雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年08月


水石界の悲願だった“美術館での水石展開催“という実現を、春花園・小林國雄理事長(今春勇退・最高顧問に)と共に10年、
今では海外の水石愛好家の皆さんの出品も定着した東京都美術館での『日本の水石展』
(来年より歴史ある“日本水石名品展”への名称継承が認められました)150席に及ぶ美術館での展覧には、
日本ならではの、“床飾り“風の展示設備を作る為、この部分への出品料は10万円愛好家の方々に負担して頂いています。

200ページの記念図録と共に、趣味家の皆さんにこれ以上の負担をかけるわけにもいかず、
1000人にも満たない“小さな協会“は、いつも“財布は空っぽ“状態💧
苦肉の策として、開催を始めた「水石オークション」
今年から正式に日本水石組合が主催することになり、収益金の半額を文化団体である日本水石協会に寄付して下さる事が、総会で認証されました。
ありがたい事と、私を含めて協会役員も全員参加のオークションとなりました!

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“水石文化を守り広めよう“と、想いを共にする仲間達が、“商売夏枯れ“の今、損を覚悟で、全国から出品協力をして下さいました。

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名匠木村正彦先生を筆頭に、約100名のプロ達が、多数の盆栽・水石・樹鉢・水盤・卓などを、
さすが水石オークションと言える内容で集めてくれました。
感謝です。

朝8時、掛け声とともに開始され、夕方5時、手締めで終わった成果は、約5000万円。
誰も儲かってはいないでしょう。
業界の為と、出血落札を覚悟で皆んなで頑張ったのです!

水石組合の理事長に就任された、小林國雄氏、75歳で社団法人の長を退かれた中、
水石界の“頭“として、業界の安定的発展を見守ってもらう為に就いて頂きました。

水石文化を広めるには、様々な努力が私達プロには必要です。
その中に市場形成と言う大切なものもあります。
いくら“文化としての水石“と説いても、
そこにある水石や水盤が、価値あるものである事を、趣味家の方々にも、ひいては若いプロの人達にも、
こうしてオークションでかかるひとつの石が“30万!50万“と言う姿を目の当たりに見てもらう事が、
一番の刺激にも“自分もプロとして水石をもっと真剣に学ぼう“と言う気持ちになってもらえると思うのです。

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私もオークショナーを務めて、はや10年💧
さすがに
翌朝は声もガラガラ💦
65歳を前に、“次なる水石のオークショナー“を育てないといけません!
それには私のように、何よりも水石が好きでたまらないと言うプロの出現を期待するばかりです。


【インタビュー対談!変わらぬ情熱と“優しさ“】

数ヶ月前より開始した、YouTubeチャンネル「WABI CHANNEL」 
銀座時代に全ページを執筆していた(今やれと言われれば、逃げます!笑)盆栽情報誌『WABI』のエキス、
“盆栽と水石の文化的発信“   これを“世界に向けて“  ナレーター役で、字幕入り(英訳の転換も!)でご紹介する番組。

羽生雨竹亭から大徳寺盆栽庭園、そして名匠・木村正彦先生との対話と実技、
お陰様で、僅かな時間で、チャンネル登録が3,000人となり、
毎週土曜日に“世界の方々に本当の思い、本当の深い内容、をお伝えしようと、新しい動画をアップしています。

猛暑の残る、八月下旬、普段より親交深い、春花園・小林國雄師の所で撮影と対談をさせて頂きました!

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水石協会の理事長と事務局長として10年間、喜怒哀楽を共に階段を昇った間柄。
こうして世界に名を馳せた盆栽作家としての一面を取材すれば、75歳となる中でも、飽くなき探究の姿勢が満ち満ちている本人。

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先立って取材した木村先生と共通する“すべての物事を子供のように純粋に捉える心“  日本の盆栽家を代表する2人は、やっぱり違います!
床の間15席!と言う、盆栽界唯一の展示席を有する、日本建築の粋「啓雅亭」!

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日々来園される方々(何と毎日100~200人の内、9割が外国の方❗️)の為に、この床飾りを毎朝されています💦 
ある意味お弟子さん達も技術だけではなく、日本盆栽界ならではの、文化の深さと意味を学べる幸せな空間です。

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盆栽に対する考え方、幅広い捉え方、次代に繋ごうとする斯界に対する“滅私奉公“の心。
九月中旬にはアップされるYouTube「WABIチャンネル」ぜひ皆さんも登録してご覧下さい‼️

WABI CHANNELはこちら(YouTubeへ飛びます)

【台風から樹を守る‼️盆栽家の使命❗️】

台風7号が近畿地方を直撃横断しました💦
大徳寺芳春院盆栽庭園は、盆栽界の代表的な名樹や、上杉謙信・徳川慶喜・伏見宮・など、
歴史的人物にゆかり深い樹々も多く庭園にあります。
国風展出品樹ですら、“小さく“感じる庭園💧

