雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2019年07月


【北京園芸万博 出品の為の手入れ!】

北京で開催されている「世界園芸博覧会」の 盆栽ブースに、日本から正式に移送された盆栽の展示を依頼され、
江蘇省 盆景連盟協会主席である張小宝 先生の所へ、出品作品の仕上げ手入れの為に訪れました。
中国で 日本の盆栽として正式に招聘出品を受けたのは今回が初めてです。
日本盆栽大観展の国際審査員として我が国の盆栽界との交流も多い張氏は、中国有数の盆栽愛好家。
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自宅とは別の太湖に近い5階建の約1000坪の屋上には、日本の作品を含めた名品の数々が所狭しと並んで居ます。
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8点の作品を選び、エスキューブスタッフの小林君と木村先生門下の森山義彦氏が、5日間で仕上げます。
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私も初日のみ参加して、張家ご家族への挨拶と選出指示をしました。
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木村正彦先生作品2点を中心に各特徴ある日本らしい盆栽が、8月1日より北京の万博パビリオンに展示されます。
「木村技術の申し子」と言われる森山氏の仕上げの姿は、次回お届けします。
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私は、スタッフと熱波の広州仏山・来春植え替え用の釉薬鉢デザイン発注の打ち合わせで、劉峰 窯 に向かいます!
それにしても、張氏のコレクションは、日本国内でも類を見ない程の圧倒的な質量です。
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こんなにあっても張氏は 更に広大な庭園計画を持ち(太湖のほとりに約2万坪!)大型名木を精力的に蒐集される予定だそうです。
この国にいると、比較しづらいくらいの愛好家の規模に感覚がおかしくなりそうです。
これだけの資産家・愛好家でありながら、張氏もご家族も 謙虚で優しく、お手伝いをしていても、気持ちが良いくらいです。

【姫孟宗竹と水石】
夏越の大祓も過ぎて、今年も半分が過ぎました。
鬱陶しい梅雨の日々。
盆栽達も潤湿な空気の中、美しい葉色を楽しませてくれています。
愛好家の皆様をお迎えする応接室の床間は、そんな季節の風趣の中でも、涼と情緒を大切に設えてみました。
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姫孟宗竹の盆栽は、これから七夕の頃までの「風さやけき」夏飾りを代表するものです。
取合わせの掛物は、竹内栖鳳の「雨裏新蛍図」。
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霧雨降る渓流の清々しい水の流れのそば、新緑の葉裏に川面から誕生した蛍達は、
雨が上がり、儚い光を纏って飛ぶ時をじっと待っています。
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脇床に据えた揖斐川石は、画中の渓流を見事に切り取ったかのよう。
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席全体に香り立つ日本の「今」という季節。
盆栽も水石も、それぞれひとつずつの素晴らしさは勿論ですが、
こうして「樹・画・石」をひとつの物語の中に設える事は、盆栽水石趣味の醍醐味と言えます。
何かと何かを組合わせて共鳴させる・・
日本の“見立ての美”のあり方を皆さんも日常で楽しんでみて下さい。

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