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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2020年06月

【33代1000年!の隠れ仕立て畑!!】

3年ぶりに四国高松・鬼無の五葉松の生産地に伺いました。
某所より“長く培養に励まれていた何人かの方々が、高齢の為、まとめて買ってくれる人を探している”と言うお話を頂き、懐かしい地をまわりました。
山懐の最奥部に位置した「神高本家」、敷地の中には7世紀初め頃の、古墳まである由緒ある家!
数えて33代目にあたるご当主の神高哲夫さんは、いかにも家柄の良い風貌とお人柄。
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宮島五葉松(この土地では、銀八五葉と呼ぶそうです)を苗木から畑で育てて、10〜15年で鉢揚げ、そこから剪定・整姿・を繰り返し!
別に70年以上かけて、太幹の名木となる素材が、古墳前の畑にビッシリ!
「出来れば選び出しではなく、せめてひと畝ずつで考えて欲しい」とのお言葉。
大変な量と手間、・・・自分でも苦笑いの結果、全体で600点を超える約束をして、来月には300点の鉢物引き取り、来春には300点の地植え物の大量移動となりました。
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羽生に帰って、管理班の“顔色”を見ながら(笑)さて、羽生第三培養場3000坪も、だいぶ狭くなってきている中、どうやって置こうか?
・・相変わらずの私でした!
でも、高松は素晴らしいです!
樹と土を友として、日々樹づくりに励まれる鬼無・国分寺・坂出・の盆栽家の皆さん。
自然美しい地が、育んでくれる未来の名木達。
この地が、これからも変わらぬ五葉松の「聖地」でありますように。
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【みのお茶寮・矢内先生の世界】

久しぶりの関西、大阪のみのお茶寮・矢内先生の庭に訪れました。
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独立した23年前からのお付き合い。
独特の個性と卓抜した盆栽に対する慧眼。
当時から“関西にこんな味を理解される愛好家がいたのか!”と感心させられた世界は、相変わらずの庭でした。
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七十代の後半となられた今「老練」の言葉が似合うお人柄、
そして盆栽達は、私達プロが目先の商売にかまけている間に、徐々に失われつつある先人達が伝えてくれた「真の盆栽美」が見事に息づいていました。
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ひとつひとつの樹の表情を捉えた樹作り、惜しげもなく使われている名鉢、
ここからの時代だからこそ、伝えてゆくべき“盆栽とは?”と問いかけた時の答えのひとつがここにあります。
『矢内ワールド』は、ご本人と共に益々の健在でした!



【出来高4,500万円!】

1月の松の内に開催して以来、国風展・コロナ自粛で、開催を見合わせていた、
業界卸売オークション「天地会」が5ヶ月半ぶりに再開されました。
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木村正彦先生・鈴木伸二さん・蔓青園さん・はじめ、全国盆栽園・盆栽作家の多くの参加を頂いて、久しぶりに賑やかな1日でした。
三密を避けて、本来の室内天地会場から、半屋外のカーポートに仮設舞台を移動しての開催。
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幅広いクラスの盆栽が、流れるように落札され、終了時には合計4500万の出来高!
やっぱり、仲間が集まって売り買いを競い合う、業者としての血が騒ぎますね。
ただ、小綺麗な樹は、コロナ前より若干高いのには驚きました!
お客様は“飾って楽しめるもの”を欲していらっしゃるようですね!
次回開催は、10月の予定です!


【秦野市・椎野宝樹園】

コロナ災禍で長い間行けなかった、友人・椎野宝樹園に久しぶりに伺いました。
昔、皇室の飲料水の水源となった山々を背に、静かな盆栽園は、見事な手入れを施して、ご家族で守り営んでおられました。
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私より20歳も年下の彼、日焼けして真っ黒になった姿が、日々盆栽と向き合っている事を教えてくれます。
「中国の愛好家の方々が来れなくなって、商売の方をどうしたらいいかと思っていましたが、
日本の愛好家の皆さんに支えられて、本当の盆栽園の仕事と言うものを、振り返る良い機会になりました」
私の好きな初代創業盆栽園の園主に戻った顔の彼は、清々しいものがありました。
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小品盆栽から、国風賞クラスの名樹まで、手入れ素晴らしく彼の手で守られていました。
不思議なもので、彼の庭には“彼らしさ”がちゃんとあります。
私も同じく、みんな好きでこの世界に入った者は、自分の描く盆栽世界があるものです。
緑深き山々、清き石清水、澄み切った空、ここにいる盆栽達は本当に幸せですね!


未来の宝の手入れ開始!

盆栽を通して世界平和を願った先人、名匠加藤三郎翁の名園・蔓青園より譲り受けた未完の大樹。
羽生の庭に来て1年、ようやく手入れを始めることになりました。
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木村正彦先生の直弟子・森山義彦氏、
助手を務めるのは、私の願いで木村先生の所で今も交代で住み込んで技術指導を頂いている中国西安出身の郝(ハオ)君と趙(ツァオ)君。
樹齢300年を超える超大型太幹の黒松。
切返しも無く、見事な幹模様を持つこの樹は、数年の手入れで、大型黒松を代表する名樹になります。
大切な第一歩、今回の仕事がこの樹の将来を決めると言っても過言ではありません。
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早春より肥料と水を極めて多く与えて力をつけての作業。
各枝の基本的な配置、樹冠の抑えこみ、今出来る作業を超えることなく、次の手入れを構想しながらの第一歩。
若き盆栽作家達に未来を樹と共に委ねました。
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ここから芽切り・芽掻き・肥培。
年々の手入れで徐々に姿を変えてゆく、皆さんもこの樹をご一緒に見守ってください。

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