雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2024年07月


7月とは言え、まだ梅雨も明けない中、曇天から晴れの日となると、羽生は連日36~38度の気温💧
朝の水掛けも、“早過ぎれば日中乾き過ぎ“があり、遅くかければ、蒸れてしまう💧

夕水を樹の頭からシャワーのようにかけて、周辺全体の温度を下げるなど、
ここから2ヶ月以上、暑さの中で盆栽達を守る事に、多くの時間を割く毎日が続きます。

IMG_0519
木陰に設置してある温度計も、午後は38度💦
“梅雨の明け際“と予定している各所の遮光設備も、少し“前倒し“で始まらないと、と思案するこの頃です。
そんな酷暑の中でも、盆栽達は必死に生きています。

IMG_0520
暑さに耐えて早く秋を迎えてほしいと願いますが、気を付けないと、頑張った夏のあと、
突然に樹が劣化する事が昨年もありました!
松柏類すらものによっては木陰に避難する近年の夏❗️

人も盆栽も、頑張って乗り切って‼️


毎年依頼されて伺う、羽生市南小学校6年生への文化講座「盆栽」❗️
今年も体育館で子供達と楽しい2時間を過ごしました。

IMG_0495
太幹の五葉松・山採り舎利幹の真柏・楓の寄植え・そして小品盆栽。
小さな鉢の中に生きる盆栽達には、愛情を持って“寄り添う“人の心“が何よりも大切な事を伝えています。
短い時間の中で、“盆栽と同じように、人も1人では生きられない、誰もが周りに支えられている“事、
自分が今生きている環境がどれだけ恵まれているか? 
そんな事を穢れない子達の瞳を見ながら伝えています。


IMG_0494
数百年の樹齢の真柏を驚きをもって見つめる子達!
いつかは大人になって、生きると言う命への想いに形を替えて感じる頃、
1%の人がこの趣味を楽しんでくれる、“何処かにしまってあった記憶“の扉を開けてくれる事を密かに願っている私です❗️


一昨年の秋、羽生に突然吹き荒れた強風。
夜半まで轟音を立てた風は朝には止んでいました。
スタッフ全員で盆栽を守る為、縛り込み、室内取込みなどに努めた前日でした。

明けた朝、庭内を見回った時、“あれ“と思う杭棒ひとつ。

IMG_0467

IMG_0471
腰高の舎利幹美しい真柏が、根元から折れ、かろうじて“首の皮一枚“の状態で、水吸い部分が裂けてなお繋がっていました💧
至急の鉄筋支えで、深鉢に入れて安定させ、そこから半年。
果たしてどうなるものか?名匠木村正彦先生に、その“命“を委ねました。

先日、つまりそこから一年後、この真柏は、まったく別の盆栽のようになって、羽生へ帰って来ました❗️

IMG_0470
“どのような施術だったのだろうか?“ 中型に仕立てられた姿からは、あの痛ましい時は想像できません。
先生にその内容を尋ねても、

“まあ、できる事をしただけだよ、あとはもう元気だから大丈夫だよ“のお言葉。
失われたかけた100年を超える命が、まるで生まれ変わったかのように、蘇りました。
ここからこの樹の新しい刻が始まります。
おそらく自然界でもこんな事が起きているのでしょうね。
木村先生がよく仰る、
“私はその樹が100年で一度位に遭う災難を与えているんだよ“
という言葉が心に深く浮かびました。
先生!ありがとうございました‼️


※本樹の現在の詳細写真は雨竹亭オンラインショップでご確認いただけます
雨竹亭オンラインショップ
別ウインドウが開きます

↑このページのトップヘ