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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2024年05月


日本の盆栽鉢作家達が、次々と亡くなり、“本物の盆栽鉢“を作る方が、本当に数少なくなりました。
不足する分を補うように、中国より大量の“新渡“と呼ばれる鉢が、我が国に届きましたが、
20~30年前の作品は、それでも1点造りのしっかりしたものがありましたが、
経済成長著しい中国では、“陶都“ 宜興ですら、大量の胎土と手間のかかる盆器から、
アトリエの一室でも作れる茶陶関係に、若い陶工は向いてしまっています。

8年程前、中国の最上質の陶土を用いた、往時の“失われた盆器“の再現をしてみようと、泥物の宜興、釉薬の広州(広東)に赴いて、
30年50年の後、多くの盆栽界の方々が、良質の鉢として楽しめるように“実用の名器“を作り始めました。

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本物の土、本物の焼成、本物の釉薬、幾度も訪れて、現地の陶工の人達と交流を深める中、
少しずつ、お互いが、“良い物を作りたい“という意識で共通した人間関係にまで、辿り着きました。

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出来上がった鉢を少しずつ日本に運び、試験的に、展覧会のブースなどで発表して行くうちに、
プロの方々から“良い鉢だね“ “森前さんの作った鉢は、寒さに当てても割れたりしない“など、一定の評価を頂くまでになりました。

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“全国に広めたい“  そんな思いから、カタログによる地域性を無くした通信販売への計画を立てて、
現在、その集積地と設備を模索しているところです。

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制作・輸送・様々なコストが値上がりする今、実際に事業になるものか!不安なところもあります。
しかし、“この仕事はやるべきものか?“と、自問すれば、“必ず未来に答えがある“と確信出来るのです。

私がいなくなる頃(15~25年後💧)には、国風展などでも見かける鉢になってくれればと思います。
それにしても、いろいろ“係り“が加算して、頭が痛いです😓


福島県・日本盆栽協会「吾妻支部」の盆栽展が、毎年の恒例で、大型連休の3日間に開催されました。

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15名余りの会員の方々、協力される近隣の関係愛好家、そして大型作品などの搬入飾り付けなどを手伝う、出入り方のプロ達。
高齢化する支部会員の皆さんが、会場作りから手作りで行う展示!
手慣れたプロ達のお手伝いも不可欠です💦

国風展級の名木から、ご自身で何十年も作出されたものまで、幅広いのも、
その土地に根付く趣味の団体の和気あいあいとした世界ならではのものです❗️

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中には“この樹は、鉢を替えて少し作出すれば、国風展へも行ける!“と思う樹もありました!
さすが吾妻五葉松の故郷!
山採りの“将来の日本の盆栽界に大切な素材“と思うような樹も拝見できる機会です!

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業界主催の著名盆栽展に慣れている私達ですが、こんな“皆んなで手作りで開く展示会“、ずっと続けて欲しいですね❗️
1・2点、譲ってくれないかな!って思う樹がありましたが、お手伝いとしての役目、
グッとこらえて“いい樹ですねー!“と眺めていました💧


誰も居ない中での、盆栽と向き合う時間の素晴らしさ‼️

遅々として進まない、植替えや樹の手入れ💦 
季節が移る中でどこまで今年の作業が出来るかの闘いが続いています。
そんな中、
“会長、昼間は来客や水掛け、他の事多く、中々本気の手入れが進みません。良ければ亭を締めてから夜やりましょう“
と具申してくれて、さあ!盆栽屋らしく、植替え手入れの特別の時間が始まることになりました❗️

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作り途中の黒松、差枝に力を乗せる為の、徒長枝の“伏せ込み“針金かけ、
カチカチの状態の大型松柏、
3時間で4本の手入れが終わりました。

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私がこうして若いもの達と、手入れの時間を共にする機会も少なくなりました💧
仕事を進めながら、“なぜこうしているのか? なぜこの鉢に入れて、この観付き角度になるのか?“
実践を一緒に進めながら、そんな話をしていることが、彼らにとっても勉強になってくれればと願いながらの、大切な時間の共有でした。

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大型連休の間は、羽生雨竹亭も「春の観照会」 道路も渋滞するので、1年で1番長く在園する時です。この間、参加出来るスタッフと日々こんな時間を過ごしたいと思います。
ただ、1日目の次の朝、さすがに朝7時から、この夜間作業21時まで、体がバキバキでした💦
“寄る年並み“には勝てません💧 
でも何も考えず、樹と若者と共にする時間は最高です‼️

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