【80歳の作家意欲に脱帽!】

国風展の時、わざわざ私のような者と会う為に上京して下さった「樹鉢界の至宝」中野行山先生。
“必ずお伺いします”と言う約束を果たす意味もあり、四半世紀ぶりに日本盆栽鉢の聖地、常滑を旅しました。

行山先生のご自宅兼工房を訪れて、まずびっくりしたのが、蔵されているご自身の作品の多さでした!
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所狭しと室内に陳列された鉢・鉢・鉢。
パッと見ても約1000点!
更に感心したのが、工房に隣接する中庭の盆栽棚、数十点の盆栽はすべて行山先生の鉢に納められていました!
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私が鉢造りに対しての思いがある事をご存知の先生とは、形姿・焼成法・歴史など、汲めども尽きぬ時間を頂きました。
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初めての訪問にもかかわらず、大切な工房から窯場までご案内下さり、
80歳の今も“森前さんはどう思いますか?”と、飽くなき探究の姿勢に感服するばかりでした。

常滑の街は、若い陶芸家の方々が、新しい焼物の街として色々な挑戦をされているのが窺えましたが、
盆栽鉢の作家の皆さんは、けして豊かな“今”を送られているわけではない事も実感しました。
昔訪れた時には、多くの窯の煙突が勢いよく煙をあげていましたが、環境問題もあり、古い窯はまるでヨーロッパの古城の廃墟のようになっていました。
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私達、盆栽業界に生きる者が、もっと作家達の卓抜な鉢造りの技術の継承にも目を向けていかなければいけないと痛感しました。
名工『誠山』『山秋』は今はいません。
行山先生のように老成された作家も少なく、幸いにも誠山窯を継いだ、釉薬鉢の名手『黎鳳』で名高い片岡黎鳳先生の窯に伺い、
洗練された作品群に触れた事を土産に“もう一度、もっとどうすれば手伝えるか?”を考えて、この街に来ようと思います。
立ち並ぶ窯煙突が消え去らないように。
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