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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2022年08月

【“オヤジさん“  江波戸照夫氏】

関東の庭木の一大拠点 千葉県匝瑳市。
ここで庭木の他、盆栽の市場を月に複数回、
全国からの盆栽業者との交流で多くの仲間が集う“マルキョウ交換会“を主宰する江波戸のオヤジさん。

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あふれるほどの盆栽!
海外からの注文にも精算の立替や取置き管理を“いいよ!任せておけ!“と、気っ風良く引き受ける昔気質の人。

交換会以外で伺う機会も少ない中、久しぶりに元気な顔を拝見に伺いました。
22歳の時、奥様(私たちの呼び名は“お母さん“)と75,000円(奥様が5万円・江波戸さんが25,000円💦)で始めたマルキョウ植木は、
今では全国で知らないプロはいません。

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伺った日も、友人の目利き盆栽家の田中さんとどこまでが敷地なのか?
わからないほどの中にある盆栽達と仕事をされていました。

“オレは物も良く見えないし、勘と度胸と仲間に支えられて今日までやってきただけ。ありがたいよ“と、相変わらずの気持ち良いくらいの人柄。
陰で支えられる奥様共々、いつまでも私たちの道標として元気でいてほしいと心から思いました。

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ビックリするくらいの盆栽の量!
そして江波戸さんに逢いに皆さんも一度は是非訪れてみて下さい。


猛暑が続く8月。
雨竹亭はスタッフが交代で連休を取る中、留守を預かる私も、執筆ばかりでは体が鈍るので、
久しぶりに梯子を使って庭内の巨大な盆栽?の切込みをしました。

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6年前に九州長崎地方から運んだもので、樹の姿が“これなら鉢に入れられる“と思ったものです。

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徒長芽を無心に剪定している時、頭の中はそれだけになり、ハサミと手、目の前の松の枝波。
こんな時間が何よりも好きです。

応接庭園から中庭の盆栽棚群へ入る中門の脇にあるこの樹。

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丁度差枝が門にかかり、まさに“門被り“の迎え松を表しています。
高い所からこの松越しに見る庭園や盆栽棚、樹々と向き合える時間の有り難さをつくづく感じるひとときでした。


【五山の送り火と盆栽庭園 悠久の時の流れ】

8月16日、京都は13日にお迎えした個々の精霊(先祖)を冥土に迷わず送る“五山の送り火“が行われました。
東山の“大文字“・松ヶ崎妙法山の“妙“と“法“。
西賀茂の船形から、北山の“左大文字“、そして曼茶羅山(水尾山)の鳥居本。
妙と法はひとつと数えて五山の送り火としています。
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大徳寺盆栽庭園からは、すぐ後ろの北山金閣寺から仰ぐ“左大文字“が間近に見えます。

1000年以上前に起源を持つ送り火。
最近は観光的な報道が多い行事ですが、
京都の方々にとっては、順々に灯火されてゆく送り火に手を合わせて、精霊や先祖に対しての尊崇を心に祈る“静かな“ものなのです。


長い時の中、戦禍や疫病など、人々を苦しめる様々な出来事が歴史の記憶にあります。
盆栽も日々愛情を注ぎ、これを守ってきた人達、数多の災害を経て、樹相を変えながらも必死に生き抜いてきた老樹達。

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庭園から“左大文字“を仰ぎながら、盆栽を眺め楽しめる“今“が、ずっと続きますように、祈る日でした。
合掌。


6月中旬から7月にかけて、黒松・赤松の芽切りをした樹達。
新しい芽が切った所に出てきます。
これをそのままにすると、芽数が多すぎて、ゴチャゴチャになってしまいます。

ピンセットで芽を2~3に減らす調整をしなければなりません。
以前は毎年名木はこの仕事をしたものです。

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芽切りもその後の芽掻きも、時間のかかる大変な仕事ですが、短い美しい葉にしておく大切な作業です。
しかし、この数年、異常気象と言えるほどの“猛暑“が6月あたりからある事で、
芽切りの時期の判断が難しくなっています。

木村正彦先生などは、“東京近郊は、樹の健康を考えると2年に一度くらいの方がいいね“と言われます。
空梅雨💦戻り梅雨💧天候を考えながらのタイミングが大切な仕事です。

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順調に出てきた新芽。

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新しい芽の中で、強いもの、多いものを切り取ります。
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芽数が少なく新しい芽が徒長しているものは、“途中留め“に切ります。
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根気のいる仕事ですが、美しい秋から冬の姿を作る大切な作業です。







八月、長く続いた京都“祇園祭り“も終わり、各地の祭事も過ぎてゆきます。
七日には暦の上では“立秋“を迎えましたが、酷暑はまだまだ続き、
併せてコロナ感染はいまだに猛威をふるっています。
世の中が感染社会の苦悩に苛まれている今、盆栽飾りに“願い“を込めてみました。

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真柏の美しい半懸崖。
流麗な樹姿は真柏盆栽の真骨頂とも言えます。

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真柏で季節感を表す事は難しいものです。
しかし、掛け物や添景に季節感や風物を織り込むことで、床間に、別世界を表現できます。

画面全体を覆う滝姿の掛物。

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戦前の筆家、寺田盧秋が残した賓作です。
脇床に法塔を飾る事で、世界遺産“那智の滝“が胸中に浮かびます。

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清冽な深山から湧き出でる水飛沫が、すべてを洗い流すほどの瀑布となって席中に水音を響かせるようです。
ご神体とされる“那智の滝“。
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世情の憂いのすべてを洗い流して、“穢れ“を落としてもらい、来る秋には清涼、清浄な、日々を迎えたいものです。

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