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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2022年10月


業界中央の役員でもあり、羽生天地会にも参加して下さる、熊本の佐々木雅松園さんが、
九州の業界団体「青樹会」の会長になられて初めての大会オークション。
車で15~
17時間の遠路💦
初めて九州の盆栽オークションに参加しました。

佐々木さんの人付き合いの広さから、予想を大幅に超える参加者と出品物!

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“これが1日で終わるのか!“と言うプロ達の見解💦
8時に始まった会は、全員の協力体制で無事に夕方には“手締め“となりました。
結果は出来高なんと9,000万❗️
中央でも1年で目立つ会でなければ記録されない数字!

(私はいい気になって、1000万以上買い付けてしまいました😓)
勿論九州での会となれば、二度とないと言われる大会となりました。

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久しぶりに会う懐かしい方々、日頃から業を切磋琢磨する中央の面々。
半年に一度の大会だそうで、さて次は来られるものか?頑張りたいです!


欧米の方々の来日条件緩和などで、今年の秋は久しぶりに多くの盆栽愛好家の皆さんが羽生雨竹亭に訪れて下さいます。

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毎年11月初め、猛暑を乗り切り、すっかりと秋姿となった盆栽達、
久しぶりの来園される方々の為に、お化粧や庭内全体の整理整頓におおわらわ😓です。

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正門前の応接庭園・中庭棚・中型盆栽の2段管理棚・展示場の陳列・その他あちこちの盆栽棚が、
この夏過ぎに我が庭の仲間入りした樹達で溢れています❗️

気に入ったちょっと“目利き好み“の樹などは、
すぐそばで暮らす若き栽匠、森山義彦氏に手伝ってもらって、“新たな名木“を披露出来るようにしています。

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盆栽展の多い11月、下旬には京都平安神宮前で『日本盆栽大観展』が開催されます。
11/1~11/6は、広々とした羽生の地で、訪れる多くの方々と、
時々の季節の盆栽や水石を前に、楽しい時間を過ごして頂く案内人を努めたいと思っています。


熊本へ出向く諸用を得て、久しぶりに九州八女地方、みやま市の田中古老の所へお邪魔しました。
初めてここを訪れた時、“こんな種の五葉松が九州の地にあるなんて!“と、興奮と驚きを持ったことが、昨日のように思い出されます。

盆梅の作出で生計を立てられている“梅花園“主人、田中古老。

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代々守り継いで来られた“絶滅危惧種“祖母五葉松の正統な血を守り抜いてきた方。
梅の鉢々に囲まれた中にある、信じられない葉性の細やかで美しい五葉松の巨群。

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無理を言って割愛を受けたあの頃と何も変わらない景色、古老だけが少し歳を取られたかなと思いました。
それでも二人で松についての会話をすれば、時が経つのを忘れるくらいの古老の矢継ぎ早の質問の嵐!
幾つになっても盆栽の作出にかける熱意はそのままの姿に頭が下がる想いでした。

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老成してゆく祖母五葉松達。
古老も同じように齢を重ねていらっしゃいますが、夫人によれば、今夏も体調を崩されて夫人が水掛けに苦労されたとの事💦

いつかはこの稀少種の“次なる担い手“にバトンタッチの時が来るのでしょうが、
古老は日々この樹達と過ごす事こそが、老の長寿の秘訣かと思います。

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美しい山々に囲まれた地。
古老も祖母五葉松達もいつまでも健やかに。


水石協会の理事長と事務局長と言う二人三脚で、10年の年月を歩んで来た、
盆栽界の先輩、春花園小林國雄先生の「春花園盆栽美術館」開館20周年を記念した祝賀会が、同所で開かれました。

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木村正彦先生・今井盆栽協同組合理事長・島村水石協会々長・をはじめ、
業界長老や実力者、また春花園を囲むお歴々の方々多数の参席で、盛大な会となりました。


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盆栽界の中では、どちらかといえば“異端児“に扱われる私と小林先生。
お互いに盆栽と水石以外は、褒められた人生ではないものの、
この道に邁進した事と多くの方々に助けて頂いた事で、今がある所はよく似ています。

“モリちゃんは春花園さんの何処がいいの?“と聞かれる事がありますが、とても簡単です。
こんなに正直で真っ直ぐで、良きも悪きも、自分の思った通りに走り続けている人はあまり居ません。
例えれば、“太陽の人“なのです。
いろんな見方をされても、振り返ればいつもお日様の下を唯々走り続けているのです。
時にはお腹が空いて、通り端のお地蔵さんに供えてある団子を取って食べながら(笑)走っている事もありますが💦

盆栽作家である小林先生が、水石協会の理事長となった時、多くの人達が“大丈夫?“と声を投げかけましたが、
歩んだ道を思えば、水石界の悲願であった、“美術の殿堂で水石展を!“を、東京都美術館で!
「世界盆栽大会inさいたま」では、二度と集まらないレベルの水石協会の威信をかけた『日本の水石百選』を成功させました。

“モリちゃんが居てくれたから“と、いつも謙虚に言ってくれますが、
還暦を過ぎた今想うことは、人には与えられた“分“と言うものがあるように思います。 
理事長は神輿の上に載る人!
私はそんな人を支えて共に坂の上の景色を見る人。

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来年には10年の在任を終えて理事長を勇退される小林先生。
様々な意味で、74歳を終え、来たる75歳より、“次なる夢“を追い始めるでしょう。
私はまた走り続ける“盆栽界の木下藤吉郎“の脇で、共に人生を愉しみたいと思っています。


10年前、中国の経済発展に伴って、日本盆栽界の“古渡盆器“や、中渡実用鉢の多くが、制作地中国へ100年ぶりに“怒涛の里帰り“をしました。
かく言う私も、数多の商売をして稼がせて頂いた主力メンバーでした💦 
“こんなに売ってしまったら次代の鉢はどうなるのだろう?“と思う中、
10代の頃から好きだった中国鉢の聖地“宜興“へ取材で赴く機会を得て、
多くの紫砂盆器陶家と出会い、いつの間にか、“もう一度、ホンモノの烏泥や紫泥を作ってみたい“と思うようになりました。

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悪戦苦闘の末、数年前に“この土、この焼き・この器形なら、日本盆栽界でも必ず使える“と言うものに届きました。
あれから数年、今ではその後に探索した“失われた広東釉薬“と言われた色鉢も完成して、
来春には、ようやく全国の方々へ通販出来るカタログが出来ます。

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味わいを増して、古渡のような風合いになる頃には、私もこの世にもう居ないでしょうが、
“これは中国盆器の再現に努力した盆栽家が残したものだよ“と、誰かが語ってくれれば本望です。
カタログ制作に先立って、以前よりこの鉢類に高い評価を頂いていた“盆栽界の宝“、
名匠木村正彦先生に、推薦の評をお願いに伺いました。

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“この鉢達は、使うと分かるよ、本当に樹に良いよ“のお言葉❗️
全国の愛好家の方々にお届けする日はもうすぐです。

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