雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

2016年07月


【その樹の個性を大切にした手入れで、飾れる作品作りを!】

ようやく針金掛けが出来る季節が近づきました。
名木や古木の改作手入れは心躍りますが、
日頃"手間仕事"的に扱う樹も、「君はどんな顔をしてるの?」
とちゃんと見つめて捉えて作業をしてあげれば、結構"いい顔"になるものです。
飾れる楽しい盆栽を送り出すのも、私達の大切な役目だと思います。
今回はスタッフに加えて、名匠木村正彦先生の所で6年の修行を終えて間もなく、
私共羽生のすぐ隣町に盆栽園を開園予定の森山義彦くんにも作品作りを協力してもらいました。
若き作家たちが、一心不乱に手入れに打ち込む姿はとても心地よいものです!


【蝉時雨の向こうに見える荘厳な瀑布   山越え深く自然林】

朝夕の水打ちに人も盆栽も生気を取り戻す頃、盆栽の床飾も盛夏の作法。

雲湧く山々を越えて遠くに聴こえた滝音は、眼前に水飛沫の清冽な姿を見せる大瀑布へと。
その水は岩清水となって"水守り"と例えられるブナの原生林を育んでいます。

根元の寄植え部分が白く絡み合うブナならではの美しさが長年の"鉢持ち込み"によって
まるでその林間へ誘われるかのように感じられます。

人界では得られない大自然の興趣を席中に創出しようと努めた席飾りです。
昭和前期に描かれた楳崎珠雀の「瀑布図」水墨の作品によってブナの緑陰の美しさが際立っています。
また、脇の水石を水盤使いではなく、台座としたことで滝の清冽さ、
"分けいっても分けいっても続く神韻響くブナの原生林に"瑞々しさ"に
"水"を感じることへの強調ができたと思います。
夏雲の向こうに変わらぬ自然の営みが見える盛夏の一席です。


【銀座雨竹庵  夏季店の連日営業が始まりました!】

「夏の東京24区」軽井沢に銀座店夏季営業店
始めて6年目となりました
"盆栽をひとりでも多くの方々にご紹介する"ことを私共の仕事と思い、
"売れないオシャレなお店"は今年も元気に!
手のひらにのる可愛らしい草物から
小品中品の優良盆栽まで、
日本を代表する避暑地「軽井沢」で盆栽に会いにいらして下さい。
ご来店の方には羽生本店上野店銀座店 共通のご優待券をもれなく差し上げています。
勉強中の新人スタッフ2名がお待ちしております。


【大連・宜興・義烏・西安・広州・上海】

中国各地の諸用の傍ら、訪れた愛好家の庭で盆栽の"プチ教室"を時間の許す限り行いました!
何気ない真柏の"畑作り"の素材を手入れする事で、盆栽としての階段に一歩を昇らせる・・
こんな事でも役に立つのなら、いつでも何処でも頑張りたいと思います。
授業料なし、観客なしの盆栽教室ですが、
樹の持ち主はそばで本当に感動してくれます。
その感動が、友好と盆栽文化の架け橋の"藁一本"にでもなれたら嬉しいです。


【大型真柏  改作終了!  ここからは培養の日々】

春先に手に入れた真柏素材。
名匠木村政彦先生に基本的な整姿改作をお願いして、
羽生に戻ってから鉢合わせ、植え替えをしました。
鉢は岩崎大蔵先生が中国で特注で誂えたものです。
無駄な細かい芸を取り払い、
真柏が持つ
"ごまかしの無い圧倒的な利芸" 強調した作品になったと思います。
信頼頂く愛好家様と二人三脚で3~5年、
将来の名樹を目指して培養に努めたいと思います。

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