雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年07月

【“夏空“ ❗️ 京都大徳寺の盆栽達・ガンバレ❗️】

1200年の都!なんと37度❗️ 

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西に見える大文字山にも夏雲が湧いては消える毎日です💦
“夏帽子“をかけた盆栽達もあと1ヶ月の、朝夕に吹く“秋風“を待って酷暑を頑張っています。

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井戸水で水をかけている盆栽庭園、
この時季は全部を掛け終える前に、井戸が干上がる事多く、30分ほど待ってまたかける日々です🥵

それでも庭内の樹々達は、自然の中で必死に生きています。

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埼玉県羽生の私達の本庭は、連日38~40度‼️  
同じ暑さでも何処となく京都北山の地は、
埼玉とは違い、“耐え易い猛暑“❓です!
朝の腰水、夕方の葉水、杉苔の夕水掛け、
追いかけてくる庭内の雑草を取りながら、夏の過ぎゆくをジッと樹々と耐えています❗️


毎年、夏の季節、さいたま市大宮盆栽美術館で、同館と日本水石協会の協同主催による水石展が開催されます。

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今年は7月21日から8月30日までのロングラン❗️
途中(8/10)入替を経て前後期の展示です。
今回の前期展は、雨竹亭関係で、全席8席の内、7席を受け持ちました。

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冬の『日本の水石展・都美術館』とは雰囲気を変えた展示、この美術館ならではの企画が込められています。
格調高い床の間飾り・茶室風飾り、山形石・島型石、滝石、小品棚飾り、など、
景趣や設えを凝らした水石の展示。

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庭園の名樹を背景に静かな空間が広がっています。
私も8/6(日)13:30~ ギャラリートークを今年も受け持っています。
“ひとつの石が見せる大自然の景色“  是非皆さんもご覧になって下さい❗️

大宮盆栽美術館『山水涼景』についてはこちら↓
https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/exhibition/exhibition-9438/


羽生雨竹亭の100坪の収蔵庫は今、
常蔵の品々以外の約半分のスペースが、“夥しい“と言うべきほどの水石古石で満ちています。
約800点の桐箱入りの水石❗️卓に水盤‼️

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若き頃、私の水石観に深い影響を与えて下さった、“水府散人“こと、薄井正志先生の大コレクションを、
京都綾部市の恩人、横山巌先生の所へ運んだ時の事を日本の名石群を思い出すものでした。

数ヶ月前、関西に仕事で出かけた折、お世話になっている大阪の盆栽愛好家の所へお伺いする予定でした。
その日、空からバケツで撒いたような雨となり、とても盆栽を棚場で手入れをする事が無理となり、やむなく中止しました。
現場の箕面市まで近づいていたので、関西の私共の“基地“、京都大徳寺盆栽庭園に戻ろうかと思いましたが、
箕面から程近い吹田市にお住まいの、横山先生のご友人で、
関西水石界の最長老、本山先生にしばらくお会いしていなかったので、お電話してみました。
お元気そうな声で私が突然お伺いしたいと言う事にも、喜んで下さいました。

5~6年前、ゆっくりお伺いして亡き横山先生との、本山先生と私しか知らない話など、楽しい時間を頂いたことが、昨日の事のように思い出されました。
久方のお伺い、まずびっくりしたのは、
以前ご自宅に所狭しとあった名石群を隣接の住宅を“水石の為“に買い取って、これをすべて水石の展示にされていた事です❗️

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しかも以前よりもその内容が幅広く充実していました。
聞けば、やはり趣味のお仲間でご高齢となる方々が本山先生を頼って、結局その方のコレクションをそっくり入手する事が幾度か続いたそうです。

汲めども尽きぬ40年にわたる水石趣味の皆様との出来事、先生は最後にこんな事を仰いました。
“森前君、この間友人の葬儀に行って、その方の元気な頃の水石趣味の写真を見て思ったよ。
5~6人の良き仲間の写真、もう私しか生きていないんだよ“  

水石・煎茶・文房・そして黄檗禅。
初めて横山先生にご紹介頂いたあの頃から40年、本山先生も当時は40代、八十路を超えた先生は、
もう同じレベルで水石を語らう友が居ないのかもしれません。

