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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2020年12月


【京都財団・慶雲庵・大徳寺特別展】

大観展で開催を企画していた日本樹鉢界の至宝「東福寺」の大回顧展を、
大徳寺芳春院様のご好意で、隣接する塔頭「龍泉庵」本堂をお借りして展覧しました。

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財団が長年蒐集した東福寺の名品から、百有余点を精選して、一堂に陳列しました。
緑釉を中心に、東福寺の作域の広さと歴史を振り返る品々、
中には“とうに日本から流出しているのだろう“と思われていた唯一無二の“鯰の東福寺“の真作や、名器“御所車“など、
コレクターの方々には、図録でしか見る機会のなかった作品が、集合しています。

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初の財団単独展として開催された本展は、同所の庭園に繰り広げられた名樹の数々と共に、

この本堂に、財団の象徴として、継承前の財団創設者、高木禮二先生が愛して本人が初の国風賞を得た五葉松「寿」、
そして世界に日本の盆栽を広め、WBFF(世界盆栽友好連盟)の副会長として、世界を旅して生涯盆栽文化の普及と交流に尽くされた、
岩崎大蔵先生の遺愛樹、真柏「羽衣」を、首座に据えて開かれました。

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本来、塔頭の本堂として、開祖様、陽峰老師の木造を安置されるここを、
本展の為に快くお貸し下さった、芳春院ご住職・秋吉則州師(大徳寺宗務総長)には、お礼の言葉もありません。
海外にまで散逸が続く、東福寺をはじめとする盆栽界の遺産群。


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財団は「私を捨てて斯界の将来の為の保護公開」を主意としています。
美術館設立委員会の室長を預かる身として、多くの皆さんのご協力をお願いします。



2年間の工事期間の末、京都大徳寺内「芳春院」に盆栽庭園が完成しました。

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コロナの影響で、正式な開園は来年の3月になりますが、大観展も中止となった今秋、
京都国際文化振興財団『慶雲庵』の特別展を、この場所で開催することになり、名樹の数々が、初めて大徳寺の中に運び込まれました。

落葉の季節、毎朝7時には庭の掃除に始まり、参観の方々をお迎えする9時半までに、水打ちを済ませて開門。
今はエスキューブスタッフ・近代出版・鈴木伸二さん・の“連合艦隊“で守っていますが、春からは私と専任スタッフの渡辺君の2人!
“掃除の毎日“が待っています!

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芳春院のご住職に「この地に盆栽庭園を造ろうと思うが、一緒にやらないか?」のお声を頂き、
幾度も“分不相応“としてご辞退した時を思い出します。
私の代で終わらず、50年・100年・と続くなら、とお引き受けしましたが、
今でも私で良かったのだろうか?と、ここからの“この庭と盆栽を守る“責任の重さを痛感しています。

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それでも、大徳寺は異次元の場所でした。
寺内に住み暮らして10日ほどになりますが、日が暮れると、各所の塔頭や修行道場から聞こえて来る読経の音。
朝は薄暗い夜明けの頃には、大徳寺全体が静かに動き始めます。
もう一度、十代の修行の頃に戻った気持ちで、ここを守ろうと思います。
まずは、この財団『慶雲庵特別展』を無事に進める事に専念します。


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