雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


彼岸を迎える頃、もう“桜の飾り“に心が動く時ですが、先日、梅の咲き分け種“思いのまま“を手に入れました。

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極太の樹!
何年か作ってそれらしい作品にしてみたいと、いつものように、悪い病気がムラムラと起きてきました‼️

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若い頃は、思いのままなんて園芸種で、野梅などから一段低いと勝手に思っていましたが、
宮島(大阪松)や、今では当たり前になった、“枝接ぎの真柏“のように、
時代で世の中の盆栽に対する価値観も変わっていくものです。
思いのままも、今では作出する人もなくなり、貴重な太幹となって来ました。

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朧の月の掛軸、そして脇床には、揖斐川の古石。
とても古い持込みの石で、石肌の古感はえもしれぬ程です。
これを名器“峯雲地紋楕円“の水盤に合わせて、水打ち!

やっぱりこの季節になると、水を得た水石は良いものですね❗️
さあ!この梅が終わる頃には、桜❗️
そして追いかけてくる“植替え“の嵐🌀💦大変です❗️


毎月2回の盆栽教室、3月は生徒さん達も、自身の盆栽の手入れと植え替えで、
皆さん1~2本はその日に仕上げたくて、朝から作業に忙しい教室です。

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加えて、教室の「生徒作品展」を5月に開催する事になり、
さて!その展示に使う盆栽の手入れと植替えに、躍起になっています(笑)

そしてこの日は、“あの樹は枯れたのでは?“と噂された、旧高木美術館蔵の名樹「稲取」を
来年の100回記念に出品すべく、森山義彦先生の協力を得て、仕上げ整姿と植替えをしました❗️

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高木美術館の記念帖の写真から35年! 
刻は人と同じく樹の姿を変えるものです。

3月28日の盆栽協会による「貴重盆栽登録会」に応募すべく、
現在の稲取の良さを少しでも引き出せればと、これも高木美術館が旧蔵されていた、紫泥の大古鏡盆器に納めてみました❗️

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衣装が変わるとホントに姿も雰囲気も変わるものです‼️
こうしてお日様の下で、盆栽達と過ごせる時間、たとえ疲れていても、こんなに佳き疲れはないものです❗️
有り難い1日でした‼️


今年の大雪は、この数年雪の少なかった新潟県長岡市でも、久しぶりに“雪除けの軒塀作り“を見る事になりました。
水石協会、組合でお付き合いの深い古老先輩、中川さんの所です。

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庭の盆栽は勿論雪除けで軒下に!
加えて大雪が軒に入らないように、仮塀は雪の量に合わせて少しずつ高くなっていく💦
私達関東人には実感のない冬の苦労を間近に感じました❗️

そんな中でも、中川さんは変わらず“水石三昧“の日々を過ごされているのが、歓談する部屋に感じられました!

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煎茶を長く研究される中川さんは、その見識を活かし加えた水石美を捉えられています。
いつ伺っても、そこここに目を惹く石達!

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時の経つのを忘れて、玄虹会展の飾りの話題、水石界の現状、話は尽きません‼️
あっという間の時間!
いけない!帰り道の関越トンネル迄の、豪雪地帯(魚沼・六日町・越後湯沢)、数メートルの雪だったのを思い出しました💦


厳寒の細雪舞う小布施に長年の友人、鈴木伸二さんを訪ねました。
長野県の“小京都“と謳われた小布施。
この地に伸二さんの要請で初めて訪れてから、もう35年の月日が経ちました。

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いつの間にか、お互い還暦も過ぎて、“老成“に向かう歳になり、ここからの時間を考える刻にいます。
私の羽生と京都大徳寺、彼の小布施、求めるものや願いの中身は多少違っても、形に残そうとする盆栽人としての胸中は似たものがあります。

北斎館という、この土地の観光を創出された市村家、ここが彼の盆栽作家のここでの活動と発展を
町を挙げて全面的にバックアップしている事は、有り難く、羨ましい限りです!

新しく小布施の中心地に新しい盆栽のアトリエ庭園を作ろうとしている事は、昨秋より彼から相談を受けていました。
色々な準備が進み、いよいよ工事着工間近の中、最終的な構想の打合せをしました。

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相変わらず、いつも彼に頼まれると弱い私💦 
結局、盆栽に対しての新しいビジョンや夢を持っている者に私は、自分の拙い知識や経験を活かして欲しいのです。

盆栽が、世界に広がる時代、雪深い冬の小布施にも白馬などから海外のスキー客が数多くこの静かな街に訪れています。
10年後の盆栽界がどのように変わっているか?
楽しみですね❗️


3年前、中京の稲沢より運ばれた超大型黒松! 
元々は庭木として育てられた中の、“筋の良い“素材でした。
幹や立ち上がりに“もしかすれば、将来大変な盆栽になる!“と言う夢のような事を思いながら、まずは作を上げることに専念してきました。

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2月下旬、国風展水石展も終わった中、満を持して、枝接ぎと“胴接ぎ“の施術を行いました❗️
岩石性と変わらぬ幹肌は、何層にも皮を抱き、その下の生きている所に、鑿を打ち込み、
木質と皮の間の僅かな「形成層」を、巨木自身の枝から取った穂を楔形に切り、ピッタリと合わせる、といった至難の接木です。

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私とスタッフ、そして内閣総理大臣賞作家の森山義彦さんに協力を得て、必死の作業となりました💦
接ぎ穂が乾かぬようにビニールを被せ、培養場の“春の風“で傷まぬように、
3mの樹の防風設備を作りました。

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ここからビニールを外す初夏まで、気が許せません❗️
5年後、10年後、“あのオバケがその樹⁉️“と言ってもらえるように、作出に努めてみたいです‼️

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