雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年12月


【多くの出会い・たくさんの感謝・次の幕開けへ‼️】

12月26日22:00・10年余り途中で数ヶ月のお休みをしながら続けてきた、Yahoo!オークション(以下、ヤフオク)の雨竹亭盆栽水石オークション。

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最後の出品、皆さんの落札を終えました。
今までの出品総点数は8,000点を優に超えています❗️

“これからの時代は、Web上の市場の公開性が大切“  こんな事をスタッフで考えて始めたヤフオク。
初めは各種対応も含めて苦労の連続でした。
でもその中でも、
“商品説明には皆さんに出来るだけ、掲載品の良い所は勿論、欠点や留意点もキチンと伝える“
これを最後まで貫いた仕事だったと思います。

現在の当社の担当2人になって、安定した閲覧を頂いたヤフオク。
楽しみに観て下さった皆さんには、長い間の感謝しかありません🥲

時代は少しずつ変わり、当社自身の雨竹亭の販売サイト(ECサイト)への応答が増え、海外も含めて多くの方々が利用して下さっています。

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正直申し上げて、“ネット上で顧客同士がビッドを繰り返し、競り合う“という、オークション。
参加される皆さんの楽しみにもなる事は充分理解しています。
しかし、“盆栽水石の文化と市場性“という社会性を大切にしながらお客様に商品を提供していく雨竹亭としての考え方。

ひとつの盆栽・ひとつの鉢や水石を、その内容の説明、評価としての価値、愛好家の皆様に良品を提供させて頂くと言う理念。
そんなコテコテの“昭和の修行盆栽人“は、流動的な販価にも見えるオークションシステムには、中々馴染めずにいました。
それでも、会社運営のため、若い幅広い趣味家の方々への宣伝など、
若いスタッフに背中を押される感じで、“会長はとにかく良い解説をお願いします“と
日々“この樹・この水石にどんな言葉をかけてみようか“ そんな気持ちで、文を起こして来ました。

雨竹亭のECサイトが、羽生雨竹亭に来園される皆さんと同じものをWeb上の画像でも見易く、分かり易いように、
少しずつでも映像も全体構成も日々改善した結果、今では掲載商品が即日の応答を頂くまでになって来ました。
ありがたい事です💧

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新年より、雨竹亭の商品販売サイトは、毎週今までの倍の点数をアップする事になりました。
この為、残業覚悟で日々業務に勤しんでくれるスタッフの苦労を熟慮して、
“二兎は追えず“の例え、長く皆さんにお楽しみ頂いた、ヤフオク出品を終了する事になりました。

ありがとうございました。
廉価品から国風展級まで網羅する盆栽、小品から大型の展覧会出品記録を持つ名石まで掲載の水石。
和物から渡来品まで幅広い盆器の数々。

是非、雨竹亭のWeb販売サイトを楽しんで頂けますよう、お願いします🤲

雨竹亭オンラインショップ


除夜の鐘まで、あと数日となる中、今年最後の大徳寺入りとなりました。

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上杉謙信公の一位、国風賞の花梨、木村正彦先生の創作石付真柏、
伏見宮様の宮様楓、そして徳川慶喜公の五葉松、そのほか、数々の名樹達も、静かに健やかにこの庭園で新しい年を迎えようとしています。

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あっという間の一年、それでもいろんな事があった一年。
蹲にも氷の張り始めたこの頃、異常気象と言われた今年、ようやく冷気も出てきて、盆栽達も佳き眠りの刻を迎えています。

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盆栽園の各地での海外グループによる盗難が相次ぎ、インボイス制度の始まりで困惑する業界、
良き事、悪き事、織り混ぜて年は過ぎていきます。

でも、盆栽達にとっては、数百年という樹齢の中で起きる、ちょっとした出来事。
私達も目の前の出来事にせめて心だけでも振りまわされないようにしたいものです。

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禅林の修行の鐘音、鳥や風の音、今年も無事に守れました。
ありがとうございました。

【雨竹亭スタッフも受賞‼️】

12/15~12/17、上野グリーン倶楽部で、盆栽作家の競演「日本盆栽作風展」が開催されました❗️
丁度、私が修行で小僧に入門した年に始まったこの競演も、今年で49回❗️

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若い頃、各地の有名な盆栽園のご主人達の技と気風の展示を観て、感動を覚えたあの頃が懐かしくなります。

今回は、本選部門で、私共雨竹亭の島田君が、雑木部門で、賞候補となる委員会賞、若手部門で近藤君が五葉松で銀賞!

