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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2023年01月

【盆栽庭園・大雪❗️1年ぶりの雪かき‼️】


2021年の12月末、記録的な大雪で盆栽の雪帽子かき!通路の除雪!に1日汗をかいた大徳寺・芳春院盆栽庭園。

124日夕方、僅か1時間で真っ白!の景色❗️


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25日には朝には25cmの積雪!

京都市とは言え、北部に位置する大徳寺は、盆栽の環境には羽生より優れていますが、北山を超えて日本海側の気候が入り込むと、景色は一変してしまいます!


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盆栽に積もる雪は、降り止まぬうちに箒で落とさないと、止んでからでは固まってしまいます。

降り続ける間に雪帽子を払い、各所の通路の確保が大切です。

盆栽は意外に雪には強く、重さを受けないようにすれば、それ以外の雪害はありません。

関東のように強い寒気による以上な低温の方が、寒風による“凍み“がないので、却って樹には良いのです。

芳春院の和尚様は間もなく75歳ですが、もう5時には寺の通路(100m!)の掃き掃除をご自分でなさっていました!

頭が下がります💧


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ここからあと1ヶ月、2月を超えれば、の兆しが大徳寺にも来ます。

「京都・冬の旅」の特別公開で、7年ぶりの公開となっている芳春院。

土日には、“寒さもなんのその“と、大勢の観光の方が寺にも庭園にも訪れています。

雪に耐える盆栽達と共に庭を守りながら頑張ります‼️

 


1月も下旬となると、国風売店用の商品の準備で気忙しくなってきます❗️
秋や暮に仕入れた樹を手入れをしたり、鉢や角度を直して、多くの愛好家の皆さんの目に留まるように“お化粧“仕上げに追われます💦

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木村先生門下の森山さん・春花園門下の養田さん、一人前の腕を持つ皆んなの応援を得て、
大型の五葉松から真柏古木、五葉松の鉢合わせ、等々💦 
毎日が戦争です🪖‼️

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それでも、“この樹はこんな鉢合わせ“と思って、馬力を入れて仕上がると、胸がスッとします。
また、森山さんのように、“芽起こし“の美しい仕上げ仕事をすると、
まるで“寝起きの娘さんが、晴着を着ているよう“に様変わりします❗️

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キリがないほどの量❗️
それでも、樹と向き合って、姿を変えたり、鉢を園内を歩き回って探したり・・
意外とぐっすり眠れるから、体も心も一番合っているのかなとつくづく思います。

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盆栽を作ったりイジったりだけの日々なら、どんなに楽しいか❗️


間もなく“盆栽界の祭典“と言える国風盆栽展の季節になります。
修行時代から数えて50年近い盆栽歴、国風展はいつもその年の業界の頂上とされる展覧です。

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十代の頃、国風展の会場管理(水掛け等)で、緊張しながら
真柏名樹「昇天の龍」の隣に半日じっと監視員として立っていた頃が懐かしく思い出されます。

当時の国風展は盆栽界の隆盛期もあって、100点以上の作品が、選考で落選となる事多く、
修行先でもお客様の国風当落で一喜一憂した事が昨日のようです。

現在は盆栽協会の会員数も半減して、出品応募も昔の半分!
それでも選考審査で出品枠を超える席数部分は落選の憂き目にあいます。
愛好家の皆さんは、どれもが丹精と愛情を込めた盆栽達。
誰もがどれもが、入選して飾ってあげたいのは、業とする私達の変わらぬ想いです。

先日も、海外の出品選考申込みをされた愛好家から“私の樹は賞がつくか?“と言われ、

“国風展は日本盆栽界の祭典、入選することが望みで、賞というものはありません。
しかし、
その中で特に優れたものだけ、国風賞と言う栄誉が与えられるのです“
と答えました。

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最近は国風展も多くの出品を受け入れる為に、前期後期の二部制になり、それに伴い、
国風賞も複数(実際には前後期で5~6点)受賞するようになりました。
愛好家の皆さんが、国風賞受賞となれば、お喜びになる事は当然です。
扱い業者としても鼻の高い気持ちはあります。
ただ、最近は年をとったせいか、昔の事を思い出します。
盆栽倶楽部(現在の上野グリーン倶楽部)で売店の設営準備をしている中、美術館での国風賞の結果が急ぎ知らされた時です。
“今年は該当樹無し!“  この記憶は今も忘れません。

