富士を仰ぐ風光明媚な神奈川県・山北町。
この地で長く盆栽園を営む大先輩、松月園さんに久しぶりに訪問しました。
伺った時、80歳を超える今も手入れ室で毎日行われている作業に勤しんでおられました。
松田恭治師、名門大宮九霞園、村田久造翁の高弟として、長く業界に尽くされて来た古老。

作家としてもその作風は、私達昭和後期に修行に入った者達から、
“本物の盆栽作りをされる手本のような方“と評された方です。
昨日買って来た盆栽達など殆ど無く、ご自身の棚で数十年は当たり前という樹達ばかり❗️
“最近の連中は、昨日買って来て今日売るようなものばかり。名ばかりの作家達で、商売のことしか考えていない“
と、相変わらずの辛辣で、でも的を射ている言葉💦

お得意様である愛好家達と、樹を作出していく事を大切に、日常は手入れと管理に費やす。
時折は良品(盆栽・水石・卓など)をお客様に紹介して僅かな口銭を頂く。
生活は手入れ料とお預かりの盆栽達の管理料で、慎ましく暮らす。
歳を重ねてくると、“これが一番良いのかもしれない“と、その生き方、越し方を羨ましくも思います。

明日売る為の針金整姿などせず、枝の味わいを出す為に、鋏作りで時間をかけて仕上げていく。
日常に追われる私などは、憧れしかありません。
“最近は日本の愛好家も、付け焼き刃な人が多く、プロと二人三脚で歩めるような人が居なくなった“とため息を吐かれています。
多様化する社会の中の盆栽界。
様々な在り方があって然るべきですが、失ってはいけない、
“王道の古典“と言える考え方や過ごし方は、まだまだ見習うものがたくさんあります。
“こんな日々が送りたい“と、叶わぬ想いを抱いて退出しました。