季節の早い春も、樹々が一斉に葉を広げる頃となり少し早めの新緑の飾りをしました。

“もみじ手“と呼ばれる、赤子が愛らしい手を広げたような山もみじの新葉は、新緑の代名詞です❗️
九州まで出向いて手に入れたこの山もみじは、根張りを見ても、どれ程の長い鉢での培養が重ねられたものでしょうか!

自然な枝打ちは、昨今流行っている、“詰め込んだ枝造り“の園芸的な造形とは違い、
単幹でありながら、“降り下りる“もみじの枝姿を見事に顕しています。
“絵心“と言う考え方から言えば、盆栽は何処かに心の中に描く一幅の絵画のようでありたいものですね。

掛物も“月にほととぎす“ 明治の名筆、今尾景年の作品です。
ほととぎすの題材は、晩春から梅雨の時期、5月から6月の飾り道具として、使い易く、
私も大きさや図柄を替えて何本か持っていますが、今回は “新緑の色を見せたい“ 気持ちを込めて、敢えて絵に“色“を見せない水墨画としました。
これによって、このほととぎすは、このもみじがある自然の所から遠く、
ひと声鳴いて山間に一閃を切って翔ぶ“心の中のほととぎす“となります。

脇には、“水温む“季節を感じて欲しくて、水盤飾りの京都貴船の水石を配しました。
雪蹊から流れる清流、自然の石が心の中で大自然を描き出しています。
水盤も水を感じる色合いを選びました。

脇には、黄木瓜薔薇が、満開の花姿を楽しませてくれています。
命が謳歌するこの季節はいいですね❗️
“目に青葉・山ほととぎす、初がつお“
ここで鰹の“タタキ“を食べながら、盆栽談義なんて!
ちょっと贅沢ですね‼️