雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2021年03月


大徳寺の開園特別展の合間を縫って、羽生に戻りました。
温暖化の春、もう桜の各種が七分から満開の時に来ています!
毎年、富士桜の一重咲枝垂れ性の盆栽を、床の間に飾っていますが、以前より選んでおいた1本を、無駄枝の整理をして、応接室に設えてみました。

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中国広州まで赴いて、2年の時をかけて再現した、広東釉薬鉢に入れた枝垂れ桜。

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美しさと儚さを兼ね備えたこの樹は、毎年私と訪れて下さる方々に、日本人の持つ、桜にかける想いをよく表してくれています。
名残りの雪に月明かり。
夜桜の風情満点です!
脇床には、八海山石の段溜り石。


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“水温む”季節、溜り石は、桜などの優しい樹種にも
良く合います。
水盤も、瑞々しさを表現するのに、中渡りの均窯水盤。
床の間全体に、「朧の春、水温む」と言う、席趣ができたと思います。
ひとつの盆栽に、掛物や脇飾りを組み合わせることで、そこに季節感を謳歌できる世界が広がります。
こんな情緒を楽しむ事も、盆栽水石趣味の醍醐味です!


お陰様で、3月20日「芳春院盆栽庭園」は、開園致しました。
数々の日本の名盆栽が飾られた庭園。


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開園を記念してご協力下さったすべての方々に感謝しかありません。
寺内に住み暮らすようになるなど、思ってもみなかった人生。
ここから始まるこの舞台、何よりも“守る事、続ける事“ に、今は集中したいと思っています。
京都の北に位置する大徳寺。
“北山時雨”(春ですから時雨ではないのですが)、晴れたと思っていると、スッと風が吹き、さぁーっと小雨が降ってきます。
なるほど、この土地が杉苔が痛まず生えるのが分かります。


開園を祝って庭園を訪れて下さった、大徳寺管長・高田ご老師(左)中央は芳春院ご住職

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永い臨済宗大徳寺派本山、初めて建てられた「盆栽庭園」の石柱。感慨の深さは、ひとしおのものがありました!


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世界を代表する日本の盆栽・真柏・銘「登龍の舞」木村正彦先生よりご好意ある展示に感謝しています。

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芽吹きの春。


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展示された盆栽の中でも、楓・花梨・など、新芽が吹き上がる中で、芽先の鋏入れが大切な樹達、開門前の掃除・水掛け・展示の確認・やる事たくさん!で、小僧時代のあの頃を思い出します。

特別に展示された盆栽達のご紹介は、この次に報告させて頂きます。





非常事態宣言が解除されたばかりの東京。
勿論キチンと“三密“を避けての日常生活が必須ですが、そんな毎日にも「春」はチャンと来ます。
オフィスも店舗も休業が続いた去年の春。
そんな中でも私達「銀座雨竹庵」の盆栽が、
店先・エントランス・窓口・などに飾られる事を喜んで下さるクライアントの皆様!
本当にありがたいものです。
さあ!日本の花木の象徴「桜」の晴れ舞台の季節に入って来ました!


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各所のレンタル盆栽のお得意様達に、一番喜んで頂く花物盆栽です!
一年365日の内、室内に飾ると、その花姿はわずかに1週間。
その為に羽生雨竹亭のスタッフは、残りの350日以上を、“花のない桜“達と過ごして過ごしています。ホントにご苦労様!


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でも、いろんな場面に飾られる桜の盆栽達は、何処でも人気者です。
その花姿を見て、人が一瞬でも優しい心に包まれてくれるなら、一年の苦労は報われます。


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役目を終えて“我が家“へ樹達が帰ってきたら、消毒・植替え・手入れ・等々、また長い1年が始まります。
考えてみれば、クリスマスのモミの木・お正月の松竹梅・みんな1年を1度の時の為に生きています。
私達も、今日、今、この時、が「一期一会」の一瞬と思って日々を過ごしたいものですね。
ありがとう、桜たち。



2年の月日をかけた、庭園が20日に開園します。
芳春院のご住職から申しつかって、ここまで来る間の出来事を思うと、感無量です。

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木村正彦先生には、無理をお願いして、庭内入り口に、先生真骨頂の「石付真柏」の創作盆栽4作。


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大陸中国の「黄山」から、日本の山々「木霊」まで、庭園に近づくほど、“日本“ になってゆきます。

主管として庭園の展示・運営・管理、ここから起きるすべてを託されたご住職の私への信頼。
盆栽水石の文化をここから伝え遺す、残された人生の半分が、この大徳寺での日々となります。


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どうか皆さん、見守って下さい。いつの日か、いらして下さい。
展示された、数々の名樹達と、関わった方々とのお話は、またこのブログでご紹介させて頂きます。
ブログの中に「大徳寺・芳春院盆栽日記」として、綴っていきたいです。


大徳寺盆栽庭園への大移動を14日からに控える中、雑木盆栽を中心に出発前に植替えを済ませたい樹を手入れ斑と集中で進めました!

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2日間で約60点! 
樹に合わせた“根ほどき“、何よりも難しい“鉢合わせ“など、久しぶりに1日庭内の外での仕事になりました。
1年の間に、羽生に入ってきた子供達。
根がまわっていたり、鉢が合っていなかったり、雨竹亭らしい姿にしなければなりません。

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樹種、樹形、によって、根のほどき方も違い、健康状態によっても、
浅い鉢に入れたくても、取り敢えずはやや深鉢に植えるもの、
ひとつひとつ、植替えと言っても施術の内容が異なります。
それでも、気に入った鉢合わせを終えて、タップリと水をあげれば、樹も私達も苦労した甲斐があります。
特に「根締め」と呼ばれる樹が揺れないように、ガッチリと固定させるのが肝心です。


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銅線・アルミ線・割竹・縛り込み・竹の差込・等々、プロとしての“見えない所への技“が、植替えではとても大切です。
カエデ・花梨・が一番早く、モミジは少し葉が動いてからの方が良いです。


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五葉松はここから桜が咲くまで、黒松・赤松・は、ゴールデンウィーク位まで、
真柏・杜松は、もっと遅く、千点を超える盆栽達との作業は、ここからしばらく続きます。
不思議なもので、60才を超える今、次の日には手足が疲れるのですが、盆栽達と過ごす手入れの時は、心はとても健康です。
やっぱり、樹と一緒に過ごす時間は何よりも楽しいです!

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