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超大型の盆栽達を直撃が予想される台風から守る為、通常担当の1名に加えて、羽生本店から応援部隊を京都に向かわせました。
15日通過予想の中、交通事情が間に合う14日午後に羽生を出発して、同17時着、
事前に現地担当者が、この庭園独特の遮光ネットをはずし、
応援到着後、普段は4名で下ろし込む盆栽達を、“火事場の馬鹿力“ で、2人で馬力をかけて守りました❗️

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葉物などの“雑木類“は、強風に葉が“揉まれる“と、葉先が焦げてしまいます💧
出来るだけ室内に取込み、台風の通り過ぎるのを、“寝ずの番“で守ります。
盆栽家は、自然には勝てません💦 
だからこそ、盆栽達を必死に守る為には、すべてをその時間に充てます。
“何事もなく通り過ぎてくれ“  出来るだけの防備をした上で、祈る気持ちで通り過ぎるのを待つばかりです。

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風が止み、台風が行き過ぎると、ホッとすると同時に、棚や石柱に盆栽を戻さなければなりません。
“樹を守る!“ この想いで、必死に片付けている時はいいのですが、炎天となった庭で、休園の看板を外すまでに、元の姿に庭園を戻す作業!
これがキツイなんてもんじゃありません。
“どうやってこの樹を僅かな人数でこれだけ片付けたのだろう?💦“ 
こんな気持ちで汗かきながら戻します😅

数百年の“命“、私達の一度の気の緩みが、その時間を無駄にしないように、努めます。
台風!強風! 
大っ嫌いです‼️


このオークションは、盆栽界の中心地、上野グリーン倶楽部(旧上野盆栽倶楽部)の施設維持資金の助成として毎年開催されています。

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猛暑の中、志を共にするプロ仲間が集合して、
その一助となるように、各自夜明け前の自庭の水掛けを済ませて、
朝7時には集合して始まりました。
下は5,000円から、上は百数十万まで、“倶楽部の維持の為“を合言葉に、活発な競りが行われました。
近代出版の徳尾社長、春花園小林國雄先生、数多くの著名盆栽家達が集った結果、3500万と取引出来高が成立しました。

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どちらかと言えば、夏の“相場“が低迷する中、“出品して儲かる“など、誰も思っていません。
業界のシンボルを守ろうとするプロ達の想いが成し得たオークションでした。


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さいたま市大宮盆栽美術館で開催中の「山水涼景〜水石の世界」※日本水石協会共催 で、
展示品へのギャラリートークをコロナ以前のようにライブで行いました。

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美術館へいらっしゃる、普段盆栽の素晴らしさを楽しまれる方々、皆さんへ“水石って?“という、
単純でひとことで伝えるのが難しい説明から、各席の詳しい解説まで、
38℃と言う猛暑の中いらして下さった30名程に伝えるのに、45分ほどかかってしまいました❗️

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嬉しいのは、解説など、浅学非力の私が、おこがましくも説明する事に、
耳を傾けて真剣に聞いて下さったり、メモをとりながら、“なるほどなあ“と、一席ずつご覧になったり・・。

水石を扱うプロとして、このようにその魅力を伝える事の大切さを痛感する時を頂いたのは、何よりも私自身かもしれません‼️

以前、アメリカワシントンの国立盆栽園でキュレーター(主に学芸員の方々)との講義を任された時、
“モリマエ、石は河川にあるもので、結局盗んで(拾って)来たものなのか?犯罪ではないか?“
と問われて、答えに窮した事がありました。

水石協会の役員として、正当な答えを求めに、国土交通省所管の河川局とその内容を相談して、答えを見つけました。
今日のような講演の時には、この内容を必ずお伝えする事にしています。

(河川局よりの解答)
日本の山河や海にそそぐ河川は、すべて国の管理するもので一部を除いて個人の所有はありません。
この河川に広がる石類も同じく国民の自然財産です。
個人としては、娯楽の域で河原から石を手に取り、訪れた記念に数点を持ち帰り楽しむ事は、
その河川を荒らすような行為とならなければ、問題ありません。
しかし、これを営利目的で採取したり、業とする方が持ち帰ることは、河川法に照らしても違反行為となります。
自然を愛する日本国民としてのコンプライアンスを遵守された娯楽の域で楽しまれる事を望みます。


これが解答でした。
つまり、一般の愛好家の方々が、“探石“と言う、水石として楽しめそうな石を河原から拾う事は問題なく、私達プロはダメという事です❗️


多くの人達が、訪れた山河で、自分の“目利き“で、水石の“卵“を見つける事が、いつかはそれが水石展に登場する第一歩になるのです。
盆栽で言えば、山採りの素材から名木が生まれるような事です。
みなさん!川へ行きましょう❗️未来の名石を‼️


「山水涼景〜水石の世界」についてはこちら

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