雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年06月

【“平飾り“という、一番難しい世界】

盆栽・水石の、“座敷飾りの究極世界“と言われる「玄虹会展」。

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見事な床の間飾りに圧倒されがちですが、会員の方々は、
「この会は皆が平等、会長も幹部もありません。勿論毎回の展示も、その優劣など、初めからありません」
と仰います。

確かに数えてみれば、総席数20席の内、床の間飾りは僅か4席!

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青氈を敷いた “平飾り“  と言われる平易な飾りが殆どです。
しかし、会員の方々は「平飾りが出来るようになれば大したものだね!」の弁!?

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ご年配の会員如く、
「掛物や添えを配しての主題作りは楽しいですが、
盆栽や水石のみを飾って、
そこに大切な“想い“を込めて、観る方に“何かを感じる“世界を
設えるのは、意外に難しいものですよ」!!
さすがの奥深さ❗️

そう言われて見直せば、ひとつの盆栽・一塊の石に、ご自身の名札の誇りを込めての飾り!
“玄虹会員は、朋友への信を第一に“ と言う会是を筆頭にされる方々が極めようとする世界観、
もう一度、静かに見直したい展覧でした❗️


第15回玄虹会展の動画をこちらからご視聴いただけます☟

【究極の水石飾り❗️】

京都大徳寺「芳春院」で開催された「第15回・玄虹会展」は、盆栽の陳列は勿論のこと、
水石の飾りに対しては、他の追随を許さない程の、深い興趣を備えた陳列が目立ちます。

特に、芳春院書院奥の茶室、“迷雲亭“の席は、別格と言えるものでした。

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崑崙山脈や“天山回廊“を想わせる白銀の峰々を彷彿とさせる石は、京七石のひとつ、“畚下し石“。

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旧三菱財閥、岩崎家の所蔵品で、通称“岩崎の番号石“と呼ばれるもの。
底部に“ニの32“の符牒が記されています。

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片山一雨から横山雨洛へと受け継がれたこの名石は、独特の石相から、飾り込むのが難解で、
名人と謳われた過去の蔵者達も、合点のゆく設えには届きませんでした。

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今回、会員である寺内氏は、“初夏ならばこそ、人界届かぬ天界の峰々を現出してみよう“と、
名器“御庭焼紫紺釉長方”の短冊水盤に合わされました
(一説にはこの水盤は呑平と言われています。同型唯一の小水盤が名園松竹園にあり、これは呑平作とされていました)

低めに抑えられた卓、床の空間を活かして、その上には、“天人“が飛天として天空を舞う姿の掛物。

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近代日本画を確立した“四天王“のひとり、菱田春草の筆。
東京美術學校(現在の東京芸術大学)で、岡倉天心の下で、必死に古画の模写をしていた頃の作品です。
光り輝く神々が棲み暮らすとされる神々しい峰々、仰ぐのみの山容高くに舞う飛天。
名茶室に相応しい、格調と気品。
無駄な飾りをせず、石と画だけの構成。

水盤石は、どちらかと言えば、具象の自然界を感得するものが殆どですが、
この席は、水盤石の究極の世界観が満ち満ちていました。

名石・名水盤・名画、ともすれば高額品の羅列と揶揄されがちな道具立て。
これを見事に“三位一体“の旋律で創出した、精神性を含めて水石飾りの手本と言える席でした。


第15回玄虹会展の動画をこちらからご視聴いただけます☟

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