雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴50年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


花咲きを進めないように、東北のお客様に半月お願いして預けておいた梅類の売り物。

売店搬入数日前に持ち帰り、夜を徹しての植替え鉢合わせ❗️

ギリギリまでそのままにして、“お嫁に出す“寸前で、美しい鉢合わせをした数々❗️

羽生の地で育てて姿を整えて、売店で“お披露目“ をする前には、少しでも“良き衣装“ とお化粧をしてあげたいものです。

それでもまだ寒気強いこの季節、根を捌くのにも生育を気を付けないといけないです。

この梅はその昔、私がまだ修行中の頃(45年ほど前)栃木県真岡市にいらした大家、石川先生の愛蔵樹でした。


IMG_5858


盆栽の目筋は勿論のこと、お人柄もまさに“紳士“そのものだった方。

一時衰弱していたものを手に入れて、5年以上培養に努めたものです。

ようやく、先生がお持ちだった頃の樹格に近くなったので、お披露目とすることにしました。


IMG_5859


盆栽は命が繋がれば、姿を新しくして私たちの前に現れます。

古樹と呼ばれるもの、ひとつでも次の時代に残して行きたいものです。


昨年暮れに同業者から入手した真柏。

細身ながら真柏盆栽の真髄を感じる樹、それでもどこか“枝が重い“と言う感覚と、

“見せる所が隠れている“と言う思いが始めからありました。


IMG_5777


昔の私ならすぐに“道具を持ってこい“と、刹那の仕事をしたものですが、

この樹とて今までの方々の愛情が受け継がれて来たからこそ、今に生き続けている事を思えば、

正しい改作だとしても、出来るだけ“胸にスッと落ちる“程の納得をしたいと思って、幾日も幾日も時々の自分の心の在り処を替えて観続けました。

その上で、“やっぱり枝が重い、樹に空間を出したい“の思いが固まりました。


IMG_5779


樹の樹勢を上げるために伸ばされた枝々、余分な枝を外し、“腰を軽くする“ことも❗️

山採り真柏の舎利幹が捻転する姿、立ち姿と枝の“間調子“!

何となく、納得する姿になりました‼️ 


IMG_5778


でも・・これが終わると、“雨竹亭の家族“になって、あっという間に“お嫁“に行ってしまう💧

嬉しいやら😅・・因果なものですね😓


1月19日、第100回の記念展となる国風盆栽展の審査会が上野グリーン倶楽部で行われました。

雨竹亭チームも、毎回名匠木村正彦先生と合同編成の準備をして、私達の方だけでも今年は11点の応募をしました。

羽生でお世話になっている愛好家の方々でも、10回以上の入選をされている方もあり、

今年も秋口から木村先生と樹の手入れや鉢合わせなど、“その時に出来る限りの“ 準備をして臨みました。

国風賞候補クラスの加点を頂くものもあり、順当な成果!と言いたいのですが、

残念な結果になってしまった樹がありました。


IMG_5764


姫林檎の中でも実が硬く、寒さの中でも実をしっかり残す『紅姫』

5年ほど前に埼玉西部の古老盆栽園より譲り受け「先代が突然変異で見つけたもの、実が落ちない」と言われました。

案の定、大観展の頃、大徳寺芳春院盆栽庭園に毎年実成りの時期に飾っても、年が明けても

実は実色と共にしっかりしている不思議な樹でした。

“一度世間様に見てほしい“と言う思いで、10回以上連続で国風展に出品されている大家にお願いして応募しました。

結果は当落の境から1点足らぬ落選💧

暖冬の影響か?実が萎み始めた中での審査、

“珍しい樹、少ない応募樹種は入選しやすい“と言う、自分の固定概念が招いたもの。

何よりも国風展を楽しみにされていたお客様に申し訳なく、遠方ではありましたが、

頭を下げに関西まで伺って平身低頭、お詫びを申し上げました。

“落ちるような樹は要らない“と言われて当然のところ、懐の深いお優しいお客様、

“あまり気にしないように、また作ってみよう“と🙇‍♂️  

プロとして、50年以上の経験を持つ者、己の甘さ、傲慢さ、それがお客様に要らぬ想いと態度をとらせてしまった事、

忘れてはならない出来事になりました。


IMG_5765


樹の引取りの申し出をしようとしていた私を察してか、お客様は“今年の秋の実をまた楽しもう“の言葉🙏

まだまだ、人としての修練が足りない自分を恥じ入る経験となりました。


羽生市は記録的な温暖な1月、梅花は平年より3週間近く早い予想が気象関係からも発表されました💦

国風展売店『立春盆栽大市』までまだ2週間❗️

羽生の梅の花は、蕾が開きはじめ、遅咲きの緋梅まで花が色付きはじめてしまいました💧


IMG_5728


初めての経験の中、一計を案じて、雪降る東北の地、お世話になっている愛好家の庭で、

ここからの2週間を少しでも“花咲“を遅れさせる為に預かって頂くことにしました。


IMG_5729


私も50年以上の国風展前の準備でも初めての事です。

1/22~2/4まで、花を早める事は幾度も経験がありましたが、遅れさせる為に移動した事はありませんでした。

雪積もる庭園にひときわ目立つ緋色の花、せめて売店の初日から数日、美しい花姿を訪れて下さる皆様にご覧頂きたくて。


IMG_5730


100回を迎える国風展の選考審査でも、温暖化の影響で、“冷やし込み“に苦労する樹々が多く、

これからの国風展の出品樹の選出にも、お客様達と苦労しそうです💦


新春盆栽展が終わり、エスキューブ主催の業界大型オークション「天地会」も過ぎ(9100万の出来高❗️)

いよいよ、盆栽界最大の祭典「国風盆栽展」を20日後に控え、

私達プロは、展示の審査結果に一喜一憂しながら、商売の方の『立春盆栽大市』への支度が始まります。


IMG_5703


エスキューブは、創業当時より、上野グリーン倶楽部2階に、最大規模のスペースをお借りして、

毎年その年にあった品揃えに悪戦苦闘しながら、“美しい展示“としての売店を作っています。

今年もその準備!


IMG_5704


飾る盆栽は、手入れや植替えを施すものもあり、松柏から雑木盆栽、最後には水石・盆器・道具類にまで、収蔵庫の中を行ったり来たり💦 

少しでも遠方から国風展をご覧にいらした愛好家の方々と、ここから始まる“ご縁“の糸が繋がるようにと願っています。


IMG_5705


近年は、初日の前日(今年は1/7)午後から、バイヤーさん達に開放する“プレオープン“が倶楽部で行われます。

“木村チーム“、木村正彦先生と合同で展示の方をする私どもは、売店搬入と美術館搬入が同じ日程で重なります💦 

事前に設備を作って、同時搬入の差配をしなければなりません!

今年は暖冬の影響で、野梅など、梅の盆栽の開花が早く、東北のお得意様にお願いして、

半月ほど北国の寒さの中で梅の商品としての時期を調整させて頂くという苦労も増えました😅


IMG_5706


“雨竹亭らしいもの“・・拙いものでも、名木名石でも、どのようにお越しの皆様にご覧入れようか?

ここから毎年の“戦い“が始まります‼️

↑このページのトップヘ