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また、雨竹亭の“卒業生として本選に初応募した宮城県の加藤君も賞候補となるなど、
いつの間にか、“教え子達“が、表舞台に立つ時代になりました。

長く交友がある友人、長野県の井浦氏が、“捲土重来“と言える、万感を込めた内閣総理大臣賞を、
先代から守り続ける真柏名樹「風神」で受賞された事も欣快の出来事でした。

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来年は50回の記念展。
出品に憧れ、将来の夢を抱いたあの頃。
今の盆栽界に生きる若き方々にも、純粋に盆栽と向き合い、
自分の作品と言える樹造りに正面から挑戦してもらいたいものです。

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海外勢の圧倒的な購買、国内愛好家の環境の変化、
社会的には幅広く理解と浸透を得た盆栽界が直面する“将来への課題“など、
取り巻く世界は決して安定した満ち足りたものとは言えません。
それでも、いつの時代も、“夢“を求めて欲しいものです❗️

盆栽が世界を繋ぎ、平和を謳い、人を育てるものであることを願ってやみません‼️

芳春院盆栽庭園・暮れゆく年の瀬

“彩“と“常盤の翠”  刻々と変わりゆく自然


京都も“大騒ぎ“の紅葉の季節を終えて、いつの間にか、“暮れの足音“が街のあちこちにも聞こえてくる頃となりました。


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盆栽庭園も、年の瀬の“静かな“それでいて、何処かに“初春“を感じる庭園の入替を行いました。

常盤の翠、松に真柏、そして一位に檜。

“北山時雨“の有難い湿気で、関東の空っ風とは違う松の葉にも深い緑を湛えています。


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その翠の中に、梅の盆栽! 

名残の柿や実物、湛える翠、そこに“枯淡の極み“、まるで枯れ木立のように見える盆梅達。


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山茶花(寒椿)の足の速い花期、山鳥に間もなく実を啄まれる柿達。

臨済宗巨刹・大徳寺の暮れは、500年変わらずに過ぎてゆきます。

禅寺や盆栽達の“時間“からすれば、私達の時間など、儚いものですね。


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ここ大徳寺芳春院に請われて盆栽庭園を興して、年が明ければ三年になります。

戦国大名の歴史と文化が、まるで刻が止まったように息づく大徳寺。

ここに「盆栽庭園」の石柱が立ったこと、私の盆栽人としての半世紀、

来年で50年となる盆栽歴の中で、もしかすると、“ここへ辿り着く為の私なのかもしれない“と、思うような歳になりました💦


【盆栽を愛する若者達に国境はない❗️】


2ヶ月前、4年ぶりに訪れた中国。

今年も日本盆栽大観展で海外審査員に指名された、張小宝先生への招聘状の伝達お届けをした後、

我が“中国の兄“と言える盆栽家、王永康先生の「随園」へ赴きました。

70歳を超えて尚、中日の盆栽文化に寄与される王先生、広大な盆栽園には、

相変わらず“どこまでどれだけあるのか!“と、ため息の出る規模と内容。

羽生で3年間の盆栽技術研修をして、名匠木村正彦先生からも、

“あと数年日本で学べば、本格の技術者になれる資質“と評価された、趙(ツァオ)君と郝(ハオ)君も、

帰国後、更に技術を高める為に、王先生の所に居ます。

久しぶりに会った2人、何より元気そうな事が嬉しかったです。

毎日、盆栽の事だけ考えてこの広い庭の中で暮らす事、若者にとっては、様々に体験したい事もあるでしょうが、

私がそうであったように、学びの時代を振り返れば、“あの頃が何も考えずに盆栽と向き合っていた一番楽しい思い出“になるはずです。


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“森前、頼みがある“ 王先生に1人の若者を紹介されました。陳君、22歳。

先の2人ともう2年ほど、この随園で一緒に盆栽を学んでいるそうです。

ハンサムでいて、凛々しい眼差し。

“この子を森前の所で学ばせてほしい“ 本人の強い希望だそうです。

趙と郝、私がその将来を期待する2人と過ごし、王先生に“行きなさい“と

認められた子、今、陳君は羽生で雨竹亭のスタッフと毎日一緒に、すべての作業を共にしています!

“この子はホントに盆栽が好きなんだな“と、傍でいて感じます。


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長くはいられない環境。

日本にいる間に伝えられる事にも限りがあります。

何よりも私は、盆栽に携わる日本のプロの考え方、日常の社会での礼節を伝えたいと思います。


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どんなに技術があっても、どんなに裕福でも、“人としての優しさと豊かさ”が一番大切という事を。

ポケットの中の自動翻訳機が、大活躍の毎日です💦

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