大好きな富士桜の枝垂れ性が、今年も美しい花を咲かせてくれました❗️

咲き初めは白っぽく、満開が過ぎる頃には、淡い薄紅色へと、品の良い色合いが格別のものです❗️
枝垂れ桜に“おぼろ月“の掛物、“春はおぼろ“
千年も昔の古人の美意識は今も盆栽美に通じています。

隣に鞍馬石の薄溜まり石を陶翠の名器水盤に合わせてみました。
朧月をその水鏡に映すような景色。
桜~朧月~鞍馬薄溜まり石 三位一体の席が出来ました。
千百年前、平安時代の「古今和歌集」にこのような歌があります。
“久方の光のどけき春の日に 静心無く花の散るらむ”
三十六歌仙のひとり、紀友則が詠んだ歌です。
その後、平安後期から鎌倉初期に活躍した西行法師の歌はあまりにも有名です。
“願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ“
旧暦の如月は今の3月、望月(満月)となれば、3月15日前後。
西行法師は、この歌のようにまさに“如月の望月の頃“ その生涯を終えました。

私達日本人にとって、桜は野山にある樹々や花の中でも特別な思いがあるものです。
海外では“満開の美しい花々“としての桜が愛でられますが、
日本人はその満開の花が、風に誘われて、“はらはらと散りゆく様“に、
命の昇華、つまり“散華“の世界を感じたと言われます。
日本という国がどれほど自然の中で共生した感受性を宿して来たか、桜への心はいつまでも失くしたくないものですね。