雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2020年08月

【お孫さんと都美水石展出品へ!】

20年近く、アメリカの友人達の依頼で、東海岸(ニューヨーク・ワシントン・ペンシルバニア)へ、
講演に行く中で、家族のように親しくなった、ニューヨークのロン・マッジオ氏。

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心優しい水石愛好家は、何となく、“年金暮らしのロバートデニーロに似ています(笑)


同じく、アメリカの盆栽水石の文化普及に努める、ビル・ヴァラヴァニス氏。

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彼とは修行時代からの40年以上のお付き合い!


この前も、コロナ災禍の地元から、2人で探石に行った便りが届きました。

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相変わらずの愉快な仲間です。



そのロンから連絡があり、大切なお孫さん、ロン・マッジオ3世!と共に、
来年の水石協会主催の東京都美術館『日本の水石展』へ、グランパとグランサンで2人で飾りたい!との事!

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世の中の政治が、各国の思惑で右往左往する中、こんな嬉しい出来事はないです!
ワクチンが行き渡らなければ、来日も難しいでしょうが、大切な2人の水石を、責任持って飾りたいと思います。
それにしても、3世、まだ歩けない時から、水石を片手に持つなんて!すごい!


3年前の『世界盆栽大会inさいたま』での、日本水石協会による未曾有の名石展覧「日本の水石百選」を基に、
平成の時代にも作られなかった名石図鑑を作ろうと決めて、長い刻が経ってしまいました。
協会からも「森前君に頼るしかないが、まだ出来ないか?」と幾度も言われて、愛好家の方々にも申し訳なく思っていました。

「百選」だけで作れば、昨年には執筆を終えていたのですが、“もう二度と作れない”と思うと、その後に登場した無名の名石の多い事!
『近代盆栽』日本執筆している「名石探訪」・毎年協会が開催する「日本の水石展・東京都美術館」・歴史ある「日本水石名品展・明治神宮」等々、
“まだこんな素晴らしい水石が隠れていた!”と、これも載せたい、これも記録を残したい、と、
既に200点近い賓石が候補となってしまいました!


“いつまでも待たせられない!“そんな事をずっと思っていて、コロナ災禍に悩む今夏、
社員の全員に夏季連休を取らせる間、お盆も羽生の留守役をして、
“最終執筆はここに居たら雑用でいつになっても出来ない!“と、腹を決めて、某所山奥の“隠れ家”に1週間籠る事にしました。

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ここから基本の単体解説を全品仕上げるまで頑張ります。
「筆を置く」にまで至らなくても、せめて単体執筆を終了させて、全体構成と巻頭巻末の編集を後にするまでにここで仕上げたいと思います。

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心配なのは、盆栽の無い刻を私が本当に1週間も持つかな?と少し心配です。笑!


名門、蔓青園氏の紹介で、羽生に届いた黒松の太幹素材!

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庭木と大型盆栽の狭間にある様なこの樹、冬季まで管理に努めて、枝接ぎ、胴接ぎを施術して、
10年後には全体を半分の大きさにした作品にしようと思っています。

「こんな樹が本物になるのか?」と見る人の方が多いでしょう。
しかし、こういう素材が、“これがあの時の粗樹?!“と言うくらいに変貌していきます。

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市場で明日にでも売れる樹を扱う、これも商売ですが、
盆栽業として、“次の時代に残せる役立つ素材“、これを仕立てておくことも、大切な仕事です。

自分でも分かっているのですけど、私はどうしても“自分より遥かに大いなる樹“に魅力を感じるのです。
“これがいつの日か、多くの人達を魅了してくれれば“。
そんなロマンばかりを相変わらず追い求める私です(笑)


小僧の時代から数えれば、45年のお付き合いをさせて頂いた老大家。病に斃れて83歳の天寿を全うされました。

遺された夥しい水石・道具・そして掛軸。

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ご本人よりの遺言「すべては森前君に任せて、斯界を受け継ぐ愛好家の皆さんに残るように」。
これを奥様から強く要望され、8月は仕事の合間に少しずつ、ひとつひとつの中身を精査してみました。

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“片山一雨先生のものだ”、“水府散人先生からの石だ“、展覧会に出品した水石・卓・掛軸。
どうしたら多くの方々に広められるか?
3分の1を故人の親しかった方々に、残りの半分を故人が連載までされた月刊誌『近代盆栽』さんの通販に、そして残りの半分を、水石協会が主催する年2回の協賛オークションへ。

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協会のオークションは、その手数料のすべてが、協会文化活動に寄付されます。
過去にも1億円となる成果を挙げた、業界屈指の現金オークションです。
日頃はオークションに出品されることを嫌う愛好家の方々も、“協会の発展の一助となるなら“と、蔵内からの出品をして下さいます。
今年の秋のオークションは、9月13日。
前日の午後は、誰もが見学できる下見会です。
本当は業界の中枢機構である、上野グリーンクラブは、予約はしていたのですが、コロナ災禍を予防する見地から、協会事務局長を預かる私の羽生で開くことになりました。
名品から趣味家が愛した様々なものまで、勿論盆栽や鉢類も多数出品されます。
是非、お遊びにいらして下さい。


終戦記念日の15日、羽生の温度計は40度を超えていました!

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テレビの天気予報は熊谷・羽生地方は、38〜9度となっていますが、体感温度は40〜45度だと思います。
私が修行に入った頃、45年前は、暑い日で30〜32度だったと思います。


何万年もかけて種として存在している盆栽達も、たった数十年でこれだけの変化があると、生理的についてゆけないものがあります。
庭も数年前より、各種の日除けを設備していますが、松に日除けをするなど、考えてもいませんでした。

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朝もあまり早く水かけをすると、日中に乾きが強すぎて、8時頃に朝の水を与えるようにしています。
夕方の水は、渇きのあるものを中心に、全体には樹と周りの庭の温度を下げる目的で「葉水」と言うシャワーのような水かけをします。


8月も25日を過ぎると、朝夕の風が少しだけ変わっています。
そこまでの辛抱!盆栽達も必死に我慢しています。“ガンバッテ!“
不思議なもので、35度を超えると樹も水をあまり吸いません。
30~32度だと渇きも良く、樹も“夏バテするんだなあ“とつくづく思いました。


季節は巡ります。
ついこの間までの長梅雨。

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“早く梅雨明けしないかあ、青空しばらく見ていないなあ“と呟いていたのに、
今は“ひと雨欲しいなあ“・・もしかすると、人の心が一番わがままなのかもしれませんね!

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