雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2022年05月


【各地で再開されるありがたさ❗️】

手入れなどで交流の深い、福島県吾妻地方。
東日本の五葉松の大半を占める“吾妻五葉“が自生するふるさと。

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土地の愛好家の方々が、年に一度、ご自身の愛樹を陳列するこの盆栽展も、コロナの影響で丸2年、開催できずにいました。
久しぶりの展覧に、それぞれがこの2年間、丹精を込めた盆栽が展示されていました。

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中央の規模の大きい、レベル的に全国を代表する催事も素晴らしいものですが、
各地方で、その地ならではの樹種がそこの方々によって飾られる・・本当はこれが“盆栽を作って飾ってみよう“とする原点のような気がしました。

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来訪した時、丁度、福島市長もいらして、“来年はもっと大きい会場でやりましょう!“と声をかけていらした事が嬉しく思いました。

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※撮影時のみマスクを外していただきました

趣味のマニアックな集いではなく、公共の会場で一般の多くの人達に、盆栽の素晴らしさを見て頂く、大切な事を教えてくれた時間でした。



コロナ下で開催を控えていた、盆栽水石の趣味団体「玄虹会」の本格的な陳列に対する勉強会が、
修練の深さと完成度、そして高潔な人柄で、会員の指導的立場だった今は亡き、根岸庄一郎先生の邸宅で令夫人の協力で行われました。

盆栽と水石の座敷飾りをする為に造られた構え。
久しぶりの座敷内の飾り付けで、この空間が如何に素晴らしいものか、実感しました。


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玄関を入ってすぐの“寄付席“は、湖に浮かぶ帆舟。
足下には、水辺にあう砥草の芽出しの姿。

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客を迎える初手の飾りは、“重くなりすぎぬよう“を心がけ、それでも季節の移ろいを表現する事を肝要としています。


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書院席は唐楓の寄植。
写実的な景趣と葉色に対して、配された掛物は、盆栽の“実“と対比させる、水墨で描かれた“山雨“と題されたもの。
脇床には、里山にまさに今飛来している白鷺。

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この時期は、練達となれば、盆栽に“ほととぎす“の画をよく合わせられますが、
脇に白鷺を配したことで、鳥の“被り“が出るのを避けての配軸と添景です。

“峻険な山々には、時折雨が流れ降り、眼下の叢林は、新緑の季節。
遠くを見れば、人里に白鷺の風景。
樹・画・添・が三位一体となって、自然を素直に謳い上げた席です。



根岸邸にある茶室は、数寄屋建築として正統なもの。
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小間と呼ばれる小さき床の間は、“小宇宙“としての格の高さを内に秘め、精神的な内面を持った席が求められます。

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主石は滝石。
単に“滝“の景趣を思うのではなく、配された名筆、菱田春草の“天人“と共に、
石中に仏性にも似た観照心を希求したい事が、掛物との共鳴に感じられます。



三席は、主飾りがすべて異なり、一席の印象を被らせる事なく、
奥へ進むほどに、“何気ない自然の景趣“から、盆栽水石の飾りの深奥へと向かう精神性の高みへと構成されています。

一席を創意するだけでも大変ですが、ひとつの邸宅の全体を季節の主題を持ちながら、
更に“その向こう“を“見えぬように設える“・・趣味三昧の深奥を伝えてくれる研修会でした。


【まん防解除、多くの来場❗️】

春の盆栽倶楽部の恒例催事だった“緑風展“が企画改革で、新たな展示会『翠緑展』になりました。
コロナ禍が長く続いた中、久しぶりの解除の中、多くの来場者で賑わっていました。
特にウェブでの宣伝のせいか?
若い愛好家の方々の入場が多く、次代の盆栽界への嬉しい兆しを見たように思います。

展示作品は、季節を彩る藤や新緑の盆栽、圧巻の松柏類の巨木など、さすがに日本の盆栽界の中央展示と言えるものでした。

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2階展示には美術的な盆器の展示もあり、小品盆栽から大型名樹まで、観る者が飽く事ない豪華なイベントでした。

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売店ブースも、以前より充実しており、
特に“これから盆栽を楽しみたい“と思われる方々向けのリーズナブルなラインアップには、人だかりとなっていました。

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人が憩いの為に楽しめるという事が、どんなに大切なものか、つくづく感じた展覧会でした。

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