【夢にみた据付と飾り付けは、伊勢の神宮が紡いで下さった!】
伊予産名石『五十鈴川』・3代続く大家「如学庵」の蔵石として名高く、
私もこの道に入って様々な図録で、その湧き流れる渓流の姿は、若かりし頃の私の目にも強く残りました。
名園吉村香風園氏の大旦那として、昭和前期より活躍された家門。
蔵石のすべてが日本水石界を代表するものばかり。
初代が蒐集した刀剣は、『三条宗近・別名“三日月宗近”』を筆頭に、
国宝・重文・多く、その殆どを国立博物館に寄贈された事は、水石界ではあまり知られていません。(因みにその額約20億円!)
先日京都大徳寺の展覧を終えて、
数年来の念願だった『神宮』(伊勢神宮は通称で、ここだけは“神宮“と呼び、日本神社界の頂点の社)へ参拝しました。
その帰路、“名石五十鈴川が放出される“の報を頂き、師走の世知辛い世間の喧騒の中、
香風園氏の協力で、若き頃より夢にみた“五十鈴川“を扱わせて頂く機会を得ました。

今回、三尺銅水盤への“据付け“と、新年の床飾りを設えました。

清流の水音が聴こえるような景色、広々とした水盤の中に、五十鈴川は描いた通りの素晴らしい世界を見せてくれました。

取り合せに、橋本雅邦の「富嶽図」

控えめの掛物の寸法が、名石を映えさせてくれると思いました。
添えに青銅の三重塔。
お世話になった大家小泉薫先生の形見の品です。
コロナに振り回された一年、五十鈴川の神気漂う世界観が、病魔退散、邪気を祓ってくれますように。