雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


今年の十五夜は9月17日,翌日が十六夜(いざよい)そしてこのブログがアップされる19日が、立待月!
そこから居待月・寝待月・更待月・夜明け前の“有明の月“・日本人は月をこうして愛でて暮らして来たのですね❗️

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まだ穂は上がりませんが、糸ススキを飾ってみました!
足元の余分な葉を漉いて、スッキリと見えるように。

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掛物は、まさに“中秋の名月!
明治の大家、鈴木松年の秀作。

足下には木彫のうざきの対。
添えにうざきは、日本的な月見の席ですね。

盆栽飾り、水石飾り、その中でも、季節を映すこのような楽しみは続けたいものです。
ただ、暑さが残る時期が少しずつ長くなる中、ススキの穂が上がるのが遅れ気味のこの頃、
季節の移ろいも、温暖化でズレがち💦です😓


昭和49年9月1日、貧しい中、簡単な着替えだけで住み込み修行に入った日。
あれから50年の時が経ちました。
歩いて来た道のりを振り返れば、何度も荒波の中を通って来たようにも、
あっという間に走馬灯のように出来事が過ぎていったようにも思います。

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15から20歳まで、栃木の盆栽園から殆ど一歩も出ずに過ごしたあの頃、
師匠に言われて、右も左もわからない東京銀座の店へ、毎朝
6時に出て、夜9時過ぎに帰る日々。
預かった店で1日何も売れずに師匠の家へ着く前にひとり途中でため息をついたあの頃。
23年、番頭を務めて“寝ずの森前“と言われて走った思い出。
39歳で万感の想いで、無一文で独立した頃、“銀座百日戦争“と小説にまでなった銀座店。
在らん限りの挑戦の末、莫大な借金を抱えて明日すらも思えなかった日々。
私はいつの時代も多くの方々に助けられて此処に居るように思います。

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エスキューブとして盆栽業に邁進する中、出来ることを精一杯やろうと走ったこの20年。
65歳になる今、此処から自分に何が出来るのだろう?
何を残し伝えれば良いのだろう?

そんな事ばかりが頭に浮かぶ今です。

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プロとして、盆栽水石を愛する者として、足元の小さな事でも、仰ぐ夢のような事でも、
次の時代のプロ達の参考になる足跡が作れればと、拙い身で願っています❗️

でも💧体力がなくなりました😅トシですね~💦


久しぶりに長野県小布施町の鈴木伸二さん盆栽庭園に伺いました!

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お互いに60代😅
伸二さんとは朝方ゆっくりと色々はお話をして、盆栽園の方を2代目であるご子息浩章さんと散策しました。

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圧倒的な名木群❗️整然とした美しい庭園。
日々盆栽と対峙して、ほとんど愛好家の庭での仕事とこの小布施で過ごす浩章さん。

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私が初めて訪れた頃、まだ小学生だった彼が今では日本を代表する若手作家❗️
2代続けて卓越した技を持つ盆栽園はホントに少ない中、ここはまさに作家の“アトリエ“の感❗️
さり気ない片隅の飾りにも、親子の心配りが行き届いた空間は、買う買わないではなく、

“盆栽っていいなあ“と感じかせてくれる別世界❗️

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浩章さんに沿う次男の雄大さんも見事な盆栽人、2人の盆栽家を育てた伸二さんは、この日も新しいお弟子さんが2人来る事で忙しそうでした!
ここにある樹達が、いつまでもこの地で“売るのではなく観て頂く“環境が来てくれたならと、
次代の盆栽園がどうあるべきか?考える時にもなりました!


水石協会の文化活動(明治神宮展・東京都美術館展など)ヘの協力寄付金を捻出する目的で開催された上野グリーン倶楽部での『水石組合大オークション』は、
盆栽業界の協力も加えて、7,000万の成果を挙げるものとなりました❗️

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通常の業界オークションならば、盆栽80~90%、その他器物、水石などが10%、
水石に至っては、普段はオークションに1%も登場しません!

今回のオークションは、水石水盤が60~70%・盆栽20%・その他道具類10%という、
まさに水石界が主導したものとなりました。

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プロアマ双方から出品された水石類、著名水石愛好家数人が“蔵出し“と言われる、“成行ですべてを拠出する“秀石類が数多く出品されました。
水石関係のメインオークショナー(競り人)として、終日競り台に居た私、正直体力の限界の中に居ました。
約1,000点の競り💦 
声もかすれる程でした。

理事役員達の総力で成し遂げたイベントは、ここからの水石市場に対しての指針となるでしょう。


桃から林檎へと、名ばかりの秋が近づく中の信州へ行ってきました。
友人の井浦さんの所、相変わらずの、真柏!真柏!真柏‼️

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アポも入れずに訪れた中でも、真柏の枝接ぎを含めた話になると、
井浦さんはまるで少年が自分が大好きなものを喋るように、時間など忘れての話(笑)

聴きながらも、その姿が微笑ましくも思いました。
それでも、“圧倒的“な真柏群と作出の量と質にはいつもながら頭が下がります。
名樹「風神」と「雷神」も、健やかな成育状態、
更に“未完の大器”がすぐそばでこの秋の手入れを待ち侘びているように置かれていました。

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“今年仕上げてみようと思っています“の弁!
ご先代の頃からもう25年ここへ訪れていますが、真柏山採りの名品を数多く作出された、ご先代の姿勢は、現ご当主に更に濃く受け継がれていました。

名樹と謳われながら埋もれていた樹、ここから新たな真柏名樹となる素材、彼の手でどれだけの真柏盆栽が世に送り出されるでしょうか!
来るたびに新しい発見を感じさせてくれる井浦さん。
ぜひ皆さんも北信須坂市の方へ行かれる時は、拝見に伺ってみて下さい❗️

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