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盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


長年の交流と友情を重ねる、中国常州市の盆栽園「随園」王永康先生の所で、盆栽の勉強をする陳子淇君。


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羽生の地で日本の盆栽技術、そして文化の習得に、もう数回学びに来ています。

今回は週に一度は朝7時から、私との交流によって、名匠木村正彦先生の所にも、研修に通っています。

今月には“春節“を前に故郷常州に戻りますが、来る度に少しずつ“上の仕事“を体験させて、 プロとしての力量を高めてもらおうと思って指導しています。

寡黙に盆栽と向き合う彼。

12月から1月は、羽生の応接庭園に飾る赤松の仕上げ手入れも任せてみました。


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盆栽はその人が持って生まれた“感性“が大切です。

その点では、よく色々と習得していると思います。

ひとり黙々と手入れ室で盆栽と向き合う彼。

帰国が近づく中、施術が難しいと言われる大阪松の大樹を任せてみました。


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何年も枝が傷んで、健康状態が落ち着くまで何もせずに培養した樹。

ひとり樹と向き合って舎利を剥きあげ、樹種独特の“堅い枝“を“樹の声“を聴きながら曲げて・・。

5月の時が彼に授けた盆栽人としての知識と技は、日本と中国の皆んなが見守る中で育まれました。

幾度もの何本もの盆栽達が、彼と対話したり葛藤したり、その中で盆栽も人も成長します。

私も王永康先生も、彼が一人前のプロになる頃には、もう居ないかもしれません。

しかし、人を育てる事こそ、老成する私たちが最もしなければならない事だと思います。

頑張れ❗️陳君‼️


羽生雨竹亭で1年に4回の大型プロオークション「天地会」が間もなく開催されます。

今回ここで半世紀を超える盆栽趣味、名樹の数々を含めて約150点の盆栽を一斉に盆栽界に放出される愛好家がいらっしゃいます。


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30年のお付き合い。

これまでも、天寿を全うされて、ご家族様からのご依頼で盆栽の整理を頼まれる事は、

私も長い盆栽業の人生でどれほどあったか数え切れませんが、

お元気な中で、しかもここからもご正業の引退はご年齢から止むを得ないとしても、

その機会に大好きな盆栽をすべて放出される方は経験がありませんでした。

趣味家に寄り添う事が私達盆栽業の姿ですが、それ以上に盆栽を捉える眼力、考え方、どれ程のご教授を頂いた事か!

まさに“目利きの旦那様“と言える方。

“儂はここからも、もう一度儂らしい盆栽をやっていく“と、ゼロからの趣味の幕を開けると仰っています。


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“この中で少しでも残されておけば良いではないですか!“と何度もお伝えしましたが、

ご自身の“生き方“の矜持というものが、中途半端な事が嫌いな方💦

二十代から半世紀以上、ご自身で世に送り出した名樹、雅盆、“盆栽の味わい“という事を含めて、どれだけの趣味家に影響を与えたか!

そんな方が全品の放出。

私もこのような方とは、そのレベルの高さを含めて出会った事がありません。

出入り方の1人である私は、この「天地会」をこの方に“そうか、ご苦労さんだった“と言われるように取り計らう事、

そして何より“八十路のここからの再出発“をされるこの方の盆栽趣味を、どのように寄り添えるか!試されているようです❗️

盆栽も人の心も、“受け継ぐ“事を学ばせて頂いています。

【新春の禅林・盆梅と仏手柑】


新年の3日、新幹線の切符も残り一席を手に入れて向かった京都大徳寺「芳春院盆栽庭園」。


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ご住職への新年のご挨拶の為伺った庭は、美しい空と同じく、澄み切った空気の中にありました。


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庭内「通玄庵」に設えた野梅の一席。

古感ある枝先に間もなく咲き出す蕾の愛らしさ、掛物は雲間に昇る日輪、足元には僅かに解けかかる雪を携えた庵ひとつ。

訪れる多くの欧米を中心とした拝観の方々に“日本の心“を伝える席。


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隣の仏堂の如意輪観音様の前には、今年の幸運を願う仏手柑が水引で飾られていました。

“去年もお守り下さりありがとうございました。今年も盆栽、訪れる方々、この庭に関わるすべての人達をお守り下さい“と手を合わせました。


【盆栽家の頂点を極めた人生訓❗️】


新年のはじめ、都内江戸川区の「春花園BONSAI美術館」に“鬼才“小林國雄先生を毎年のように年賀で訪れました。

今年は普段の時にも増して、伝えたい事がありました。

昨年の暮れに小林先生が上梓された『人も盆栽も枯れるから面白いんだ』という本。


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タイトルもさることながら、エッセイとしてまとめられたその内容は、悪戦苦闘の盆栽人生をありのままに綴ったもの❗️

人柄そのままに恥じる事もなく赤裸々にご自身の歩かれた道の中で感じた事を書かれている。

勿論“人間学“の部類において質の高い出版で定評のある到知出版が手がけただけの事のある深みある内容。

長年小林先生への取材や紙媒体に協力してこられた、編集者、高谷治美さんの構成力が光る本とも言えます。

私が何より高く評価したのが、盆栽の作り方や、名品の紹介ではなく、

この本には“小林國雄が盆栽と歩んで掴み取った生き方“が、ギュッと凝縮されていることです❗️

人間の高みを見つめた盆栽の本というものは今まで皆無でした。

勿論直接的ではない形での尊敬すべき本は数多ありましたが、

見事なエッセイ式での組み立てで読める盆栽関連のものは今までありませんでした。

私は“親方、この本はホントに素晴らしい❗️“と、率直に言うと、満面の笑みで喜んで下さいました。


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“鬼才“という表現で、独自の歩み方をされた小林國雄先生。

しかし、八十路を前にあくまで“真っ直ぐに“盆栽と生きる姿は、既に鬼才ではなく、

“王道“の盆栽人として仰ぐものになっていると思います。

いつもそばでその姿を拝見している私には、盆栽を突き詰めて来たひとりの男が、言葉ではなく辿り着いた境地がここにあるように思います。

こんな本を興してくれた事に素直に感謝したい気持ちです。

ぜひ皆さん読んでみてください‼️

盆栽の作り方ではなく、人間の歩き方を感じる事ができる本です❗️


明けましておめでとうございます。

羽生雨竹亭は、関東の元旦らしい穏やかで晴々とした天気の中、新年を迎えました❗️


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昨年も多くの出来事、そして多くの方々との出会いを頂きました。

今年も盆栽と水石を通して、皆様に“何が出来るか?“  

精進を重ねながら歩みを進めたいと思います。

どうぞ宜しくお願いします🤲


雨竹亭は、1/4より恒例の『新春盆栽展』を1/12まで開催します。


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清々しい新珠の清浄な気の中、ゆっくりと盆栽や水石を楽しんで頂ければと願っております。

今年の御勅題は「明」 

明るいとも、“めい“とも“みん“とも読みます。

昨年は世界を見回しても、紛争や戦争など、人が決して起こしてはいけない出来事がニュースで報じられました。

悲しい事です。

各国各自、それぞれの想いや歴史、感情もあるでしょうが、争いが起きて誰よりも辛い想いをするのは、幼い子らや、年老いた方々です。

勿論、盆栽のように日々“人の愛情“によって数百年生き続けるものは、

紛争など、人が命を守る為に他を見捨てなければならないような時に命を失います。

盆栽が健やかである事は、その国の人達の“心“が豊かである証拠でもあるのです。

今年も、盆栽を通して、平和と美しい時間の役に立ちたいと思います。

皆さんにとっても、ここからの1年が、素晴らしい時間になりますように‼️

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