雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


8/29~8/30は、3年目となる上野グリーン倶楽部での『全国水石逸品展』。

そしてその翌日8/31には、大オークションがあります。

昨年・一昨年も記録的な出来高となったこのイベント、市場は“高く売れる所に名品が出てくる“の原理通り、

主催側の私の所にも、先預り品として、多くの水石や盆器・水盤が届いています。


IMG_7808


“ああ、こんなものもまだ日本にあったのか“と思う珍しいものもあり、やはり久しぶりに見る道具類には胸躍るものがあります。


IMG_7809


依頼を受けて預りに行けば、愛好家の方々は半世紀をかけてこれほどの物を蒐集されているのだなあ、

とあらためて趣味の深さと目筋、そして時の長さを思います。

千点に及ぶオークション💦 


IMG_7810


盆栽の方は業界の相方が居るので、心強いですが、水石や器物は、安価品を除いてすべて私の競り声😅

さて今年も“喉が渇れない“ように気を付けます‼️


先日、もう40年近くお世話になっているお客様の所にご挨拶にお伺いしました。

国風賞級の名樹、歴史的名石など、長い愛好歴の中で、多くの名品の邂逅などを経て、

今は八十路を迎えられる中、日々を盆栽や山野草、そして美術工芸で楽しまれています。

今回も、目利きのご本人を笑顔に出来る品揃えに、頭の中は七転八倒💦

なんとか取合わせをしてみました。


IMG_7763


歓談の席の小床には、老爺柿の石付、掛物は大観の“雨後山水図“  。

玄関の向かい席には、南蛮キセルの生えた糸ススキ、その脇には木彫の芭蕉像、銘は「野分け」秋の先取りを設えてみました。


IMG_7764


玄関脇の付棚には、石彫の童子が石の上に寝て微笑む置物、銘はご主人如く「果報は寝て待て」笑❗️壁には若手日本画家、石川清秋の「月に雁」。


IMG_7765


こんな其々の場面を語らいの“箸休め“になるような飾りを楽しまれるのも、

頂点まで究めた愛好家が余技として楽しむからこそ、感慨深く観えるものです。

私もいつかはこんな“衒いのない“設えを楽しめるようになりたいものです。


70年ほどに1回、花を咲かせて立ち枯れる姫孟宗竹。

今年6月に20年来作り続けたすべての鉢が全滅になった悲しい出来事。


IMG_7740


本当に一斉に立ち枯れる事に驚きを覚えました。


そして・・昨日培養場の片隅にあったこの鉢群は、若い芽を一斉に吹き始めていました❗️

根は生きていました❗️


IMG_7742


勿論、ここから元の姿にするには5〜6年かかるでしょう。

1・2年丈を伸ばして、そこからすぐって、生きてくれた根から生まれた“ひこばえ“が、

また新しい感動を与えてくれる事に、命というものの“輪廻“の有り難さを本当に感じました。


IMG_7741


このブログを書いている次の日は丁度終戦記念日。

私の親の世代は、“焼け野原“から今の平和な日本を作ってくれました。

小さな出来事ですが、この姫孟宗竹達も、私に“諦めずに作る“心を教えてくれました。

必ず皆さんの前に飾れる作品に戻してみる❗️と。


毎日35度の埼玉県💦

羽生は勿論ですが、30分離れた名匠木村正彦先生の庭も変わらぬ猛暑の日々です。

そんな中でも、86歳になられる先生の創作活動は続いています。

先日も、“樹冠をどのようにして樹相を作れば良いか?“と、3年も考えがまとまらない真柏を、思案に暮れる中、先生に依頼しました。


IMG_7727


“いつでも良いですから“とお願いしたのですが、僅か1週間で改作に入られました❗️

30センチほど、高さを下げて、水吸いを芯抜きしてたたみ、上部の舎利を彫刻して、

あっという間に将来の姿を創られました‼️

ひとつの未完の樹を観て、完成図を頭の中に描き、まさにその通りに樹を仕上げてゆく・・

唯一無二の仕事です❗️


IMG_7728


先生にとって樹造りとは、ご自身が“生きている“そのものなのかもしれません。

見習いたいです‼️

年間契約数が年々増加しているエスキューブ「銀座雨竹庵」のレンタル盆栽サービス。

10日間程度飾る盆栽達がお客様の前で、いつも健康で葉色良く飾る事に、

“2日に1度の巡回手入れと水かけ“ を25年以上続けて来た結果が、多くのお得意様に評価頂いたのだと思います。

それでも時には“鋏手入れ“が必要になります。

猛暑の1日、皆んなで真柏の“透し切込み“をしました。


IMG_7672



レンタル盆栽のディスプレイ場所は、法人様の社屋入り口、各商店のデコレーションと多岐に渡り、

ご覧になる方々の殆どは、初めてきちんとした盆栽を観る方達。

スタッフにも“盆栽は初めてでも、都会の社会の中で活躍されている方々、様々な美しいシーンを記憶されている。

その方々はご自身の美的経験の中で、その盆栽の素晴らしさを感得されている。プロとしてどんな細やかな樹でも真剣勝負で“ と伝えています。

培養の進みで葉組みがしっかりして、ともすれば“繁茂し過ぎ“となった樹を、飾られた時、“スッキリと見える“ 透し切り“です。


IMG_7671


普段は黙々とレンタル品の手入れに勤しむスタッフ達ですが、森山義彦師を招いての合同作業。

目で見て、そばで体験して、少しでも感覚を掴んでくれると嬉しいです。

↑このページのトップヘ