盆栽の盗難という心痛む出来事の起きた大徳寺『芳春院盆栽庭園』
このブログでお伝えした事に対して、国内はもとより、
世界からの数多くのお見舞いや励ましのお言葉、本当にありがとうございました。
刻が止まってしまったような心が、皆さんの寄り添って下さる温かい想いで、どれほど救われたものか、心から御礼申し上げます。

埼玉で連絡を受けた今回、年に一度のお客様達の大切な展覧会『玄虹会展』を都内で控える前日。
搬入から展覧応対そして搬出、間が悪い事にその翌日は、5月に開催される『大阪EXPO2025盆栽水石展』の事前撮影会があり、
4日目にして、ようやく京都大徳寺に入りました。名樹が揃う芳春院庭園、連日の海外からの多くの拝観者の方々、
見栄えを保つのに応急的に“消えてしまった樹達“の代わりをしていた樹々から、本来のこの庭園に相応しい名樹を羽生から運び、
庭園は何事もなかったように皆さんを迎えています。

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京都府警の協力、業界の有志の方々の頭の下がる程の情報共有と探索、
海外の犯罪グループによるものらしい事は、プロ同士の見解として府警の方にも伝えました。

おそらく、まだこの京都の何処かの山々や、空家などに隠されて、お金にする手立てを海外と連絡を取り合っている事が想像できます。
盆栽は、鉢の中の水、そして光と空気で生きています。
この季節3日水が与えられなければ、衰弱が始まります。
おそらく1週間で懸命に生きようとする樹の命の鼓動は止まります。

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もし山の中に隠されているなら、“雨よ降って“と、今を生きる事を祈るだけです。
盆栽が好きで、半世紀以上生きてきた者には、それをただお金の為だけの“道具“とみる人間の気持ちは理解できません。
庭園の持仏堂の仏様にも手を合わせました。
“帰って来ますように。もしそれが叶わないなら、せめて他の所でも、健やかに生きていますように“ と。