雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2024年07月


8月26日(月) 上野グリーン倶楽部で、日本水石組合主催の大オークションが開催されます。
水石はもとより、水盤・樹鉢・盆栽、約1,000点の出品予定。
年2回のこのイベントは5,000万から時には1億の総取引高となるマーケットです。

最近は、各所より“先代が楽しんだものを整理したい“と言うご依頼を多く受けます。
趣味で蒐集なさった水石類、遺されたご親族様には、その価値もわからない方が多く、
先日も関西よりのご依頼でビルの地下に10年以上眠り続けていた約100点の水石群のご相談に伺い、このオークションでの整理をお勧めしました。

IMG_0740
故人が想いを寄せた水石達、相対で評価するよりも、
100人のプロアマが集うオークションでその結果を公明正大に整理する事のほうが、ご親族にもわかりやすく良いと思っての事です。
羽生本店の収蔵庫も溢れそうな状態ですが、“下心“ないよう、プロとして取り扱いたいと思っています。

IMG_0741
それにしても、好きというものは、果て度もない量になるものです💦
まるで、昔私が子供の頃、メンコやベーゴマを意味のないほど集めた気持ち、
年を重ねても好きなものには同じなのかなあ、と感心してしまいます😅

でも中には、長野善光寺や、京都大覚寺の箱書を持つ名石も❗️
頑張って、私も競り声をかけたいと思います❗️


この数年、気候温暖化のせいか?
高温記録で有名な埼玉県熊谷市に近い、この羽生雨竹亭も、梅雨明けと同時に、
日中は36~39度の日が続いています。

IMG_0720
外での作業をするスタッフ達の体調が心配なくらいの暑さ😥
天候の動きをみて、梅雨明け前に松柏類の培養棚へのフララ遮光を設置出来て良かった!と思っています。

IMG_0718
異常高温と言っても、地域でその姿は大きく変わります。
例えば、京都大徳寺や、福島市ですと、同じ38度となっても、両方ともに、“山“をそばに抱えているので、朝夕の気温が下がります。
残念ながら、我らが関東平野は見渡す限り、のどかな“だだっぴろい“平野💧 
日が落ちても30度を切りません!

夕水の欠かせない日々、空を見て“夕立降って“と手を合わせる想いです🥵

IMG_0719
番犬の中の長老“レイ“君も、夜の番犬仕事以外は、涼しい所でグッタリ😅
今日は夕立来てくれるかな🙏


【館内紹介WABIチャンネル・撮影決定👏】

大宮盆栽美術館・水石協会と共同開催の『山水涼景・水石の美』展が、今年も始まりました。
(前期
7月19日~8月7日・後期8月9~8月21日

水石の素晴らしさを盆栽美術館に訪れる方々に紹介するこの展覧、
今年も盆栽村名園「蔓青園」さんと、私共羽生雨竹亭で、著名水石家の皆さんの出品をお預かりして開催となりました。

IMG_0684
5席の“単体展示“には、遠山景・島型景・文房棚・山型景・島型景、“真・行・草“の床の間造りには、
滝石の名石、歴史深い“蛙“の姿石、心象に涼味を感得する台座石などが飾られました。

IMG_0685
盆栽に比べれば、まだまだ一般への認知が低い水石💧
このような舞台を数多く展開することで、水石の素晴らしさが少しでも広がってくれる事を願っています。

前後期に分けて、私と蔓青園の加藤さんで、展示内容を解説する、“ギャラリートーク“も開かれます!

そして!嬉しかったのが、私が毎週土曜日(21時~)更新公開している、
YouTubeチャンネル「WABI CHANNEL」で盆栽美術館の撮影許可を頂けることになりました❗️

盆栽美術館、通称“盆美“は、多くの動画に登場していますが、みんな館内の名木達を“流し映像“で伝えるだけ💦 
撮影の趣旨を説明して、この美術館の素晴らしさを学芸員の方と館内を巡覧しながら散策する、この形での初の撮影になります。

IMG_0686
水石展同様、後にも残るアーカイブ的な責任❗️
頑張ります‼️


先日、私共羽生雨竹亭で数ヶ月に一度の盆栽業の流通オークション「天地会」が開催されました。
良品の“品薄“状態が慢性化している業界においても、天地会は、木村正彦先生・小林國雄先生・鈴木伸二先生はじめ、
名園蔓青園さんを筆頭に全国の有力盆栽業の方々がみな集う賑やかな会です。
出品数も多く、この日も現金取引の会としては最大級の総出来高6,000万を超える結果となりました。
ありがとうございました。

流通の要の役割を持つ私共ですが、懸念材料も多く、“次の時代“に対する暗中模索の部分も否めません💧

例えば、樹種による値段の格差が広がる一方で、“売れる物はより高く、明日売れない物は声もかからず“と言った風潮が業界全体に漂っています。
海外でも環境の変化に強い、真柏と黒松は、需要の高さから、“買いづらい“状態。

IMG_0621
逆に五葉松と特に蝦夷松は、温暖化の影響で、関東域での培養がとても難しくなる中、
国風展出品の大型名樹でさえ、50万前後で放出される始末。

本来、日本の盆栽文化の中心的位置にあった五葉松・蝦夷松。

IMG_0623
プロである私達こそ、こんな時作品の大切さを含めて“守っていかないと“ いけないのですが、
みんな正業の中で苦労している仲間達💦
余裕が無ければ棚場を取る“売れない物“を買い守るわけにはいきません。

愛好家の方々も、大型すぎるもの、環境的に難しいものは敬遠されます。
その間髪を縫って、海外勢が“叩き買い“をする、と言う悪循環。
何とか守ってと思い、買うのですが、傷みやすい事や、将来的に相場が不安定なものを、お得意様に無理にお願いするわけにもいきません。
悩みは尽きません。

それでも、持ち易い大きさ、手頃な価格の物は、是非五葉松で蝦夷松でも、楽しんで頂きたいです。
数十年と言う培養の手入れの時間を考えても、その数十分の一の価格で手に入るのです。
日本の盆栽樹種をご一緒に守って下さい!

価格ではなく、真の価値を見つめて下さい‼️


日本盆栽協同組合本部の“流通の要“・「水曜会」
年に数度の大会などになれば、1回の出来高5000~8000万の業界主軸の会。
定例会の夏場となれば、海外の参加者も入場許可はなく、日本の盆栽人達の競合いになります。

IMG_0589
仕立て中の素材から、国風展出品の経歴を持つ名樹まで、幅広い盆栽達が、僅か数秒で競り落とされてゆきます。
普段より交流深い“仲間達“ですが、私を含めて“年季を踏んだ“ プロ中のプロ達。
流石にちょっと気になる樹が出ると、競人が10万とひと声かけた瞬間に、“15・20・25・35❗️“と競り上がります。
国際的な相場の動向が、為替のように日々刻々と変化する市場。
一喜一憂は日常茶飯事、今日の買付品を明日の地方の交換会に出品する人、家に持ち帰って、自分らしくじっくり作り込む人。
其々がそれぞれの“想い“を抱いての会。

IMG_0590
それでも、プロ中のプロが集う中央の会は、みんな何処か商売とは別に、盆栽が好きで好きで仕方がない連中❗️
かく言う私もそのひとり💦
いつ来ても、何かに出会う“ワクワクする気持ち“は、変わりませんね‼️

↑このページのトップヘ