どれもが立派で素晴らしい盆栽達、その中で頂点と言える樹を選ぶ事は難しいと思います。

今は亡き大宮盆栽村の草創期の尽力者、九霞園初代、村田久造先生の老成された時の言葉が思い出されます。
「森前君、私のように年をとると、どんな樹を観てもみんな素晴らしく見えてしまうのだよ。盆栽にはひとつひとつの“貌・かお“があるからね」
近年、国風賞をとることに目標を持たれる方と業者が多くなったと思います。
勿論、作品が高い評価を得る事は嬉しいものですが、自然の造形である盆栽には多種多様な“貌“が確かにあると思います。
選考とは人が成すもの、何処かで優劣を決めなければならない事はわかるのですが、それに血道を上げる様となるのは見づらいものです。

昔、栃木県の古老盆栽大家と謳われた、石川義雄先生という方がいらっしゃいました。
いつの国風展だったか思い出せませんが、野梅のとても古い名樹を出品されました。
古渡烏泥の名鉢に普段より納められて、“これが本物の盆栽だ!“と、私も唸ったものです。
国風賞にはなりませんでしたが、売店にお越しになられた時、私の店の前をお通りになった時、
“先生、素晴らしい梅を拝見しました。ありがとうございました“と申し上げると、

“嬉しいね!ありがとう。君のその言葉で5年くらい長生き出来そうな気がするよ“と、仰って行かれました。
多くの盆栽の名木を愛蔵されるだけでなく、そのお人柄、立居振る舞い、流石な紳士と憧れる方でした。

商売を考えれば、国風賞はお客様が喜ぶ有り難いもの。
しかし、賞というものが、まるで盆栽の優劣、愛好家のレベル評価になる事だけにはなってほしくありません。

ひとつの盆栽を見つめる心、盆栽を楽しまれる方、そのものが清廉な紳士淑女と評価される世界、
業者としても及第点とは言えない私が言える事でもないのですが、
こうして50年近く、盆栽界のお陰で生きてきている私が最近想う独り言です。

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それでも、今も国風展売店に飾る樹を鉢合わせをしたり、枝姿を直したり、楽しさと“買ってくるかな“の想い両方の相変わらずの私です💦



立春盆栽大市・国風盆栽展・日本の水石展開催、及び出店のお知らせはこちらから↓
雨竹亭ホームページ


一月も小寒から大寒へと、寒さが一層となる中、盆栽界最大のイベント『国風盆栽展』の準備が様々に進みます。
展覧の選考審査申込は既に1/6で締切り! 
出品希望の愛好家の皆さんは、1/23の審査結果を待つばかりです💦

私達、専業者も国風展に併催される上野グリーンクラブ『立春盆栽大市』出店の為の準備に入りました。
雨竹亭は同所館内・館外・2カ所にブースを設けて、昨年同様の最大ブース出店となります。

多くの訪れる皆さんに、見ていただけるように、盆栽達も最後の仕上げ“お化粧“の時期になりました。

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寒気が強まる中、真柏・松類など、葉色に瑞々しい翠を甦らせる為の、ビニールハウスや展示場を保温場とした管理が始まりました。

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真柏など、僅か10日間程度で、美しい翠を湛えるまでになりますが、
五葉松・黒松などは、葉色を戻したいが為に保温し過ぎると、芽が動いてしまい、国風展後の管理に苦労してしまいます💦

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手入れをして姿を整えて、それでも鉢合わせまで一気にやろうとすると、根を冷やしてしまう、
など植物の生理も充分に考えて仕事を進めねばなりません😓

2/9から(実際には2/8から)盆栽達の晴れ舞台が始まります❗️

【初春!盆梅の美!禅語と盆栽!禅寺の庭園にピッタリ❗️】

1月も鏡開きも過ぎ、寒さの厳しい中、ここ京都大徳寺・芳春院の盆栽庭園も、梅の盆栽が松の名木と共に庭で際立ってきました!

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寮舎「通玄庵」の床の間も緋梅の古木。
庭園の展示場には野梅(白花一重咲)や、緋梅の石付。

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細身の中に隠された黒松の無駄を削ぎ落とした文人風の姿には、老僧の面影が重なります。
芳春院ご住職が仰られていた“盆栽は修行僧に似ている“の言葉がこの樹に映ります。

ご住職が書かれた書 “月落露光冷 独坐松根下“   この樹のありのままの生き方を伝えています。
脇に飾られた八海山の姿石、冷気を纏う夜半の月の下、露光が松の下に坐する老僧を映しています。

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芳春院盆栽庭園は、国風賞受賞の花梨名樹や、名匠加藤三郎翁遺愛の五葉松根連りなど、
日本盆栽界の大型名木が、まるで仏性“十二神将“のように佇んでいますが、
展示場内のこのような“何気ない盆栽“に見える樹々の中に潜む、禅味溢れる景色を楽しんで頂く為の庭でもあって欲しいのです。

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