コロナ前、先生の主催する水石展に伺った時、思ったことがあり、業者として今まで誰にも喋らなかった事を先生に告げました。

「先生、私達は水石を商売して生活を立てている者、愛好家の方々の下に下にあるべき者です。
こんな失礼なこと、生まれて初めて言いますが、あの展示会でご挨拶した方々、先生のお友達かもしれません。
でも私には先生のご蔵石を“流通市価の数分の一で先生から手に入れる事を先生の顔色を見ながらそばにいる方々“ にしか見えませんでした。」
こんな無礼な事を言えばお叱りを受ける事当然と思っていましたが、意外、先生は複雑な笑みを浮かべておられました。

“先生、もし出来るなら、先生のこのコレクションを私に託して頂けませんか”
この言葉を伝えるのに、それ程の時間はかかりませんでした。

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それから3ヶ月、巨人“水府散人“と並ぶ、関西の大コレクション、曽我山人(本山先生の号)、
ひとつひとつの石に込めた先生の“想い“をしっかり受け止めて、次の時代の愛好家への橋渡しをしたいと思っています。

それでも、ホントにすごい数❗️ 整理整頓でこの夏は終わりそう💦


4ヶ月ぶりの羽生「天地会」
業界最大と言われる小店のオークション、猛暑の中でも、盆栽界を代表する面々が集合してくれました❗️

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木村正彦先生・小林國雄先生・友人でもある鈴木伸二氏。 
3者は日本を代表する盆栽作家として、こうして三人がひとつの場所に集合されることは、滅多にありません。

又、今年から新しくなった日本盆栽協同組合(日本のプロ団体の頂点)の櫻井理事長、
佐々木理事(大観展委員長)、寺澤理事(組合本部オークション“水曜会“委員長)も全員参加して下さいました。

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約100名の全国からのプロ達、海外からの参加、お陰様で、7,000万の出来高❗️
下は3,000円から上は300万台まで、幅広い盆栽達が、競り人(寺澤氏・椎野氏・森前)の素早い掛け声で、競り落とされていきました。
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嬉しかったのが、毎回各地より依頼される愛好家の処分、今回も八王子方面より、趣味家ご本人が残念な事に他界され、
夏の水掛けで樹が痛む事を心配されて、今オークションに出品された奥様。
翌日に結果のご報告と支払い金のお届けにスタッフが伺ったところ、
“次の日にすぐ来てくれた事、思いの外、高額の結果になった事、新盆を迎える前に、亡きご主人にキチンと報告できる事"
それを本当に喜んで下さいました。

トラックでスタッフ達が汗をかいて泥だらけで運搬した苦労が、その言葉と報告で、皆吹き飛びました❗️

私も木村先生の特別参加出品の樹が買えたり、“この樹はこうして作ってみよう“と思うものがあったりの成果でした。

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自分が“会主“と言う立場、参加した方々が、ションボリする方がいないか💦
なるべくひとつでも売れるように声をかけたり、自分で買い落としたり💦

でも、みんながこうして集まってくれる事こそが、何よりも嬉しい会でした。


大徳寺での用向きを早めに済ませて、やっと時間を作って、京都市内から車で1時間半、
京都府北部、日本海へあと40分のところにある、綾部市。
山間の小さな街ですが、私にとっては、水石人生の忘れえぬ大切な土地です。

この地で水石趣味に人生を過ごされた、故横山巌先生(号・雨洛)は、まだ20代前半だった私が、
水石の業者として一人前になるまでを導いて下さった恩人中の恩人です。

天界に逝かれてもう10年になりますが、この綾部で先生が会長として水石展を始めて、
57回目の展示会が、市内のグンゼ博物館で開かれました。

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中々お伺いをする機会が得られませんでしたが、ようやく、横山先生が居ない展示会を拝見出来ました。
現在までも長く交流を頂いている同会の林さんが出迎えて下さいました。

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展示は、今も横山先生がそこにいるような、静謐で会場の設え、
展示された水石のレベル、水盤や卓の取合わせ、砂敷きの丁寧さ! 

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どれを取っても、中央の水石展のそれを凌駕する程の仕上がりでした。
ひとりの誰にでも心温かい対応をされた著名な愛好家であった横山先生が残されたこの会は、
半世紀を超える歴史を“正統な水石展“として受け繋いでおられました。

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水石業界の中でも中堅から老練の組に入りかけている私。
こうして各地で水石趣味を謳歌されている方々と、もっともっと交流をして、
“次の時代“の趣味家の為の“何か“をしなければと、思う1日でした。

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