彼と出会ってもう35年の月日が流れました。
名門大宮盆栽村「藤樹園」出身の若き盆栽作家と銀座三越を舞台に、社会の窓としての盆栽展開をする私。
立場はまったく違うものでしたが、2人とも自分に対する将来への“何か“を持って日々を過ごしていた頃だったように思い出します。

いつの間にか2人とも還暦を越えた中、残された刻をどのように生きてゆくか?考えるようになりました。
人の噂になるようになった2人、先日彼は、業界のすべての役職を退いて
自身の本拠地、小布施で盆栽と息子さんや弟子と過ごす世界になりました。
業界の人達は、“森前さんが彼の先々を諭した“などと言っていますが、
私は遠い以前から、彼には業界の中で“泳ぐ“事は似合わないと、本人にも言ってきました。

盆栽を見つめる時の昔と変わらない彼の眼差し、夢を語る時の子供のような彼の顔。
弟子達と手入れに勤しむ彼は、やっぱり盆栽と過ごしている事が一番似合うと思いました。
太陽と月・水と油、性格も違う2人ですが、盆栽を通して見つめてそして生きてきた心は似ているのかも知れません。
ここから彼が世界に向けて羽ばたく事を願っています。
彼なら出来ると思っています。
私も“私がやるべき事“の意味を少しずつ実践してゆければと願っています。
商売ではなく、盆栽と対峙して日々が過ごせたらどんなに幸せかと、ため息交じりに思う自分に笑ってしまいます💦