雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年09月


9月の声を聞いても、収まらぬ暑さ! 
名匠木村正彦先生の庭の名樹達も、先生の愛情深い日々の管理で、記録的と言われた今夏を乗り切りました。

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8月に若干体調を崩された先生、83歳となる中、相変わらず弟子の方々と新作の創作盆栽の制作に余念のない毎日ですが、
戦前のお生まれ、我慢強いのは、私達戦後生まれの比ではありません。
泣き言を言わない先生だけに、周りに居る私達が、出来るだけのサポートをして、いつまでもお元気で盆栽と共に過ごして頂きたいものです。

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利き腕に激痛が走り、急に物も握れない事がこの夏にあったなど、過ぎてから笑い話のように私達に仰います。
“老成“される中だからこそ見える本当の盆栽の姿。ここからの木村正彦先生の姿をずっと見守り続けたいと思います。
人として、盆栽家として、届かぬ師として。



【変貌する赤松大懸崖の改作!】


YouTubeで公開している私共の『WABI CHANNEL』も、木村正彦先生、小林國雄先生などのご協力を得ながら、順調に毎週の新動画の発表をしています。

多くの盆栽のYouTubeチャンネルがありますが、WABI CHANNELは、雨竹亭らしい視点の動画を心がけています。


今回、羽生から15分の所で盆栽園を開き、一昨年には「日本盆栽作風展」で、内閣総理大臣賞を受賞した、

森山義彦さんに協力頂き、赤松大懸崖の改作に挑んで頂きました。


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木村一門の若き名匠として、温厚で物静かな職人肌の森山さん。

赤松の見所を捉えると、僅か5間で仕上げてしまいました❗️


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さすがの技術力!と洞察眼!

改作の様子は、編集作業(字幕を入れて、英訳を入れて💦10月初旬には公開となります。

神の手を受け継ぐ中のひとり、是非動画もご覧下さい‼️


WABI CHANNELはこちら

(YouTubeに飛びます)


【“一照千隅“  伝教大師・最澄の心を水石に込めて】

以前KBS京都の長寿番組「比叡の光」に大徳寺芳春院盆栽庭園で取材を受けた縁で、
天台宗大本山「比叡山延暦寺」の教務主事、清原徹雄師を訪ねて、琵琶湖畔、大津市坂本町にある、延暦寺“里坊“の本坊「滋賀院」に伺いました。

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里坊とは、本来山内(比叡山の上)で生涯を過ごす天台僧侶達が、高齢となり、座主の許可を得て、山麓の街に下りて暮らす為の、塔頭のようなもの。
現在でも50以上の里坊が、山麓や琵琶湖畔に点在しています。
この里坊の“本山“としての役目を担うのが、この滋賀院です。

1615年、“黒衣の宰相“と謳われた、天台僧“天海”が、
後陽成天皇より京都法勝寺の建物を下賜されて、1655年、後水尾天皇によって名を賜った寺院です。

大徳寺でお会いした時から、物静かで柔和な、それでいて身を律した立ち居振舞いに、厳しい修行をされた方のみが漂わせる“静かな力強い気品“を感じる方でした。
テレビ収録でお別れする際、“必ず叡山にお伺いします“と約束し、今回あるものをお届けする為に、ご都合を頂きました。

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瀬田川石、石肌の片隅にまるで蝋燭が灯るような紋様が浮かび出た石。
天台宗の開祖、伝教大師(最澄)が唱えた有名な言葉・“一隅を照らす“  これは世界遺産となった、
延暦寺の根本中堂に千年の時を過ぎてなお守り伝えられる灯火、“不滅の法灯“と繋がります。
(浄土宗・法然)(浄土真宗・親鸞)(臨済宗・栄西)(曹洞宗・道元)(日蓮宗・日蓮)他、
日本の仏教を創られた多くの僧侶が、修行の時を過ごした延暦寺。

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清原徹雄師は、快く受け取って下さいました。
この石はこれから数百年、比叡の山懐に静かに蔵されます。
いつの日か、水石文化に興味のある人物が、この“仏教の母山“にある、この石を観た時、
また新たな歴史が始まってくれる事を微かに願って、尊い聖地を後にしました。

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