを進めています。 
今年の春も巨大な“鉢“(ステンレス製)の内側に乗って、手入れをしている事で、
表土を踏み固めて硬くしてしまっています。
今日はその表土を柔らかくする為の、“耕し“をしました❗️

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こうする事で、表土からの水の浸透、肥料などの養分の安定した効果を生む事になります。

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目に見える姿の作出・そしてこのような目に見えない部分への心配りが、
未来の盆栽界のシンボルを作る事になります❗️
あと!3年❗️夢の巨大真柏の誕生へ‼️


最大瞬間風速50m❗️という台風の接近、私達盆栽業、特に羽生のように庭園と培養場合わせて5,000坪の盆栽園は、
暴風雨が近づく前に、強風に対する防御準備に1日かかります💦

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特に“葉物“と呼ばれるモミジや楓、葉先を“揉まれる“と、台風一過、陽射しを受けて、茶色になってしまいます💧
風を避けて“込める所へ込む“作業に追われます。
勿論臨時休園。

無事に被害を免れて、さて元に戻す時の苦労😥 腰が痛くなります🥵

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それでも鉢に入っている子達。
私達が守らなければ❗️

こうして台風の試練を何度か経て、澄んだ空の秋を迎えます。
早く秋よ来い‼️(秋台風も恐いです😅)


出入りをさせて頂いて二十数年、盆栽界でも名を知られるまでになった愛好家。
ご壮健だった方も八十路を超えて、振り返れば200点を超える盆栽達。

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国風展ももうすぐ連続20回、それでも庭にある名樹達を順番に国風展に出しても、
100歳になっても同じ樹を使わなくても続くレベル高いコレクション💦

異常気象と言える夏場の高温は、この棚場の水掛けだけでも2時間💦
手入れには弟子達と1ヶ月半に1度伺っても、普段の水掛け・消毒・施肥・除草、すべてお客様自身がなされる立派な方。
事業でも地味ながら立志伝中の方、ご自身の趣味として愛倍をされています。

それでも八十路、暑気の中での水管理にさぞお疲れと思います。

“そろそろ少し樹を減らしましょうか“ こんな言葉を投げかけても、
以前なら“またアンタに儲けられてしまうな“と毒舌(お心は違いますが)を吐かれていましたが、先日は“少し減らそう“とスッパリ💧

さて、そう言われると、放出すべき樹の選出に思案が尽きません😓

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名木はやたらに手放させたくない、他の人が楽しめば立派な盆栽。
これを第一に考えるのですが、手放すならある程度、まとまった代価を納めたい、でもいい樹を入れないと金額が出ない!
本当に悩みます💧

私を信頼してくれての言葉、それだからこそ、何が1番良いのか?
棚場を歩いても簡単に答えが出ません。

商売に徹するべきなのでしょうが、お客様と歩いて来た長い道のりと思い出を振り返ると、
余りにもご恩多く、何がこの方にして差し上げる事として、1番正しいものなのか?未熟な私にはまだ見つかりません。

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まずは、少しでも水掛けを楽にして差し上げる事、取り敢えず羽生の培養場にトラックで1~2台移動して、
直近のお身体を労わるお手伝いから始めようと思います。

名木は人の人生の何倍も生き続けます。
お客様も私もいずれは天寿が来ます。

樹の為にも、お客様の為にも、盆栽達の為にも、“次の在り方“として何が正しいものか?
ここから探りたいと思います。

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